内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:54

HFrEF患者へのRAS阻害薬、人種間の効果差は?/JAMA

 レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者の管理において重要であるが、黒人患者に対する効果が低いとの懸念がある。中国・杭州師範大学のLi Shen氏らは、RAS阻害薬の死亡抑制効果は黒人と非黒人で同程度であり、心不全による入院の、RAS阻害薬による相対リスクの減少効果は黒人患者で小さいものの、黒人患者は心不全による入院の発生率が高いため、絶対的な有益性は非黒人患者と変わらないことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年5月29日号で報告された。

大腸がん検診、検査方法の選択肢提示で受診率が向上

 患者に大腸がんの検査方法の選択肢を与えることで、検診を受ける患者数が2倍以上に増えたとする研究結果が報告された。米ペンシルベニア大学医学部のShivan Mehta氏らによるこの研究結果は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に4月30日掲載された。  研究グループの説明によると、大腸がん検診は現在、リスクレベルが平均的な人には45歳からの受診が推奨されているが、大腸がんの既往歴や家族歴がある人は、より早い時期から検診を受けなければならない可能性もあるという。

賞金がかかると減量達成率が向上する

 男性を対象とした研究から、金銭的なインセンティブがあると減量目標の達成率が有意に向上するという結果が報告された。第31回欧州肥満学会(ECO2024、5月12~15日、イタリア・ベニス)で英スターリング大学のPat Hoddinott氏らが発表し、同14日に「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に論文が掲載された。  この研究におけるインセンティブは、設定された減量目標を達成した場合に、最大400ポンド(約8万円)を受け取れるというもの。研究に参加して減量に成功したNevil Chesterfieldさん(68歳)は、「私にとって研究参加は大変有意義だった。もちろん金銭的インセンティブは重要だったが、大学の研究に参加するということに価値があると思えたし、将来の医療政策に役立てるために行うという研究趣旨の説明にも真剣さを感じた」と語っている。

モデルナ・ジャパン、RSウイルスワクチンを承認申請

 2024年5月30日、モデルナ・ジャパン株式会社は、60歳以上の成人を対象としたRSウイルス(RSV)感染症予防のためのmRNAワクチン「mRNA-1345」の製造販売承認を厚生労働省に申請したと発表した。  RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)は、高い感染力を持つ呼吸器ウイルスで、感染者の咳やくしゃみ、またはウイルスが付着した手や物体に触れることで伝播する。感染症状は、一般的な風邪の症状から始まり、進行すると、とくに脆弱な乳児や高齢者においては、呼吸困難や入院、最悪の場合は死亡に至ることもある。

極端な運動でも寿命が縮まることはない

 何世紀にもわたり、運動と健康の間にはU字型の関係があると考えられてきた。つまり、運動量は少な過ぎても多過ぎても健康を損なうという考え方だ。しかし、最大限のパフォーマンスに自分を追い込むアスリートは、長寿に関しては代償を払う必要はないようだ。1マイル(約1.6km)を4分以内で走り切った最初の200人のアスリートは、一般的な人よりも平均5年近く長生きする可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。アルバータ大学(カナダ)のMark Haykowsky氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Sports Medicine」に5月10日掲載された。

口腔内細菌の検査で胃がんが検出可能に?

 がんによる死亡者数としては世界で4番目に多い胃がんが、いつの日か、診察室での口腔洗浄液を用いた簡単な検査で発見されるようになるかもしれない。米ラトガーズ・ロバート・ウッド・ジョンソン医科大学のShruthi Reddy Perati氏らによる研究で、胃がん患者やその予備軍の口腔から採取した細菌サンプルは、健康な患者から採取した細菌サンプルとは明らかに異なることが明らかになった。この研究結果は、米国消化器病週間(DDW 2024、5月18〜21日、米ワシントン)で発表された。  Perati氏は、「口腔マイクロバイオームと胃のマイクロバイオームはつながっており、口腔内にどのような細菌がいるかを知ることで、胃の環境についても知ることができる。このことは、診療で用いられている検査や診療ガイドラインの変更につながるほど大きな意味を持つ」と述べている。

日本人における頭痛で受診する患者としない患者の特徴

 富士通クリニックの五十嵐 久佳氏らは、頭痛で医療機関を受診した患者と受診しなかった患者の特徴を明らかにするため、観察研究を実施した。BMJ Open誌2024年4月29日号の報告。  横断的なオンライン調査および医療請求データを用いて、観察研究を実施した。オンライン調査は、2020年11月に自己記入式アンケートで実施し、2017年12月〜2020年11月の医療請求データは、DeSCヘルスケアより提供された。性別と年齢が請求データと一致した19〜74歳の回答者2万1,480人のうち、頭痛を経験した人は7,311人であった。アウトカムは、参加者の特徴、医療機関の受診状況、薬物療法、片頭痛のQOLアンケート(MSQ)Ver.2.1より測定したQOL、頭痛重症度とした。

日本における市中感染と院内感染の罹患率と死亡率~全国7千万例超のデータ

 細菌および真菌感染症の罹患率や死亡率の現状と年次傾向について、市中感染と院内感染の観点から報告した研究はほとんどない。今回、千葉大学の高橋 希氏らが日本の全国保険請求データベースに登録された7千万例超の入院患者のデータを調べたところ、院内死亡率は院内感染のほうが市中感染よりも有意に高かったが、両群とも死亡率は低下傾向であることが示された。BMC Infectious Diseases誌2024年5月23日号に掲載。

混合型脂質異常症へのRNA干渉薬zodasiran、TGを有意に低下/NEJM

 肝臓におけるアンジオポエチン様3(ANGPTL3)の合成と分泌を阻害する低分子干渉(si)RNA薬のzodasiranは、混合型脂質異常症患者において、プラセボと比較し24週時のトリグリセライド(TG)値を有意に低下させたことが示された。米国・Mount Sinai Fuster Heart HospitalのRobert S. Rosenson氏らARCHES-2 Trial Teamが、4ヵ国25施設で実施した第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照用量設定試験「ARCHES-2試験」の結果を報告した。ANGPTL3は、リポ蛋白および血管内皮リパーゼを阻害することで、TGに富むレムナントリポ蛋白の肝臓への取り込みを阻害する。ANGPTL3遺伝子の機能喪失型変異保有者は非保有者と比較し、TG、LDLコレステロール、HDLコレステロール、non-HDLコレステロールの値が低く、アテローム動脈硬化性心血管疾患のリスクが低いことが知られていた。NEJM誌オンライン版2024年5月29日号掲載の報告。

“アルバイト代”の占める割合、収入・診療科による違いは?/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2月20日(火)に会員医師1,004人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その中で昨年度のアルバイト代について尋ねたところ、全体の26%が200万円未満と回答、次いで13%が200~400万円未満、9%が300~600万円未満と回答した。一方で、34%はアルバイトをしていないことが明らかとなった。