感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:42

2歳までの下気道感染、成人期の呼吸器疾患死リスク約2倍/Lancet

 幼児期に下気道感染症に罹患すると、肺の発達が阻害され、成人後の肺機能の低下や慢性呼吸器疾患の発症リスクが高まるといわれている。そのため、幼児期の下気道感染症の罹患は、呼吸器疾患による成人早期の死亡を引き起こすのではないか、という仮説も存在する。しかし、生涯を通じたデータが存在しないことから、この仮説は検証されていなかった。そこで、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJames Peter Allinson氏らは、1946年の出生コホートを前向きに追跡した。その結果、2歳未満での下気道感染があると、26~73歳の間に呼吸器疾患によって死亡するリスクが、約2倍となることが示された。Lancet誌オンライン版2023年3月7日号の報告。

ペニシリンアレルギー陰性の結果は薬局にきちんと伝わっていない可能性

 ペニシリンアレルギーがあると考えられていた患者が、検査で実際にはアレルギーはないと判定された場合、ペニシリンアレルギーに関する警告は診療記録や薬局の登録情報から削除されるはずである。しかし、そのようなラベルが常に外されているわけではないことが、新たな研究で明らかにされた。NYUランゴン・ロングアイランド病院のAlthea Marie Diaz氏らによるこの研究結果は、米国アレルギー・喘息・免疫学会(AAAAI 2023、2月24〜27日、米サンアントニオ)で発表され、要旨は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」2月号(増刊号)に掲載された。

米国では数年以内に鳥インフルエンザワクチンの試験的な接種へ

 米国保健当局が、持続する鳥インフルエンザの流行を食い止めるために、家禽へのワクチン接種を検討している。米国農務省(USDA)の動植物衛生検査部(APHIS)によると、2022/2023年シーズンで鳥インフルエンザにより死亡した家禽が5839万羽(2月17日時点)に上ったことを受け、数年以内に最初の鳥インフルエンザワクチンの試験的な接種を開始する予定だという。  今シーズンの流行では、全米50州中47州で家禽からウイルスが検出されている。野鳥への拡大も全州で確認されているが、死亡した鳥の多くは商業用の家禽であるという。しかし、ワクチン接種により問題が解決するわけではない。CBSニュースは、商業用の家禽にワクチンを接種すると、家禽製品の輸出が難しくなる可能性があると報じている。家禽獣医師のDavid Swayne氏は、「保健当局は目下、何を理由にワクチン接種に踏み切るのかを検討しているところだ。ある地域の養鶏場で大量の鶏が感染しているからなのか、ある程度の経済的損失が見込まれるからなのか。あるいは隣の州で感染が発覚したことに懸念を覚えるからなのか。これは極めて難しい問題だ」とCBSニュースに対して語っている。

生後6ヵ月~4歳児に、ファイザー2価ワクチン追加接種を承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は3月15日、ファイザーの新型コロナウイルスのオミクロン株BA.4/BA.5対応2価ワクチンについて緊急使用許可(EUA)を修正し、生後6ヵ月~4歳の小児において、同社の1価ワクチンの3回接種(初回シリーズ)が完了してから少なくとも2ヵ月後に、2価ワクチンによるブースター接種1回を行うことができることを発表した。  2022年12月に、生後6ヵ月~4歳の小児は、1価ワクチンの初回シリーズの2回目までを接種した者に対して、3回目に2価ワクチンを接種することが承認されていた。今回の生後6ヵ月~4歳への2価ワクチンブースター接種の承認では、上記の3回目に2価ワクチンを接種した小児は対象外となり、初回シリーズをすべて1価ワクチンで3回接種した者のみが対象となる。

パキロビッドパック600/300が薬価収載/ファイザー

 ファイザー(日本)は3月15日付のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する経口抗ウイルス薬の「パキロビッドパック600」および「パキロビッドパック300」(一般名:ニルマトレルビル/リトナビル)が薬価基準に収載されたことを発表した。薬価はそれぞれ、パキロビッドパック600(1シート)が19,805.50円、パキロビッドパック300(1シート)が12,538.60円となる。両パッケージともに、2023年3月22日から一般流通が開始される予定。

