内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:72

第一三共のXBB.1.5対応mRNAコロナワクチン、一変承認取得

 第一三共は11月28日付のプレスリリースにて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するオミクロン株XBB.1.5対応1価mRNAワクチン「ダイチロナ筋注」(DS-5670)について、追加免疫における製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。本ワクチンが特例臨時接種に使用されるワクチンとして位置付けられ次第、厚生労働省との供給合意に基づき、国産初のmRNAワクチンとして供給を開始し、2023年度中に140万回分を供給する予定。  厚労省が11月27日に公表した資料(一変承認前の情報)によると、本ワクチンは、既SARS-CoV-2ワクチンの初回免疫完了者(12歳以上)に対する、「追加免疫」として使用することができる。

適度な飲酒量は存在する?

 適量の飲酒の健康への影響についてはまだよくわかっていない。今回、肥満および2型糖尿病に対する飲酒の用量依存的影響についてバイアスを減らして評価するために、カナダ・トロント大学のTianyuan Lu氏らがメンデルランダム化法を用いて検討した。その結果、観察研究での関連とは異なり、適度な飲酒に肥満や2型糖尿病の予防効果はない可能性が示された。さらに、大量の飲酒は肥満度を増加させるだけでなく、2型糖尿病リスクを増加させる可能性があることが示唆された。The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌2023年12月号に掲載。  メンデルランダム化法は、観察研究における交絡や逆因果によるバイアスを軽減し、飲酒の潜在的な因果的役割を評価するのに役立つ。本研究では、UK Biobankに登録されたヨーロッパ系血統の40万8,540人について、最初に自己申告による飲酒頻度と10項目の身体測定値、肥満、2型糖尿病との関連を検証した。その後、全集団と、飲酒頻度で層別化した部分集団の両方でメンデルランダム化法を用いて解析を行った。

ベンゾジアゼピン使用と認知症リスク~メタ解析包括レビュー

 高齢化社会に伴い、認知症の患者数は増加しており、認知症が主な死因の1つとなっている。しかし、ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関係については、一貫した結果が得られておらず、エビデンスの最新レビューが必要とされる。台湾・中国文化大学のChieh-Chen Wu氏らは、メタ解析の包括的レビューを実施し、ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関連についての入手可能なエビデンスを要約した後、その信頼性を評価した。Journal of Personalized Medicine誌2023年10月12日号の報告。  ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関係を調査した観察研究のメタ解析をシステマティックに評価した。各メタ解析について、全体的なエフェクトサイズ、不均一性、バイアスリスク、論文の公表年を収集し、事前に指定した基準に基づきエビデンスの格付けを行った。各研究の方法論的な品質の評価には、システマティックレビューを評価するための測定ツールAMSTARを用いた。

無症候性心房細動の脳卒中予防、アピキサバンvs.アスピリン/NEJM

 無症候性の心房細動患者への経口抗凝固療法について、アピキサバンはアスピリンと比較し、脳卒中または全身性塞栓症を減少するが大出血が増加したことを、カナダ・マクマスター大学のJeff S. Healey氏らが、欧米16ヵ国247施設で実施された無作為化二重盲検比較試験「Apixaban for the Reduction of Thrombo-Embolism in Patients with Device-Detected Subclinical Atrial Fibrillation trial:ARTESIA試験」の結果で報告した。無症候性心房細動は、持続時間が短く無症状であり、通常はペースメーカーまたは除細動器による長期的な連続モニタリングによってのみ検出可能である。また、脳卒中のリスクを2.5倍増加するが、経口抗凝固療法による治療効果は不明であった。NEJM誌オンライン版2023年11月12日号掲載の報告。

コロナワクチン、2024年度より65歳以上に年1回の定期接種へ/厚労省

 国内の新型コロナウイルスワクチン接種について、厚生労働省は11月22日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会と同分科会予防接種基本方針部会を開催し、2023年度末に「特例臨時接種」を終了し、2024年度以降は、65歳以上の高齢者を対象に「定期接種」として実施する方針を了承した。基礎疾患を有する60~64歳については重症化リスクも考慮し、重症化予防を目的とした接種を行う。  2024年度以降の新型コロナワクチン接種については、個人の重症化予防により重症者を減らすことを目的としインフルエンザと同様の予防接種法のB類疾病に位置付けたうえで、法に基づく定期接種として実施する。

