感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:246

中国で初めて報告された鳥インフルエンザA(H10N8)のヒト感染例―既報のトリ由来H10N8とは異なるタイプと判明―(コメンテーター:吉田 敦 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(185)より-

 鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染し、重症となるケースがあとを絶たない。A型のH5N1やH7N9がその代表であり、H7N9は2014年1月27日までに既に中国で250例が報告され、うち70例が死亡している。一方H10N8は、これまで北米、欧州、アジア、オーストラリアなど広い範囲で主にカモから分離されていたものの、ヒトへの感染例はなかった。しかしながら2013年11月、中国江西省南昌市で最初の感染例が報告された。さらに患者から分離されたH10N8は既報の鳥由来ウイルスとは異なる、新たな再集合体であることが判明した。

中国で見つかった鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症の疫学調査(続報)(コメンテーター:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(184)より-

 2013年3月、中国から鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスがヒトに感染した事例が初めて報告された。家禽市場の閉鎖措置後、一旦患者は減少傾向を示していたが、2013年10月以降再び患者が増加している。中国以外では、台湾、香港、マレーシアから感染例が報告されているが、全例中国本土で感染したと考えられている。本稿執筆時点では日本国内での感染例は報告されていないが、国内発生時に冷静に対応できるように準備しておく必要がある。

MMR生ワクチンは不活化混合ワクチンより全感染症入院を減少/JAMA

 麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)生ワクチン接種は、最新のワクチンである不活化混合ワクチン(DTaP-IPV-Hib)接種と比べて、全感染症入院の減少と関連することが示された。デンマーク・Statens Serum Institute社のSigne Sphirup氏らがデンマークの小児コホートを対象とした分析の結果、報告した。これまで、低所得国において、生ワクチンMMR接種が麻疹以外の感染症死亡率を低下したことが報告されている。研究グループは、「そのような非特異的なワクチン効果が、高所得国における小児の健康についても重要な意味をもたらす可能性がある」として検討を行った。JAMA誌2014年2月26日号掲載の報告より。

C型慢性肝炎は3ヵ月の経口内服薬で90%以上治癒する時代へ―副作用のないIFNフリー療法が目前に―(コメンテーター:溝上 雅史 氏、是永 匡紹 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(178)より-

 C型慢性肝炎に対する最新治療は、週1回のペグインターフェロン(PegIFN)注射とPegIFNの有効性を高めるリバビリン(RBV)に、直接ウイルスに作用する抗ウイルス剤(シメプレビル:SMV)を内服する3剤併用療法である。治療期間は24週間、前治療でウイルスが感度未満にならない(Non-Viral Response:NVR)一部の難治例を除けば、ウイルス排除(Sustained Viral Response:SVR)率は90%を超える。しかし、わが国のC型慢性肝炎患者の多くは65歳以上の高齢者のため、副作用が多いIFN治療そのものが導入できない現状があり、「IFNフリー=副作用が少ない治療」が必要不可欠である。

日本人も肺炎クラミジア感染で冠動脈疾患リスクが上がる~約5万人のコホート研究

 欧米では、肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)感染がアテローム性動脈硬化症と冠動脈疾患の危険因子と考えられている。しかし、日本人は欧米人に比べて冠動脈疾患リスクが低いため、日本人におけるエビデンスは非常に少ない。今回、日本人における肺炎クラミジア感染と冠動脈疾患リスクとの関連について、JPHCスタディ(厚生労働省がん研究班による多目的コホート研究)で検討した。その結果、肺炎クラミジア感染と冠動脈疾患リスクとの間に正の相関が認められた。Atherosclerosis誌オンライン版2014年1月23日号に掲載。

C型慢性肝炎に対する治療法の開発は最終段階へ!―IFN freeの経口薬併用療法の報告―(コメンテーター:中村 郁夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(175)より-

 C型慢性肝炎のうち、1型高ウイルス量の患者に対する現時点での標準治療はPEG-InterferonとRibavirin・Protease阻害薬(Telaprevir またはSimeprevir)の併用療法(24週)である。この治療法により、Sustained Virological Response(SVR:治療終了後6ヵ月の時点での血中HCV陰性化)を得られる頻度は、初回治療例、前治療無効例で約80~90%とされている。