新型コロナワクチン、米国政府の投資額はいくら?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチンの開発、製造、購入に関連した米国政府の投資額を調べた結果、少なくとも319億ドルに上ることを、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のHussain S. Lalani氏らが明らかにした。このうち、COVID-19パンデミック前の30年間(1985~2019年)にわたり基礎的研究に投じmRNAワクチンの重要な開発に直接寄与した投資額は、3億3,700万ドルだったという。また、2022年3月までのパンデミック中に投じた金額は少なくとも316億ドルで、臨床試験(6%)、ワクチン開発(2%)、ワクチン購入(92%)に充てられていた。著者は「これらの公的投資は何百万人もの命を救うことにつながり、また将来のパンデミックへの備えとCOVID-19をしのぐ疾患を治療する可能性ももたらし、mRNAワクチン技術の開発に見合ったものであった」と述べ、「社会全体の健康を最大化するために、政策立案者は、公的資金による医療技術への公平かつグローバルなアクセスを確保しなければならない」とまとめている。BMJ誌2023年3月1日号掲載の報告。

花粉症患者はコロナによる嗅覚・味覚障害が悪化しやすい

 花粉症患者では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染時の嗅覚・味覚障害のリスクが高く、その回復も遅いことが、中国・西安交通大学のJingguo Chen氏らの調査によって明らかになった。Laryngoscope investigative otolaryngology誌2023年2月号掲載の報告。急な嗅覚障害や味覚障害の発現は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予測因子と考えられている。しかし、慢性副鼻腔炎や喘息、季節性アレルギー、アレルギー性鼻炎などを有する患者では、SARS-CoV-2に感染する前にすでに併存疾患の影響によって嗅覚障害や味覚障害が生じている可能性があり、それらによる評価が効果的ではないことがある。

米FDA、男性同性愛者の献血の制限緩和に向けた指針を提案

 同性愛者やバイセクシュアルの男性からの献血は長年にわたって制限されてきたが、近い将来、よりきめ細かな方針に変わる可能性がある。米食品医薬品局(FDA)は1月27日、輸血によるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染のリスクを軽減するための献血者の評価方法を、これまでのように時間を基準にしたものから、性差別的ではない、個人のリスクに基づく質問へと変更することを提案した。  具体的には、パートナーと一夫一婦制の関係を築いている同性愛者の男性は、献血前に性行為を控える必要は一切なくなりそうだ。1980年代以降に施行された規則では、採取された血液のHIV汚染リスクを理由に、同性愛者などが献血をする場合には、定められた期間、性行為を控えることが要求されていた。しかし、LGBT組織からの圧力や、血液スクリーニング技術の向上、血液バンクや米国医師会からの情報提供などを受け、FDAはその規則の再検討を行っていた。

今後の医師のマスク着用意向は?/医師1,000人アンケート

 新型コロナウイルス感染症対策として、これまで屋内では原則マスク着用、屋外では原則マスク不要とされてきたが、2023年3月13日よりマスクの着用は個人の判断が基本となった。CareNet.comでは、医師のプライベートにおけるマスク着用意向を探るため、会員医師1,000人を対象に『今後のマスクの着用意向に関するアンケート』を実施した。その結果、大多数の医師がマスクの着用基準が個人判断になることに賛成であり、プライベートでマスクを外したい医師と外したくない医師がほぼ半数であることが明らかとなった(2023年3月2日実施)。

SJS/TENの28%が抗菌薬に関連、その内訳は?

 抗菌薬に関連したスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)および中毒性表皮壊死症(TEN)は、全世界における重大なリスクであることを、カナダ・トロント大学のErika Yue Lee氏らがシステマティックレビューおよびメタ解析で明らかにした。抗菌薬関連SJS/TENは、死亡率が最大50%とされ、薬物過敏反応のなかで最も重篤な皮膚障害として知られるが、今回の検討において、全世界で報告されているSJS/TENの4分の1以上が、抗菌薬関連によるものであった。また、依然としてスルホンアミド系抗菌薬によるものが主であることも示され、著者らは「抗菌薬の適正使用の重要性とスルホンアミド系抗菌薬は特定の適応症のみに使用し治療期間も限定すべきであることがあらためて示唆された」とし、検討結果は抗菌薬スチュワードシップ(適正使用)、臨床医の教育と認識、および抗菌薬の選択と使用期間のリスク・ベネフィット評価を重視することを強調するものであったと述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年2月15日号掲載の報告。