感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:42

コロナ肺炎からの回復、アバタセプトやインフリキシマブ追加で短縮せず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に起因する肺炎による入院患者において、アバタセプト、cenicrivirocまたはインフリキシマブはCOVID-19肺炎からの回復までの期間を短縮しなかった。米国・セントルイス・ワシントン大学のJane A. O'Halloran氏らが、米国および中南米の95病院で実施したマスタープロトコルデザインによる無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines (ACTIV)-1 Immune Modulator:ACTIV-1 IM試験」の結果を報告した。本検討は、COVID-19の予後不良の一因として免疫調節異常が示唆されていたことから実施された。JAMA誌2023年7月25日号掲載の報告。

小児の急性副鼻腔炎、鼻汁の色で判断せず細菌検査を/JAMA

 急性副鼻腔炎の小児において、鼻咽頭から細菌が検出されなかった患児は検出された患児に比べ抗菌薬による治療効果が有意に低く、その有意差を鼻汁の色では認められなかったことが、米国・ピッツバーグ大学のNader Shaikh氏らによる多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験で示された。急性副鼻腔炎とウイルス性上気道感染症の症状の大半は見分けることができない。そのため小児の中には、急性副鼻腔炎と診断されて抗菌薬による治療を受けても有益性がない集団が存在することが示唆されていた。結果を踏まえて著者は、「診察時に特異的な細菌検査をすることが、急性副鼻腔炎の小児における抗菌薬の不適切使用を減らす戦略となりうる」とまとめている。JAMA誌2023年7月25日号掲載の報告。

モデルナとファイザーのコロナワクチン、対象年齢や初回免疫の一変承認取得

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンを提供するモデルナおよびファイザーは、8月2日に各社のプレスリリースにて、ワクチンの接種対象年齢や初回免疫について一部変更承認を取得したことを発表した。  モデルナ・ジャパンのプレスリリースによると、同社の新型コロナワクチン「スパイクバックス筋注」についついて、これまで接種対象年齢が12歳以上だったものを、6歳以上に引き下げ、6~11歳の用法用量を変更する承認事項の一変承認を取得した。今回の一変承認は、「スパイクバックス筋注(1価:起源株)」の6~11歳における初回免疫、および「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」と「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」の6~11歳における追加免疫を対象としている。

新型コロナ、2価ワクチンブースターの有効性は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種について、オミクロンBA.4/5またはBA.1変異株対応2価ワクチンによるブースター接種(4回目接種)は、1価(起源株)ワクチン3回接種と比較して、50歳以上の成人におけるCOVID-19関連入院/死亡の低下と関連していたことを、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らが報告した。また、BA.4/5対応2価ワクチンとBA.1対応2価ワクチンの直接比較では、ワクチンの有効性に有意差はなく、潜在的な違いは絶対数では非常に小さいことが示唆されたという。BMJ誌2023年7月25日号掲載の報告。

国産初の新型コロナmRNAワクチンを追加免疫として承認、供給なし/第一三共

 第一三共は8月2日のプレスリリースにて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する起源株1価mRNAワクチン「ダイチロナ筋注」(DS-5670)について、「SARS-CoV-2による感染症の予防」を適応とした追加免疫における国内製造販売承認を取得したことを発表した。本剤については、2023年1月に国内製造販売承認申請を行い、COVID-19に対する国産初のmRNAワクチンとして今回承認に至った。本剤は、冷蔵(2~8度)での流通・保管が可能となるため、医療現場での利便性の向上が期待される。

コロナの急性期症状、男女差は?

 男性のほうが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状が重症化しやすく死亡率が高いという、性別による差異が報告されている。その理由として、男性のほうが喫煙率や飲酒率、予後悪化に関連する併存疾患を有している割合が高いなどの健康格差が示唆されている1)。今回、COVID-19の急性期症状の性差を調査したところ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性と判定された男性では発熱や悪寒といった特定の症状の発現率が女性よりも高いことが、米国・テキサス大学ヒューストン健康科学センター/アーカンソー医科大学のJenil R. Patel氏らにより明らかになった。Preventive Medicine Reports誌2023年10月号掲載の報告。

途上国で最強、最適な治療(解説:岡慎一氏)

ケニアで行われた臨床試験である。途上国では2000年以降、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)をKey drugとして、核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)2剤との3剤を合剤にしたGeneric薬が、治療の中心として用いられてきた。もちろん、これにより多くの命が救われた。しかし、NNRTIを中心とする治療は、治療に失敗した場合に薬剤耐性ウイルスが出やすい一方、薬の種類が少ないため、2回目以降の治療の選択肢は限られていた。その後、プロテアーゼ阻害薬(PI)がKey drugとなってから治療失敗による薬剤耐性の頻度はやや減ったが、PIは薬剤の相互作用が多く、脂質異常など副作用も多いため、すでに先進国ではあまり使用されていない。

秋接種、ファイザーとモデルナのXBB.1.5対応1価ワクチン購入合意/厚労省

 厚生労働省は7月28日、新型コロナワクチンの2023年秋開始接種に向けて、オミクロン株XBB対応1価ワクチンとして、ファイザーから2,000万回分、モデルナから500万回分を追加購入することについて、両社と合意したことを発表した。なお、必要に応じて追加購入することも合意している。  同日にファイザーが発表したプレスリリースによると、今回供給を予定しているのは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株XBB.1.5系統のスパイクタンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を含む1価ワクチンとなっている。本ワクチンは、同社が2023年7月7日に厚生労働省に承認事項一部変更申請を行っていた。

コロナによる医療中断で回避可能な入院リスク増/BMJ

 英国・リバプール大学のMark A. Green氏らは、同国7つの縦断研究のコホートデータを解析し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行中に医療へのアクセスが中断された人は、回避可能な入院をより多く経験していたとみられることを報告した。COVID-19流行中に医療サービスや治療へのアクセスがどの程度中断したかは、幅広い研究によって明らかとなっているが、この中断と健康への悪影響との関連を評価する研究が求められていた。著者は、「今回の調査結果は、パンデミックの短期的・長期的影響への対応や、将来のパンデミック時の治療・処置の保護のために、医療投資を増やす必要性を浮き彫りにしている」と述べている。BMJ誌2023年7月19日号掲載の報告。

亜鉛補給でコロナ死亡率低下~メタ解析

 亜鉛の補給によって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の死亡リスクが有意に低下することが、米国・Patel College of Allopathic MedicineのSpencer Z. Rheingold氏らのメタ解析によって明らかになった。Cureus誌2023年6月10日号掲載の報告。  亜鉛は必須微量元素の1つで、炎症や感染症における免疫系の重要な調節因子であるとともに、直接的な抗ウイルス作用もあることが報告されている。COVID-19患者の予後を改善するために多くの研究グループが亜鉛補給に関する試験を実施しているが、その効果には議論の余地がある。そこで研究グループは、亜鉛を補給したCOVID-19患者と補給していないCOVID-19患者の死亡率と症状の関連についてメタ解析を行った。