感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:45

5歳未満へのコロナワクチン、3回接種の発症予防効果73.2%/NEJM

 生後6ヵ月~4歳児に対する新型コロナウイルスワクチン「BNT162b2」3μgの3回接種は安全で免疫原性があり、症候性COVID-19に対し有効であることを、米国・Baylor College of MedicineのFlor M. Munoz氏らが、約4,500例を対象とした試験の結果を報告した。3回目接種後1ヵ月時点の、免疫ブリッジング成功基準も満たし、反応原性イベントの大部分が軽度~中等度で、Grade4のイベントは認められなかった。NEJM誌2023年2月16日号掲載の報告。  研究グループは、6ヵ月~11歳の健康な小児を対象にBNT162b2ワクチンの第I相用量設定試験を完了し、現在第II~III相の安全性・免疫原性・有効性試験を行っている。

ニルマトレルビル/リトナビル、オミクロン下の外来患者リアルワールドデータ

 ニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック)は、コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化リスクの高い患者において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)デルタ株および初期のオミクロン株に対する重症化抑制効果が示されている。重症化リスクの高いワクチン未接種の成人を対象とした、ランダム化比較試験「EPIC-HR試験」では、重症化リスクを89%低下させたことが報告されている。しかし、EPIC-HR試験はデルタ株流行期に行われた試験であり、オミクロン株流行期に主流となったBA.4系統、BA.5系統などに対する効果は明らかになっていない。そこで、米国・コロラド大学医学部のNeil R. Aggarwal氏らは、コロラド州の医療システムの記録を用いて、オミクロン株流行期の実臨床におけるニルマトレルビル/リトナビルの外来患者に対する有用性を検討した。その結果、SARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院、全死亡、救急受診を減少させ、SARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院の減少は、ワクチン接種状況や年齢、感染時期などに関係なく認められた。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年2月10日掲載の報告。

英国のコロナ水際対策は機能しなかった?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大阻止を目的に英国で実施された入国制限が、あまり機能していなかったことを示唆する研究結果が報告された。英国に到着する飛行機のトイレや到着ターミナルの下水を採取して分析した結果、ほとんどのサンプルから重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)が検出されたという。  この研究は、英バンガー大学のDavey Jones氏らによるもので、詳細は「PLOS Global Public Health」に1月19日掲載された。同氏は、「英国政府は、COVID-19罹患者が英国に到着する航空機に搭乗することを防ぐために、さまざまな対策を講じた。それにもかかわらず、分析したほぼ全ての排水や下水からウイルスが検出された」と、大学発のリリースの中で述べている。水際対策がうまくいかなかった理由としては、「搭乗する前の検査結果では陰性だったがその後に発症し、入国制限を回避して入国できたケースや、それ以外の可能性もある」とのことだ。同氏は、「いずれにしてもわれわれの研究結果は、他国から患者が流入するのを抑え込むという対策が失敗だったことを示している」と語っている。

黄色ブドウ球菌感染症にプロバイオティクスが有効な可能性

 プロバイオティクスサプリメントが、重度の薬剤耐性菌感染症を引き起こすことのある黄色ブドウ球菌の体内からの排除に役立つ可能性が、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のMichael Otto氏らの研究で示された。今後さらなる研究は必要だが、専門家らは、今回の研究結果は黄色ブドウ球菌の感染を予防する方法に結び付くかもしれないとの見方を示している。詳細は、「The Lancet Microbe」に1月13日発表された。  黄色ブドウ球菌は健康な人の体にも存在する常在菌で、特に鼻や皮膚に多く存在している。皮膚の感染症の原因菌となることの多い黄色ブドウ球菌だが、血流に入り込むと重度の致死性疾患を引き起こすこともある。特に懸念されるのが、数多くの抗菌薬に耐性を示し、「スーパー耐性菌」とも呼ばれるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)だ。そのため研究者らは、入院患者や透析患者などの高リスクの人たちに対しては、局所抗菌薬や消毒薬を用いて鼻や皮膚の黄色ブドウ球菌を死滅させようとしてきた。

5歳未満でCOVID-19と他のウイルスに重複感染すると重症化しやすい

 米疾病対策センター(CDC)による新たな研究から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のために入院した5歳未満の子どもが他の呼吸器感染症に重複感染すると、重症化リスクが高くなることが明らかになった。5歳以上では有意なリスク上昇は認められないという。  子どもに多い呼吸器感染症の原因として、ライノウイルス、エンテロウイルス、RSウイルスなどがあり、これらは一般に「風邪」として扱われる。COVID-19パンデミックとともに、マスク着用、身体的距離の確保をはじめとする厳格な対策が実施されたことで、これらの感染症も一時は減少し、ほとんど患者が見られなくなったものもある。しかし規制緩和によって再び増加し、米国では通常のシーズン以上にRSウイルスの感染が拡大。子どもたちが、COVID-19とそれらのウイルス感染症に重複して罹患する可能性が高まっている。

