内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:389

日本の再生医療を世界で勝たせるために/再生医療学会

 本年(2019年)3月に行われた第18回日本再生医療学会総会の中で、外科医でもある衆議院議員 厚生労働委員長の冨岡 勉氏は「再生医療を推進するために政治はどう取り組むべきか」と題して基調講演を行った。  世界時価総額ランキング上位20社中、1989年における日本企業は14社を占めた。しかし、2018年その数はゼロ。ほぼ米・中の争いである。研究の活性化指標である論文数の国別順位と国別論文シェアをみると、ゲノム編集、免疫療法、核酸医薬などがんゲノムに関連のテーマでわが国は上位にあるものの、その分野でも1位は米・中である。

認知症高齢者における入院前後の抗コリン作用性負荷

 ドイツ・ライプニッツ予防研究疫学研究所のJonas Reinold氏らは、認知症高齢者における入院中の抗精神病薬と抗コリン作用薬の使用変化を評価し、抗精神病薬処方と抗コリン作用性負荷(ACB)の増加に関連する因子について検討を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年2月13日号の報告。  2012~14年にイタリア・ウディネ大学病院に入院した認知症患者のうち、退院時診断を受けた65歳以上の患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。

日本人の食事摂取基準2020年版、フレイルが追加/厚労省

 2019年3月22日、厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の報告書とりまとめを了承した。昨年4月より策定検討会にて議論が重ねられた今回の食事摂取基準は、2020年~2024年までの使用が予定されている。策定検討会の構成員には、日本糖尿病学会の理事を務める宇都宮 一典氏や日本腎臓学会理事長の柏原 直樹氏らが含まれている。

日本語版スマートフォン中毒尺度の有用性

 日本におけるスマートフォン使用は、他の多くの国と同様に若者の間で蔓延しており、時と場所を選ぶことなくオンラインやソーシャルメディアに費やす時間と関連している。ときわ病院の館農 勝氏らは、日本の大学生を対象に、日本語版のスマートフォン中毒尺度短縮版(Smartphone Addiction Scale-Short Version:SAS-SV)のテストを行った。Psychiatry Investigation誌2019年2月号の報告。  日本の大学生602例を対象に、アンケートを実施した。

ナトリウムとカリウムの適切な1日摂取量は/BMJ

 世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、1日の栄養摂取量として、ナトリウムは2.0g未満に制限を、カリウムは3.5g以上摂取を推奨している。今回、カナダ・マックマスター大学のMartin O'Donnell氏らが行った調査(PURE試験)では、これら2つの目標を同時に満たす者はきわめてまれで、死亡/心血管イベントのリスクが最も低いのは、ナトリウム摂取量が3~5g/日でカリウム高摂取量(≧2.1g/日)の集団であることが明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2019年3月13日号に掲載された。ナトリウムについては相反する知見が報告されているが、多くでは摂取量と死亡にJ字型の関連が示されている。これに対し、カリウムは一般に摂取量が増えるに従って死亡が直線的に低下することが報告されている。一方、ナトリウム/カリウム比と臨床アウトカムとの関連を示唆する観察研究の報告もある

食べ物と認知症(解説:岡村毅氏)-1021

これを食べると認知症にならない、というものはあるのだろうか?「危険な食べ物」などの読み物は世の中にあふれているが、科学とは別物だ。私自身も楽しく読んだり見たりするので、批判はしないが…それに支配されて生活している人がいるのは困った現象だ。「やれ○○がいいとか悪いとか言いながら好き放題食べている日本人の何と多いことか…」さて本研究はおよそ四半世紀という長い観察期間をとって、食べ物と認知症の発症の関係をみたものであった。臨床家は皆同意すると思うが、有意な関連はみられなかった。食べ物についてはAHEIという指標で包括的に見ている(個別ではない)点が限界(limitation)といえるが、ほかに現実的なやり方はないであろう。とはいえ、健康的な食生活はほかの多くの疾患を予防するので、健康的な食生活が望ましいことは変わりないので早とちりなきよう。

骨粗鬆症の再骨折リスクを抑える新たな一手

 50歳以上では、骨粗鬆症により、女性の3人に1人、男性の5人に1人が脆弱性骨折を起こすといわれ、さらに、一度骨折した患者の再骨折リスクは大きく上昇する。高齢者の骨折は、患者・家族にとってだけでなく、社会にとっても大きな負担となるが、治療率は20%程度と決して高くない。  2019年3月14日、国内初のヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤である骨粗鬆症治療薬ロモソズマブ(商品名:イベニティ)が発売されたことを機に、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社がセミナーを開催した。そこで、松本 俊夫氏(徳島大学 藤井節郎記念医科学センター 顧問)、宮内 章光氏(医療法人 宮内内科クリニック 理事長)、浜谷 越郎氏(同社 研究開発本部 シニアメディカルアドバイザー)の3名が「骨粗鬆症治療における課題と治療成績向上に向けて」をテーマに講演を行った。

スタチン長期投与患者でベンペド酸が有益/NEJM

 ATPクエン酸リアーゼ阻害薬ベンペド酸(bempedoic acid)の安全性/有効性を評価した、52週間の無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「CLEAR Harmony試験」の結果が、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのKausik K. Ray氏らにより発表された。最大耐用量のスタチンへのベンペド酸の追加により、プラセボと比較して有害事象の発現が増加することなく、LDLコレステロール値が有意に低下したという。

スタチン治療とうつ病リスク

 スタチン治療によるうつ病発症リスクへの影響は、よくわかっていない。デンマーク・オーフス大学のOle Kohler-Forsberg氏らは、20年間のフォローアップを行ったコホート研究におけるスタチン治療とうつ病との関連を評価した。Journal of Affective Disorders誌2019年3月1日号の報告。  1920~83年に生まれたデンマーク人を対象に、1996~2013年のスタチン治療患者(スタチン群)を特定した。いくつかの潜在的な交絡因子を考慮し、年齢、性別、傾向スコアに基づきスタチン群に非スタチン群をマッチさせた。

日本ではC. difficile感染症の多くが見過ごされている?

 Clostridioides(Clostridium) difficileは、先進国における医療関連感染性下痢症の主要な原因である。後ろ向き研究では、日本では欧州や北米よりC. difficile感染症(CDI)の発生率が低いことが示されている。CDI発生率が実際に低いのか、不適切なC. difficile検査によるものかを調べるため、国立感染症研究所の加藤はる氏らが前向き研究を実施した。その結果、臨床的に意義のある下痢症患者を積極的に検査することによって、CDI発生率はわが国における今までの報告より高かった。この結果から、著者らは「日本ではCDI診断のための細菌学的検査が不適切であるため、多くのCDI患者が見過ごされていることを示唆している」と述べている。Anaerobe誌オンライン版2019年3月11日号に掲載。