ハイリスク患者のLDL-C目標達成に期待、持続型LDL-C低下siRNA製剤とは/ノバルティス

 2023年9月25日に製造販売承認を取得した国内初の持続型LDLコレステロール(LDL-C)低下siRNA製剤インクリシランナトリウム(商品名:レクビオ皮下注)が11月22日に薬価収載および発売された 。それに先立ち開催されたメディアセミナーにおいて、山下 静也氏(りんくう総合医療センター 理事長)が薬剤メカニズムや処方対象者について解説した(主催:ノバルティスファーマ)。  インクリシランナトリウムは、PCSK9蛋白をコードするmRNAを標的としたsiRNA(低分子干渉RNA)製剤である。PCSK9は、LDLの肝臓への取り込みを促進するLDL受容体を分解して血中LDLの代謝を抑制する効果があり、PCSK9阻害薬として国内ではモノクローナル抗体のエボロクマブ(製品名:レパーサ)が2016年に上市している。一方、インクリシランナトリウムは「GalNAc(N-アセチルガラクトサミン)という構造体を有することで標的組織である肝臓に選択的に取り込まれ、肝細胞内で肝臓のRNAi機構によりPCSK9蛋白の産生を抑制するというまったく異なる作用機序を持つ」と、山下氏はインクリシランナトリウムと既存のPCSK9阻害薬の主な違いについて説明した。

2週間のジョギングなどが冷え性と睡眠の質を改善/山口県立大学

 日常生活における女性の悩みの1つに冷え性がある。とくに若年の女性では、通年を通じて困っている人も多い。こうした症状の改善にはどのような方法があるのだろうか。山口県立大学の山崎 文夫氏(看護栄日常生活における女性の悩みの1つに冷え性がある。養学部 教授)らの研究グループは、冷え症の若年女性を対象に、ジョギングなどの有酸素運動介入をすることが、睡眠の質を改善し、冷えによる不定愁訴を減少させるかどうかの検討を行った。その結果、短期の有酸素運動は末梢四肢冷感症状を緩和し、主観的な睡眠の質を改善した。Journal of Physiological Anthropology誌2023年9月29日の掲載。

携帯電話の頻回な使用は精液の質を低下させる?

 スイスの研究者らが10年分以上のデータを解析した結果、携帯電話を頻回に使用する若い男性では携帯電話をあまり使用しない男性に比べて、精子濃度が低く、総精子数も少ないことが明らかになった。ジュネーブ大学(スイス)遺伝子医学・発達部門のRita Rahban氏らによるこの研究の詳細は、「Fertility and Sterility」に10月31日掲載された。  この研究の背景情報によると、過去50年間に精子濃度は、平均して精液1mL当たり9900万個から4700万個に減少したという。この現象は、環境要因(内分泌かく乱物質、農薬、放射線)と生活習慣(食事、アルコール、ストレス、喫煙)の双方が影響を及ぼした結果と考えられている。Rahban氏らは、この50年で使用が劇的に増加した携帯電話の使用もその一因ではないかと考え、今回の研究を実施した。携帯電話から発せられる電磁波については、健康に有害である可能性が指摘されている。

早期アルツハイマー病へのgantenerumab、2件の第III相試験結果/NEJM

 早期アルツハイマー病患者において、完全ヒトモノクローナルIgG1抗体のgantenerumabは116週時点のアミロイド負荷をプラセボより減少させたものの、臨床症状の悪化を抑制しなかった。米国・ワシントン大学のRandall J. Bateman氏らGantenerumab Study Groupが、30ヵ国288施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較第III相試験「GRADUATE I試験」および「GRADUATE II試験」(それぞれ15ヵ国156施設、18ヵ国152施設)の結果を報告した。アミロイドβ(Aβ)を標的とするモノクローナル抗体は、早期アルツハイマー病患者の認知機能や身体機能の低下を遅らせる可能性がある。gantenerumabは、Aβの凝集体に対して高い親和性を有しており、皮下投与のアルツハイマー病治療薬として開発が進められていた。NEJM誌2023年11月16日号掲載の報告。

アミロイド陽性アルツハイマー病患者の皮質萎縮に対する炭水化物制限の影響

 インスリンレベルを低下させる炭水化物制限は、アルツハイマー病(AD)発症を遅らせる可能性がある。炭水化物の摂取を制限するとインスリン抵抗性が低下し、グルコースの取り込みや神経学的健康が改善すると考えられる。ADの特徴は、広範な皮質の萎縮だが、アミロイドーシスが確認されたAD患者において、正味炭水化物摂取量の低下が皮質萎縮の軽減と関連しているかは、明らかとなっていない。米国・Pacific Neuroscience Institute and FoundationのJennifer E. Bramen氏らは、炭水化物制限を行っているアミロイド陽性アルツハイマー病患者を対象に、中程度~高度の炭水化物摂取の場合と比較し、皮質厚が厚いとの仮説を検証した。Journal of Alzheimer's Disease誌2023年10月号の報告。