内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:70

非インスリン療法患者のisCGMによるHbA1c改善には治療満足度が関与

 インスリン療法を行っていない2型糖尿病患者が間歇スキャン式持続血糖測定(isCGM)を使用すると、早ければ使用開始の翌週から血糖管理が有意に改善すること、HbA1c改善幅は治療継続に関する満足度の高さと相関することなどが明らかになった。名古屋大学大学院医学系研究科内分泌・糖尿病学の尾上剛史氏、有馬寛氏らによる論文が、「Primary Care Diabetes」に10月9日掲載された。  現在、保険診療でisCGMを使用できるのはインスリン療法を行っている患者のみだが、有馬氏らはインスリン療法を行っていない2型糖尿病患者でもisCGM使用によって血糖コントロールが改善することを、多施設共同無作為化比較試験の結果として既に報告している。今回の論文は、そのデータを詳細に事後解析した結果の報告。

男性の下部尿路症状、情報冊子の活用でQOLや失禁が改善/BMJ

 プライマリケアにおける男性の下部尿路症状(lower urinary tract symptoms:LUTS)の治療で、標準化およびマニュアル化された情報冊子を用いたケアによる介入は通常ケアと比較して、症状を持続的に改善し、有害事象の発現は同程度であることが、英国・インペリアル・カレッジ・ハマースミス病院のMarcus J. Drake氏らが実施した「TRIUMPH研究」で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2023年11月15日号に掲載された。  TRIUMPH試験は、イングランドの国民保健サービス(NHS)の一般診療所30施設が参加したクラスター無作為化対照比較試験であり、2018年6月~2019年8月の期間に患者を募集した(英国国立健康研究所[NIHR]の医療技術評価プログラムなどの助成を受けた)。

片頭痛の隠れた経済的影響~英国政府のコスト分析

 片頭痛は、15~49歳の人々において世界的に最も高い疾患負担をもたらす疾患であり、行動不能に陥る可能性のある精神疾患である。欧州における片頭痛有病率は、北米、南米、中央アフリカに次いで4番目に高く、アジアやアフリカよりも高いといわれている。片頭痛による直接的な医療費は比較的少額であるものの、生産性の低下による間接的な経済的影響は大きい。オランダ・フローニンゲン大学のRui Martins氏らは、片頭痛の経済的負担について、政府のコストの観点から検討を行った。Journal of Health Economics and Outcomes Research誌2023年10月3日号の報告。

カロリー制限より時間制限食は糖尿病の食事療法に向いている?

 糖尿病患者の食事療法における時間制限食の有用性を支持する新たなエビデンスが報告された。米イリノイ大学シカゴ校のKrista Varady氏らが行った無作為化比較試験(RCT)の結果であり、正午から午後8時の間だけ摂食可とする時間制限食を6カ月行ったところ体重が有意に減少したのに対して、カロリー制限の減量幅は何の介入も行わなかった群と有意差がなかったという。この研究の詳細は、「JAMA Network Open」に10月27日掲載された。  時間制限食はその手軽さから人気が高まっているが、2型糖尿病の食事療法としての有効性や安全性を評価したRCTに基づくエビデンスはまだ少ない。Varady氏らはこれらの点を6カ月間の介入試験にて検証した。

ヴィーガン食の健康への影響を双子で比較すると…?

 ヴィーガン(完全菜食主義)食は環境負荷が低いだけでなく、健康にも良い影響を及ぼすことが報告されている。しかし、その多くは疫学研究に基づくものである。そこで、米国・スタンフォード大学のMatthew J. Landry氏らは、交絡を抑制するために一卵性双生児を対象とした臨床研究を実施し、ヴィーガン食の心代謝系への影響を検討した。その結果、ヴィーガン食は通常食と比べてLDLコレステロール(LDL-C)値、空腹時インスリン値、体重を有意に低下させた。本研究結果は、JAMA Network Open誌2023年11月30日号で報告された。

肉・卵をナッツに換えると心代謝系が健康に!

