感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:248

百日咳ワクチン対策の「コクーン戦略」は限界がある?

 オーストラリア・シドニー大学のK.E. Wiley氏らは、小児ワクチン戦略の「コクーン(繭)戦略」に関して、生後6ヵ月未満の年少の乳児における百日咳の感染源を調べ、接種対象者についてエビデンス情報のレビューを行った。コクーン戦略は、ワクチンが疾患等により接種できない小児の代わりに、近親者に接種を行い繭に包まれた状態として感染を防御するというものである。

小児急性胃腸炎動向からみえたノロウイルスワクチン開発の鍵

 長崎大学大学院のHoa Tran TN氏らは、小児(18歳以下)の急性散発性胃腸炎におけるノロウイルス遺伝子型分布を明らかにするため、2000年以降の発表論文のシステマティックレビューを行った。その結果、直近10年でGII.4、GII.3が大勢を占めるようになっており、その背景には世界的なGII.4変異型の出現があること、またノロウイルスはロタウイルス感染胃腸炎の減少と相反する形で小児急性胃腸炎での重要度を増している傾向が認められることなどを報告した。

ロタウイルス胃腸炎の世界的な季節性パターンを明らかにするには?

 米国疾病管理予防センター(CDC)のManish M. Patel氏らは、ロタウイルス胃腸炎発生の世界的な季節性パターンの分布図作成を目的に、ワクチンが広く導入される以前の発生に関する報告論文をレビューした。しかし、統一的な説明が可能である季節性のパターンは認められず、国の所得レベルが多少ではあるが、他の因子よりも季節性疾患であることを示す予測因子であることが明らかになったという。

抗菌薬カテーテル、尿路感染症予防効果の裏付け得られず/Lancet

 入院中のカテーテル関連尿路感染症減少のために、通常のフッ素樹脂製カテーテルと抗菌薬カテーテル(銀コーティングカテーテルまたはニトロフラール溶出型カテーテル)とを比較した検討の結果、銀コーティングカテーテルには症候性の尿路感染症発症に対する効果は認められず、抗菌薬溶出型カテーテルも臨床的意義がある減少は認められなかったことが明らかにされた。英国・ニューカッスル大学のRobert Pickard氏らが多施設共同無作為化試験を行った結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「抗菌薬カテーテルのルーチン使用を支持する裏付けは得られなかった」と結論している。Lancet誌2012年12月1日号(オンライン版2012年11月5日号)掲載より。

少量、安全接種が可能な貼付パッチ式のロタウイルスワクチンの可能性

 米国疾病予防管理センター(CDC)のSungsil Moon氏らは、極微針パッチ(microneedle patch)を用いた皮下注射による、ロタウイルスワクチン予防接種の可能性についてマウスを用いた試験で検討を行った。皮下注予防接種(skin immunization)は天然痘や結核など多数の感染症で効果が認められているが、接種が難しい。一方、極微針パッチは、貼付式で接種が容易であり、その点で有望視されている。Vaccine誌オンライン版2012年11月19日号の掲載報告。

小児の百日咳発症にみられたDTaPワクチン防御効果の漸減/JAMA

 米国・カリフォルニア州では2010年に、60歳以上で大規模な百日咳の流行が発生した。疾患負荷は、3種混合(DTaP)ワクチン接種率が高率であったにもかかわらず7~10歳の年齢層で顕著に大きく、ワクチンによる防御効果が漸減する可能性が示された。そこで米国疾病予防管理センター(CDC)のLara K. Misegades氏らは、百日咳発症とDTaPワクチンの5回目までの接種との関連についてケースコントロールによる評価を行った。JAMA誌2012年11月28日号掲載より。

ロタウイルスワクチンの効果について41試験をレビュー

 英国・Enhance Reviews社のKarla Soares-Weiser氏らは、ロタウイルス下痢症予防に用いられているロタウイルスワクチン接種介入試験の系統的レビューを行った。評価は、現在承認されている、単価ワクチン(RV1、商品名:ロタリックス)、5価ワクチン(RV5、商品名:ロタテック)と、中国のみで使用されている蘭州ラムロタウイルスワクチン(LLR、蘭州生化学製品研究所製)を対象として行われた。Cochrane Library 2012年11月14日の発表報告。

小児と成人の季節性インフルエンザワクチン有効率は解析因子で変化

 小児と成人(高齢者を除く)への季節性インフルエンザワクチンの有効性と、その有効性を規定する因子について検証した結果、有効率の推定は、ワクチンのタイプ(弱毒生、不活化)、接種年齢(小児、成人)、ワクチンとウイルス株の適合度、インフルエンザのタイプ、症例確認の手法といった因子次第で変わることが明らかにされた。

ロタウイルスワクチン予防接種プログラム、導入初年度から明らかなインパクト

 フィンランド国立健康福祉研究所(THL)のTuija Leino氏らは、同国で2010年に導入されたロタウイルスワクチン予防接種プログラムの初年度の影響について推定評価を行った。その結果、重症度、病院での治療、ロタウイルス胃腸炎の型について明らかに管理コントロールできたことを報告した。Vaccine誌オンライン版2010年11月1日号の掲載報告。