内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:51

初回禁煙治療をバレニクリンまたは併用ニコチン代替療法で行い失敗した場合の有効な次の手だて(初期治療薬剤の用量アップ?)(解説:島田俊夫氏)

タバコは「百害あって一利なし」といわれています。この言葉は耳にたこができるほど聞いているけれど禁煙成功率は相変わらず低い。喫煙は自分のみならず他人をも巻き込む悪習です。元気で長生きしたければ病気になるリスクを減らすことが最善の策です。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPaul M. Cinciripini氏らが、二重盲検ランダム割り付けによる6週間の禁煙初期治療に失敗した対象者を継続/増量/切り替えの3群にランダムに再割り付けを行った治療継続6週後の研究成果を、JAMA誌オンライン版2024年5月2日号に報告しました。これまで初期治療失敗者を継続し、再治療目的の割り付けにより治療効果を検証した研究はごく少なくコメントします。

「生活習慣病管理料」算定に適した指導・効率的な方法は?

 6月の診療報酬改定後もなお話題になっている、生活習慣病に係る医学管理料の見直し。今回の改定では、▽生活習慣病管理料(II)の新設(検査などを包括しない生活習慣病管理料 II[330点、月1回])▽生活習慣病管理料の評価および要件の見直し(療養計画書の簡素化、電子カルテ情報共有サービスの活用など)▽特定疾患療養管理料の見直し(対象疾患から生活習慣病である糖尿病、脂質異常症、高血圧症が除外)といった点が変更された。とくに高血圧症などの生活習慣病患者に対し、これまでの特定疾患療養管理料に近い点数を生活習慣病管理料で算定していくためには、療養計画書の作成、診療ガイドラインに基づいた疾患管理、リフィル処方箋に関する掲示、多職種連携推奨…といった要件が多く、今回の改定による医師の負担増は免れない。そこで今回、谷川 朋幸氏(CureAppメディカル統括取締役/聖路加国際病院 医師)は患者を効果的な生活改善へと導き、医師が効率的に療養計画書を作成するための高血圧治療補助アプリを活用した打開策をCureApp主催メディアセミナーにて紹介した。

超加工食品の利便性・時短性のとりこになる危険に警鐘を鳴らす!(大規模コホート研究)―(解説:島田俊夫氏)

超加工食品に関する報告によれば、総じて全死因死亡(全死亡)リスクを高めるとの結論で一致しています。ただし、これまでのところ心血管疾患に関しては、リスクを高めることは全面的に肯定されているわけではありません(当論文において有意差を認めていないが否定するものではありません)。食事を楽しむことができないような忙しい生活の中で、利便性や時短性に優れた超加工食品が重宝される傾向はわからないわけではありませんが、超加工食品への極端な嗜好は健康長寿と相反しており、将来の健康に懸念を抱かざるを得ません。

日本人高齢者におけるうつ病、認知症、死亡リスクの関係〜JAGES縦断的研究

 日本人高齢者を対象とした全国コホートに基づき、中国・広東薬科大学のShan Wu氏らは、うつ病、認知症、すべての原因による死亡率の関連および用量反応関係を調査した。The Journals of Gerontology. Series B, Psychological Sciences and Social Sciences誌オンライン版2024年5月23日号の報告。  2010〜19年に実施された日本老年学的評価研究(JAGES)の65歳以上の参加者4万4,546例を対象に縦断的研究を実施した。抑うつ症状は老年期うつ病評価尺度(GDS-15)、認知症は公的な長期介護保険(LTCI)を用いて評価した。うつ病の重症度が認知症の発症率およびすべての原因による死亡率に及ぼす影響を評価するため、Fine-gray modelおよびCox比例ハザードモデルをそれぞれ用いた。認知症を介したうつ病とすべての原因による死亡率との関連性の評価には、因果媒介分析(CMA)を用いた。

新たな男性用避妊ジェル、第2相試験で有望な結果

 新しいジェル状のホルモン剤が男性用の避妊法として有望な可能性を示した第2相試験の結果が報告された。2種類のホルモン剤を組み合わせたこの避妊ジェルは、ホルモン剤をベースにした他の実験的な男性用避妊薬よりも短期間で精子の生産を抑制することが示されたという。米国立衛生研究所(NIH)の避妊薬開発プログラム主任であるDiana Blithe氏らによるこの研究は、米国内分泌学会(ENDO 2024、6月1〜4日、米ボストン)で発表された。Blithe氏は、「男性にとって、安全で効果が高く、可逆的であることが確実な避妊法の開発は、アンメットニーズである」と述べている。