米国では600人以上の医師がパンデミックで死亡

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの初期に、米国では600人を超える医師の超過死亡が発生していたことが報告された。米スタンフォード大学のMathew Kiang氏らの研究によるもので、「JAMA Internal Medicine」に2月6日、レターとして掲載された。著者らは、COVID-19との闘いの第一線にいた医師が多数亡くなったことは、一般市民のCOVID-19関連死の増加をもたらした可能性もあると述べている。  Kiang氏らはこの研究に、米国医師会の医師の死亡に関するデータを使用。準ポアソン回帰モデルという統計学的手法を用いて、過去の医師の死亡件数を基に、季節性などを考慮したパンデミック中の医師の推定死亡リスクを算出。その値と実際の死亡者数との差から、超過死亡者数を割り出した。なお、検討対象期間中の45歳未満の医師の死亡は月5人未満と少数であったため、解析対象の年齢を45歳以上84歳までとした。

ペグIFN-λ、高リスクCOVID-19の重症化を半減/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種者を含むCOVID-19外来患者において、ペグインターフェロンラムダ(IFN-λ)単回皮下投与は、COVID-19進行による入院または救急外来受診の発生率をプラセボ投与よりも有意に減少させた。ブラジル・ミナスジェライスカトリック大学のGilmar Reis氏らTOGETHER試験グループが報告した。NEJM誌2023年2月9日号掲載の報告。  TOGETHER試験は、ブラジルとカナダで実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照アダプティブプラットフォーム試験である。研究グループは、ブラジルの12施設およびカナダの5施設において、SARS-CoV-2迅速抗原検査が陽性でCOVID-19の症状発現後7日以内の18歳以上の外来患者のうち、50歳以上、糖尿病、降圧療法を要する高血圧、心血管疾患、肺疾患、喫煙、BMI>30などのリスク因子のうち少なくとも1つを有する患者を、ペグIFN-λ(180μg/kgを単回皮下投与)群、プラセボ群(単回皮下投与または経口投与)または他の介入群に無作為に割り付けた。

過渡期に差し掛かったコロナ感染症:今後の至適ワクチンは?(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

本論評ではWinokur氏らの論文をもとに先祖株(武漢原株)とOmicron株BA.1に対応する2価ワクチンの基礎的知見を整理すると共に先祖株/BA.5対応2価ワクチンの基礎的、臨床的意義に言及する(BA.4とBA.5のS蛋白塩基配列は同じで、厳密には“BA.4/5対応”という表現が正しいが本論評では“BA.5対応”と簡略表記する)。さらに、今後のコロナ感染制御に必要な近未来のワクチンについても考察する。

オミクロン株XBB.1.5に対する治療薬と2価ワクチンの効果は?/東大

 東京大学医科学研究所の河岡 義裕氏らの研究グループは、新型コロナウイルスのオミクロン株XBB.1.5系統に対して、既存の抗体薬、抗ウイルス薬、並びにmRNAワクチンの有効性をin vitroで検証した。その結果、患者から分離したXBB.1.5に対して、4種類の抗体薬はいずれも効果が見られなかったが、4種類の抗ウイルス薬は高い増殖抑制効果を示したことが明らかとなった。また、2価ワクチン接種者の血漿が、XBB.1.5に対する中和活性を有していることが確認された。本結果は、Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年2月8日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

妊娠中のコロナワクチン接種、出生児の感染/入院を予防/BMJ

 妊娠中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン2回接種は、出生児の生後6ヵ月間における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)デルタ株への感染と入院に対し高い有効率を示し、オミクロン株の感染と入院に対しても中等度の予防効果が認められた。また、3回目のワクチン接種によりオミクロン株に対する有効率が上昇したこと、ワクチン2回接種の有効率は、母親の妊娠第3期での接種で最も高く、生後8週を過ぎると低下していた。カナダ・トロント大学のSarah C. J. Jorgensen氏らが、オンタリオ州の地域住民を対象とした検査陰性デザイン研究の結果を報告した。SARS-CoV-2中和抗体は、妊娠中の感染やワクチン接種により臍帯血、母乳、乳児血清に存在することが明らかになっており、妊娠中のCOVID-19ワクチン接種が、乳児のSARS-CoV-2感染および入院リスクを低下する可能性を示唆する新たなエビデンスが示されていた。BMJ誌2023年2月8日号掲載の報告。  研究グループは、ICES(旧名称:Institute for Clinical Evaluative Sciences)のデータベースを用い、カナダで最も人口の多いオンタリオ州において2021年5月7日~2022年3月31日の期間に生まれ、2021年5月7日~2022年9月5日の期間にSARS-CoV-2の検査を受けた生後6ヵ月未満児を特定し解析を行った。COVID-19ワクチン接種データベース(COVaxON)を用いて母親の妊娠中のワクチン接種状況を調べ、デルタ株またはオミクロン株の感染が検査で確認された乳児を症例群、検査が陰性であった乳児を対照群として、乳児のデルタ株またはオミクロン株の感染または入院に対するワクチン有効率を多変量ロジスティック回帰モデルにより解析した。