感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:193

リバーロキサバン、退院後投与の血栓予防効果は?/NEJM

 静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高い内科疾患による入院患者に対し、退院後45日間のリバーロキサバン投与はプラセボと比較して、大出血の発生率は低かったが、症候性VTEおよびVTEに起因する死亡リスクを有意に低下させることはなかった。米国・Northwell Health at Lenox Hill HospitalのAlex C. Spyropoulos氏らが、リバーロキサバンの退院後VTE予防効果を検証した多施設共同無作為化二重盲検試験「MARINER試験」の結果を報告した。内科疾患で入院した患者には退院後のVTEリスクが残るが、こうした患者における血栓予防療法の延長が果たす役割については議論の的になっていた。NEJM誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。

抗インフル薬バロキサビルの第II相・第III相試験の結果/NEJM

 合併症を伴わない急性インフルエンザの思春期・成人患者へのバロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の単回投与は、症状緩和についてプラセボに対し優越性を示し、投与開始1日後時点のウイルス量低下についてプラセボおよびオセルタミビルに対する優越性が示された。安全性に関する明らかな懸念はなかったが、治療後にバロキサビルに対する感受性の低下を示す知見も観察されたという。米国・バージニア大学のFrederick G. Hayden氏らによる、日本と米国の患者を対象に行った2件の無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年9月6日号で発表された。バロキサビル マルボキシルは、インフルエンザウイルス・キャップ依存性エンドヌクレアーゼ選択的阻害薬。前臨床モデル試験で、既存の抗ウイルス薬では効果が認められない耐性株を含むインフルエンザA型とB型に対して、治療活性が示されていた。

梅毒が昨年上回るペースで増加中、原因不明の発疹には疑いを

 梅毒の届け出数は、2014年頃から急激な増加傾向にあり、昨年は年間報告数が44年ぶりに5,000例を超えた。今年は昨年をさらに上回るペースで増加しており、国立感染症研究所の発表によると、梅毒の累積報告数は8月22日集計時点ですでに4,221例となっている1)。日本医師会は9月5日の定例記者会見で、梅毒の感染経路を含む発生動向について解説するとともに、感染拡大への注意を促した。  梅毒の年間報告数は長く1,000例以下で推移していたが、2011年頃から徐々に増加し、2014年頃からは男女ともに急激に増加している。2017年の梅毒の報告数を都道府県別にみると、東京都が1,777例と圧倒的に多く、次いで大阪府(840例)、愛知県(339例)、神奈川県(322例)と、都市部で多い。年齢別では、男性では20~40代、女性では20代の感染が目立っている2)。

外来での高齢者に対する抗菌薬処方(解説:吉田敦氏)-907

高齢者において、抗菌薬の処方が過剰となり、それが薬剤耐性(AMR)に結びついているという指摘は以前から存在した。米国においても、抗菌薬適正使用およびAMRへの取り組みから抗菌薬の総使用量は減少し始めていたが、高齢者における使用量の変化については不明な部分が多かった。今回、高齢者の98%が加入可能な公的保険である米国メディケアにおいて、高齢者の外来での抗菌薬処方と、各診断名に対して適切な抗菌薬が使用されていたかどうかを観察研究として調査した。

抗インフルエンザ薬、使用上の注意改訂指示

 2018年8月21日、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課から、抗インフルエンザウイルス薬の「使用上の注意」改訂指示の通知が出された。これは、5月と7月に行われた薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の結果を踏まえ、改訂が必要と判断されたもの。通知には、「オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)を含む抗インフルエンザ薬7成分の添付文書を速やかに改訂し、医薬関係者への情報提供など必要な措置を講ずること」と記されている。

新たな結核菌ワクチンの第II相試験(解説:小金丸博氏)-901

新たに開発中の結核菌に対するワクチン「H4:IC31」の第II相試験の結果が発表された。「H4:IC31」は、Toll様受容体9を介してシグナル伝達する組み換え融合タンパク質(H4)とIC31アジュバントからなるサブユニットワクチンである。このワクチンはインターフェロンγ放出試験(QFT)と交差反応を示さないマイコバクテリア抗原(Ag85BとTB10.4)を含んでいる。

結核予防にリファンピシン4ヵ月が有望/NEJM

 活動性結核の予防において、リファンピシンの4ヵ月投与の効果はイソニアジドの9ヵ月投与に対し非劣性であり、治療完遂率はリファンピシンのほうが高く、安全性も優れることが、カナダ・マギル大学のDick Menzies氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年8月2日号に掲載された。潜在性結核感染における活動性結核の予防では、WHOなどがイソニアジドの6ヵ月または9ヵ月投与を推奨しているが、このレジメンは肝毒性によりアドヒアランスが不良なことが知られている。リファンピシンの4ヵ月投与は、イソニアジドの9ヵ月投与に比べGrade3/4の薬剤関連有害事象が少なく、安価であり、治療完遂率が優れることが報告されている。

米国の高齢者、抗菌薬使用の最新動向は/BMJ

 米国の高齢外来患者では、近年、抗菌薬の全体的な使用およびその不適正使用にはほぼ変化がないか、わずかに減少しており、個々の薬剤使用の変化にはばらつきがみられるものの、これはガイドラインの変更とは一致しないことが、米国・ハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院のScott W. Olesen氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2018年7月27日号に掲載された。米国では抗菌薬の不適正使用が拡大しており、抗菌薬使用は高齢になるほど多くなる。高所得国では、抗菌薬はほぼ安定的に使用されているが、米国では近年、下降している可能性が示唆されている。

小児の敗血症バンドルの1時間完遂で、院内死亡リスクが低減/JAMA

 3項目から成る小児の1時間敗血症バンドル(1-hour sepsis bundle)を1時間以内に完遂すると、これを1時間で完遂しなかった場合に比べ院内死亡率が改善し、入院期間が短縮することが、米国・ピッツバーグ大学のIdris V. R. Evans氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2018年7月24日号に掲載された。2013年、ニューヨーク州は、小児の敗血症治療を一括したバンドルとして、血液培養、広域抗菌薬、20mL/kg輸液静脈内ボーラス投与を1時間以内に行うよう規定したが、1時間以内の完遂がアウトカムを改善するかは不明であった。

50歳以上の帯状疱疹はワクチンで予防

 2018年7月19日から3日間、都内で日本ペインクリニック学会 第52回大会「あなたの想いが未来のペインクリニックを創る-専門性と多様性への挑戦-」が開催された。本稿では、7月20日のシンポジウム「帯状疱疹関連痛の治療、予防の未来を考える」から、木村 嘉之氏(獨協医科大学 麻酔科学講座 准教授)が発表した「帯状疱疹関連痛の疫学と予防」について、概要を紹介する。