抑うつと体温上昇は関連していることが、新たな研究で示唆された。どちらが原因であるのかまでは明らかになっていないものの、研究グループは、体温の調節が抑うつに対する新たな治療法となり得る可能性を示唆する結果だとの見方を示している。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)精神医学分野のAshley Mason氏らによるこの研究の詳細は、「Scientific Reports」に2月5日掲載された。
この研究では、2020年春からおよそ7カ月にわたって実施された研究(TemPredict Study)のデータを用いて、体温と抑うつとの関連が検討された。TemPredict Studyは、大規模集団の中から初期段階の新型コロナウイルス感染症患者を見つけ出すために市販のウェアラブルデバイス(以下、デバイス)で収集したデータを活用できるかどうかを検討した研究である。研究参加者はデバイスの装着により体温を測定したほか、体温計で測定した体温の報告も行っていた。また、毎月1回、電子メールを通じて抑うつ症状に関する調査に回答していた。自己報告による体温に関する解析は2万880人(平均年齢46.9歳、男性53%)、デバイスにより測定された体温に関する解析は2万1,064人(平均年齢46.5歳、男性56%)を対象に行われた。