内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:52

レジオネラ症への効果、キノロン・マクロライド・2剤併用で比較

 レジオネラ症は、レジオネラ肺炎を引き起こす。レジオネラ肺炎は市中肺炎の1~10%を占め、致死率は6.4%という報告もある。『JAID/JSC感染症治療ガイド2023』では、第1選択薬として、キノロン系抗菌薬(レボフロキサシン、シプロフロキサシン、ラスクフロキサシン、パズフロキサシン)、マクロライド系抗菌薬(アジスロマイシン)が推奨されている。しかし、これらの薬剤による単剤療法や併用療法の有効性の違いは明らかになっていない。そこで、忽那 賢志氏(大阪大学大学院医学系研究科 感染制御学 教授)らの研究グループは、DPCデータを用いて、レジオネラ症に対するキノロン系抗菌薬単独、マクロライド系抗菌薬単独、これらの併用の有効性を比較した。その結果、併用療法と単剤療法には有効性の違いがみられなかった。本研究結果は、International Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2024年2月15日号で報告された。

川崎病、3歳以上の罹患は30年で5倍に

 川崎病は小児および青年の後天性心疾患であり、日本で初めて報告された。50年にわたる研究にもかかわらず、その原因はまだ特定されていない。日本における川崎病患児を対象に、過去30年間の年齢・地域・季節性と罹患率の相関を調査した研究が行われた。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のLaurel L. DeHaan氏らによる本研究は、JAMA Network Open誌2024 年2月 6日号に掲載された。  研究者らは、日本全国の川崎病を診療する病院を対象とした全国調査データを用いた横断的研究を行った。1970~2020年に川崎病で入院した患児42万2,528例が対象となり、2022~24年にデータを解析した。患児を乳児(生後6ヵ月未満)、幼児(6~24ヵ月未満)、2歳児(24~36ヵ月未満)、3歳以上児(36ヵ月以上)に層別化し、データを解析した。

肝線維化の食い止めに、NASH治療アプリの国内第III相試験開始/CureApp

 いまだに治療法のない生活習慣病であるNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の光明の一筋となるか―。CureAppは研究開発中の未承認医療機器であるNASH治療アプリ(以下、本アプリ)の国内第III相臨床試験を2024年1月より開始したことを2月20日の記者会見にて公表した。  本治験は、NASHと診断された患者のうち、生活習慣指導により治療効果が期待できると医師が判断した患者を対象に、治験実施医療機関にて本アプリを併用する診療群(介入群)と医師による生活習慣指導シートと体重記録シートを併用して診療する群(対照群)にわけて、登録後48週時点での有効性と安全性を検証する。主要評価項目は、登録後48週時点における肝線維化の増悪を伴わないNASHが改善した患者の割合(NASHからnon-NASHになった割合)。

転倒リスクが低減する運動は週何分?

 高齢女性7,000人超を対象としたコホート研究によって、150分/週以上の余暇の運動を行っている場合、けがを伴う転倒とけがを伴わない転倒の両方のリスクが有意に低減したことを、オーストラリア・シドニー大学のWing S. Kwok氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2024年1月31日号掲載の報告。  世界保健機関(WHO)は、心身の健康のために150~300分/週の中強度の運動を行うことを推奨している。しかし、これまでのシステマティックレビューおよびメタ解析では、運動量と転倒または転倒に伴うけがとの関連に一貫性がない。そこで研究グループは、高齢女性における余暇の運動量・種類と、けがを伴わない転倒およびけがを伴う転倒との間に関連性があるかどうかを調べるため、一般集団ベースのコホート研究を行った。

PPIだけでない?P-CABでも胃がんリスク上昇か/東大病院ほか

 ピロリ菌除菌後の胃がん発症とプロトンポンプ阻害薬(PPI)との関連が報告されている。近年、PPIに替わってカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)が用いられているが、P-CABでもピロリ菌除菌者の胃がん発症リスクの上昇が認められたことが、新井 絢也氏(東京大学医学部附属病院 消化器内科)らによって、Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2024年2月12日号で報告された。  本研究では、約1,100万例の患者情報を有する大規模レセプトデータを用いて、ピロリ菌除菌後患者5万4,055例を抽出し、P-CABによる胃がん発症リスクを検討した。P-CABによる胃がん発症リスクの上昇の有無は、胃がん発症リスクと関連がないとされるヒスタミン2受容体拮抗薬(H2RA)を内服する患者を対照群(H2RA群)とし、傾向スコアマッチングを行うことで評価した。また、感度分析として、P-CABを内服する患者(P-CAB群)とPPIを内服する患者(PPI群)を比較した。