 近年、動物性食品を植物性食品に置き換えることで健康に良い影響があるという報告が増加している。そこで、ドイツ・ハインリッヒ・ハイネ大学のManuela Neuenschwander氏らは、動物性食品の植物性食品への置き換えと心血管疾患(CVD)、糖尿病、全死亡との関連について、システマティックレビューおよび37研究のメタ解析を実施した。その結果、加工肉や赤肉、卵、乳製品、家禽肉、バターといった動物性食品を植物性食品に置き換えることでCVD、糖尿病、全死亡のリスクが低下することが示唆された。本研究結果は、BMC Medicine誌2023年11月16日号で報告された。  MEDLINE、Embase、Web of Scienceを用いて、2023年3月までに登録された動物性食品を植物性食品へ置き換えた場合のCVD、糖尿病、全死亡リスクの変化を検討した前向き研究を検索した。その結果、37件の研究(24コホート)が抽出された。これらの研究について、ランダム効果メタ解析を用いて要約ハザード比(SHR)および95%信頼区間(CI)を推定した。GRADEシステムを用いてエビデンスの質を評価し、moderate(中)以上の場合は、メタ解析で推定された効果が真の効果と近い可能性が高いと判断した。

生物学的年齢は脳卒中や認知症のリスクに影響を及ぼす

 年齢には、出生からの経過年数で表す暦年齢のほかに、科学者が生物学的年齢と呼ぶものがある。これは、老化や健康状態の個人差を加味した年齢で、テロメアの長さ、エピジェネティック・クロックや多様な生物学的バイオマーカー値を基に算出される。スウェーデンの新たな研究で、この生物学的年齢が暦年齢を上回っている人では、認知症や脳梗塞(虚血性脳卒中)の発症リスクが高まることが明らかになった。カロリンスカ研究所(スウェーデン)医学疫学・生物統計学部門のSara Hagg氏らによるこの研究結果は、「Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatry」に11月5日掲載された。

コロナ緊急事態宣言は国内大学生の抑うつレベルに影響を及ぼさなかった?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下での大学生の抑うつレベルの推移を解析した結果、計4回発出された緊急事態宣言は、大学生の抑うつレベルに有意な影響を及ぼしていなかった可能性を示すデータが報告された。むしろ、4月の新年度のスタートが、大学生の抑うつレベルに影響を与えていることが確認されたという。名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野の白石直氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of General Psychiatry」に10月10日掲載された。

lepodisiran、リポ蛋白(a)値を著明に低下/JAMA

 リポ蛋白(a)値の上昇は、主要有害心血管イベントや石灰化大動脈弁狭窄症の発症と関連する。循環血中のリポ蛋白(a)濃度は、ほとんどが遺伝的に決定され、生活習慣の改善やスタチン投与など従来の心血管リスク軽減のアプローチの影響を受けない。米国・Cleveland Clinic Center for Clinical ResearchのSteven E. Nissen氏らは、肝臓でのアポリポ蛋白(a)の合成を抑制することでリポ蛋白(a)の血中濃度を減少させるRNA干渉治療薬lepodisiran(N-アセチルガラクトサミン結合型短鎖干渉RNA)の安全性と有効性について検討を行った。その結果、本薬は忍容性が高く、用量依存性に長期間にわたり血清リポ蛋白(a)濃度を大幅に低下させることが示された。

毎日のコーヒーがアルツハイマー病リスクに及ぼす影響~メタ解析

 アルツハイマー病は、世界中で数百万人が罹患している神経変性疾患である。その予防や発症を遅らせる可能性のある生活要因の特定は、研究者にとって非常に興味深いことである。現在の研究結果に一貫性はないものの、広く研究されている因子の1つにコーヒーの摂取量がある。韓国・仁済大学校のIrin Sultana Nila氏らは、コーヒー摂取量がアルツハイマー病リスクに及ぼす影響について、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、1日のコーヒー摂取が1~4杯でアルツハイマー病リスクの低減がみられたが、4杯以上ではリスクが増加する可能性が示唆された。Journal of Lifestyle Medicine誌2023年8月31日号の報告。