内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:457

厳格降圧はCKD患者の死亡リスクを下げるのか~メタ解析

 高血圧患者における試験では、厳格な降圧が心血管疾患死や全死亡のリスクを低下させる一方、慢性腎臓病(CKD)の発症や進行のリスクを高める可能性が示唆されている。これまで、一般的なCKD患者において厳格な降圧が死亡におけるベネフィットと関連するのかどうか不明である。今回、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRakesh Malhotra氏らが無作為化試験(RCT)の体系的レビューとメタ解析を行った結果、高血圧とCKD(ステージ3~5)の併存患者において、厳格な降圧が低強度の降圧より死亡リスクが低かった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2017年9月5日号に掲載。

出生年代別にみた認知症の発症率

 経年的な認知症発症の傾向をよりよく理解するためには年齢とコホート効果を分ける必要があるが、この手法を用いた先行研究はほとんどない。今回、米国・アルベルト・アインシュタイン医学校のCarol A. Derby氏らが、アインシュタイン・エイジング研究に登録された70歳以上の参加者において認知症発症率および心血管系合併症の有病率の傾向を調べた結果、認知症発症率の低下が確認された。しかしながら、著者らは「人口の高齢化を考慮すると、発症率の低下が認知症負担の軽減につながるかどうかは不明」と述べている。JAMA neurology誌オンライン版2017年9月5日号に掲載。

炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇/Lancet

 炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と、また総脂質および脂質の種類別の摂取は全死亡リスクの低下と関連する。さらに総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連していないが、飽和脂質は脳卒中と逆相関していることが確認された。カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、5大陸18ヵ国で全死亡および心血管疾患への食事の影響を検証した大規模疫学前向きコホート研究(Prospective Urban Rural Epidemiology:PURE)の結果、報告した。主要栄養素とCVDや死亡との関連性については、これまでのデータのほとんどが栄養過剰の傾向にある欧州や北米の集団からのもので、他の集団にも当てはまるか不明であった。著者は、「今回の結果を踏まえ、世界的な食事ガイドラインを再検討すべきである」と提言している。Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載の報告。

認知症発症への血圧の影響、ポイントは血圧変動:九州大

 これまでの研究では、診察室血圧変動の大きさが、認知障害や認知症のリスク因子であることが報告されている。しかし、家庭での血圧測定によって評価された日々の血圧変動と認知症発症との関連を調べた研究はなかった。九州大学の大石 絵美氏らは、久山町研究に登録されている日本人高齢者の日常血圧変動と認知症リスクとの関連を調査した。Circulation誌2017年8月8日号の報告。

網膜動脈閉塞症、民族性や心血管・腎疾患との関連は?

 これまでアジアにおける、網膜動脈閉塞症に関する住民ベースのデータは限られていたが、シンガポール・国立眼科センターのNing Cheung氏らによるシンガポール眼疾患疫学研究において、中国人、インド人およびマレー人の計約1万人中、網膜動脈閉塞症の有病率は約1%、インド人で有病率が最も高く、従来から指摘されている心血管リスク因子、脳卒中のほか、慢性腎臓病との関連が明らかとなった。網膜動脈閉塞症の存在は、脳のみならず腎臓での血管の塞栓性イベントおよび損傷の徴候である可能性を示唆する結果であり、著者は「これらが長期的な研究で確認されれば、網膜動脈閉塞症を有する患者では心血管および腎臓の評価が必要となるだろう」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年8月24日号掲載の報告。

メタボの予防法は性別によって異なる?~亘理町研究

 日本において、メタボリックシンドローム(MetS)とプレメタボリックシンドローム(preMetS)は男性でより多くみられる。しかし、これらの代謝障害と生活習慣因子との関係に性別による違いがあるかどうかは不明である。東北労災病院の服部 朝美氏らは、30歳以上の一般集団の日本人における、MetSとpreMetSに対する男女別の生活習慣因子との関連を調べた。その結果、MetSとpreMetSに関連する生活習慣因子は男女で異なり、著者は「MetSの効果的な予防には、性別によって特有の生活習慣の変更が必要であることが示唆された」とまとめている。Internal medicine誌2017年8月10日号掲載の報告。