睡眠が認知症発症に及ぼす影響

 睡眠障害と認知症との関係は、依然としてよくわかっていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のYing Xiong氏らは、高齢者(65歳以上)における睡眠対策と認知症との関係を調査し、これらの因果関係を明らかにするため、本研究を実施した。その結果、若年高齢者の短時間睡眠者、高齢者および頻繁にアルコールを摂取する長時間睡眠者において、認知症リスクとの関連が示唆された。Psychiatry Research誌オンライン版2024年1月28日号の報告。  高齢者における睡眠対策と認知症との関係を調査するため、English Longitudinal Study of Ageing(ELSA)のデータを用いた。さらに、Cox回帰モデルおよびメンデルランダム化(MR)分析を用いて、因果関係を調査した。

電子タバコは禁煙継続に有効?/NEJM

 標準的な禁煙カウンセリングに電子ニコチン送達システム(電子タバコ[e-cigarettes]とも呼ばれる)の無料提供を追加すると、禁煙カウンセリングのみより6ヵ月間の禁煙継続率が高まったことが、スイス・ベルン大学のReto Auer氏らが、スイス国内5施設で実施した非盲検比較試験「Efficacy, Safety and Toxicology of Electronic Nicotine Delivery Systems as an Aid for Smoking Cessation:ESTxENDS試験」の結果で示された。電子ニコチン送達システムは、禁煙を補助するため禁煙者に使用されることがあるが、このシステムの有効性と安全性に関するエビデンスが必要とされていた。NEJM誌2024年2月15日号掲載の報告。

肝がん、乳がんが多い都道府県は?「がんの県民性」を知る

 企業でのがん対策を進めることを目的に厚生労働省が行うプロジェクト「がん対策推進企業アクション」は2月14日、プレス向けセミナーを行った。プロジェクトの推進役である東京大学特任教授の中川 恵一氏が「がんの県民性」をテーマに講演を行った。 ――世界中でも、国や人種によって多いがんと少ないがんがあるが、実は日本国内でも地域ごとに発生するがんの種類にバラツキがある。この要因はさまざまなものがあり、遺伝子、人口構成、食生活などが影響している。そして、最も大きな原因と考えられるのが、ウイルスの偏在と感染だ。

卵や野菜の摂取が日本人のうつ病リスクと関連

 山形県立米沢栄養大学の北林 蒔子氏らは、日本人労働者における食品群別の摂取量とうつ病との関連を調査するため、アンケート調査を実施した。その結果、男性では卵、女性では卵と野菜(緑黄色野菜以外)の摂取がうつ病と関連している可能性が示唆された。BMC Nutrition誌2024年1月30日号の報告。  2020年、日本人労働者568人を対象にアンケート調査を実施した。回答した503人中423人を研究対象に含めた。性別、年齢、BMI、残業時間、睡眠時間、婚姻状況、職位、運動習慣、喫煙状況、うつ病の発症および、エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、アルコール、食品群別の摂取に関する情報を収集した。うつ病の有無および重症度の評価には、うつ病自己評価尺度(CES-D)を用いた。食品群別の摂取量は、残差法を用いてエネルギー摂取量を調整し、性別ごとに、低、中、高に分類した。うつ病の有無を従属変数、食品群別の摂取量を独立変数とし、ロジスティック回帰分析により性別に応じたオッズ比(OR)と傾向を分析した。

「座りっぱなし」でCVD死亡リスク34%増 

 2020年に発表された世界保健機関(WHO)ガイドラインでは、初めて「座り過ぎ」が健康を害し、心臓病、がん、2型糖尿病のリスクを高めることが明記された。長時間座ることの多い仕事は健康リスクにどのように影響し、それは身体的活動で軽減することができるのか。台湾・台北医科大学のWayne Gao氏らによる研究の結果が、JAMA Network Open誌2024年1月19日号に掲載された。  本試験は、1996~2017年の台湾の健康監視プログラムの参加者を対象とした前向きコホート研究だった。職業的座位時間、余暇時間における身体活動(LTPA)習慣、ライフスタイル、代謝パラメータに関するデータを収集した。データ解析は2020年12月に行われた。