心臓足首血管指数は心不全の予後と関連

 動脈硬化の指標とされる心臓足首血管指数(cardio-ankle vascular index;CAVI)は、心不全入院患者の予後と有意に関連するという研究結果が発表された。東邦大学大学院医学研究科循環器内科学の木内俊介氏らが日本人患者を対象に行った研究であり、「Journal of Clinical Medicine」に5月6日掲載された。  大動脈は「Windkessel効果」と呼ばれる機能を持ち、収縮期に左室から拍出された血液の一部は大動脈に蓄えられ、その血液は拡張期に末梢に送り出される。この血管機能の破綻は心不全の一因とされるが、血管機能障害と心不全の予後との関係は完全には解明されていない。また、心不全の治療は進歩しているものの、心不全患者の死亡率や再入院率は低下しておらず、適切な予後の評価と治療が重要となる。

米国アカデミー、Long COVIDの新たな定義を発表

 米国科学・工学・医学アカデミー(NASEM)※は6月11日、「Long COVIDの定義:深刻な結果をもたらす慢性の全身性疾患(A Long COVID Definition A Chronic, Systemic Disease State with Profound Consequences)」を発表した。Long COVID(コロナ罹患後症状、コロナ後遺症)の定義は、これまで世界保健機構(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)などから暫定的な定義や用語が提案されていたが、共通のものは確立されていなかった。そのため、戦略準備対応局(ASPR)と保健次官補室(OASH)がNASEMに要請し、コンセンサスの取れたLong COVIDの定義が策定された。全166ページの報告書となっている。本定義は、Long COVIDの一貫した診断、記録、治療を支援するために策定された。

医師が年収アップのために行っていることは?/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2月20日(火)に会員医師1,004人を対象に、「年収に関するアンケート」を実施した。その中で、自身のワークライフバランスの希望や、年収を増やすために行ったこと/行っていることについて尋ねた。  調査では、年収とワークライフバランスの希望について、(1)勤務時間は大きく増えてもよいので、年収を大きく増やしたい、(2)勤務時間は少し増えてもよいので、年収を少し増やしたい、(3)年収は少し減ってもよいので、勤務時間を少し減らしたい、(4)年収は大きく減ってもよいので、勤務時間を大きく減らしたい、の4つから最も近いものを選んでもらった(以下、それぞれ「勤務時間大きく増/年収大きく増」、「勤務時間やや増/年収やや増」、「勤務時間やや減/年収やや減」、「勤務時間大きく減/年収大きく減」)。年収を増やすために行ったこと/行っていることはフリーコメントで記載してもらった。

日本における入院患者のせん妄に対する新規睡眠導入薬の予防効果〜レトロスペクティブコホート研究

 新規睡眠導入薬であるラメルテオン、スボレキサント、レンボレキサントなどは、せん妄の高リスク患者の予防に有用であることが示唆されている。しかし、入院患者において、すべての新規睡眠導入薬のせん妄予防効果を同時に評価した研究は、これまでなかった。久留米大学の逸見 竜次氏らは、精神疾患以外で一般内科および外科に入院し、不眠症のリエゾン介入を受けた患者を対象に、睡眠導入薬の使用とせん妄予防との関連を明らかにするため、本研究を実施した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2024年6月3日号の報告。

軽い健康問題なら薬剤師による治療が低コストの選択肢に

 薬剤師が軽症の疾患を治療できるようにすることで、患者の治療費を抑えられるとともに、より多くの人が医療にアクセスできるようになり、何百万ドルもの医療費を削減できる可能性のあることが、米ワシントン州立大学薬物療法学准教授のJulie Akers氏らの研究で示された。研究結果は、「ClinicoEconomics and Outcomes Research」に5月3日掲載された。  この研究で検討の対象となった米ワシントン州では、1979年以降、医師から特定の医薬品を処方および投与する許可を得た薬剤師には、患者を治療する法的権利が認められている。薬剤師はその教育の一環として、日常的によく見られる疾患の臨床評価の研修を受けており、OTC医薬品(市販薬)で治療可能な疾患についての助言を行っている。薬剤師が関与できるレベルをさらに上げて、患者を治療する権利である「処方権」を与えれば、薬剤師は、OTC医薬品では不十分な場合に医療用医薬品を処方することも可能になる。