神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

アルツハイマー病検出に有望な血液バイオマーカー、認知機能が正常なアジア人での精度は?

 血液バイオマーカーは、アルツハイマー病を検出する有望なツールと考えられる。しかし、認知機能が正常なアジア人集団において、血液バイオマーカーの性能は依然として不明であった。認知機能が正常なアジア人を対象に、血液バイオマーカーの識別性能を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析が実施された。Ageing Research Reviews誌2026年7月号の報告。認知機能が正常なアジア人集団を対象に、血漿中のp-tau217、Aβ42/40および複合バイオマーカーがアミロイドβ(Aβ)PET陽性を識別する能力を評価するため、システマティックレビューおよび変量効果モデルを用いたメタ解析を実施した。CENTRAL、PubMed、CINAHLより、システマティックに文献検索を行った。主要解析では、AβPET陽性の識別能力を評価するため、p-tau217およびAβ42/40それぞれの曲線下面積(AUC)を統合した。副次的解析では、AβPET陽性群と陰性群におけるp-tau217およびAβ42/40のバイオマーカー濃度の標準化平均差(SMD)を検討した。さらに、p-tau217/Aβ42やp-tau217とAβ42/40の組み合わせモデルを含む複合バイオマーカーのAUCを統合した。

ナッツで認知症は予防可能か?

 ナッツは、さまざまな健康上のベネフィットと関連付けられている。しかし、認知症との関連をめぐるエビデンスは、いまだ結論が出ていない。中国・浙江大学のMengjia Zhao氏らは、3つのプロスペクティブコホート研究を対象に、ナッツ摂取と認知症の長期リスクとの関連を検討することを目的に、本研究を実施した。Nutrients誌2026年5月28日号の報告。「Health and Retirement Study(HRS:2013~20年)」、「Framingham Offspring Study(FOS:1998~2018年)」、「Whitehall II Study(WHII:2002~16年)」のデータを用い、ベースライン時点で認知症でなかった45歳以上の成人を対象に解析を実施した。木の実およびピーナッツを含むナッツの摂取量の評価には、妥当性が確認された食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いた。HRSではベースライン時に1回、FOSおよびWHIIでは複数回の調査を通じ、繰り返し評価が行われた。すべての原因による認知症の発症は、HRSでは妥当性が確認されたアルゴリズム、FOSでは専門家パネルによる判定、WHIIでは医療記録との照合によって特定された。ナッツ摂取と認知症発症との関連について、コホートごとにCox比例ハザードモデルを用いて推定を行ったうえで、それらの結果をプールした。

トゥレット症候群、当事者の深刻な実態が明らかに

 トゥレット症候群(TS)は、ときに冗談の対象として扱われることもあるが、当事者にとって極めて過酷な状態であることが、米トゥレット協会(TAA)が6月11日に公表した調査(2026 Impact Survey Report)で示唆された。この調査によると、TSまたはその他のチック症を有するティーンおよび成人の4人に1人が、生涯のどこかの時点で自殺を試みたことがあることが明らかになった。また、チック症を理由に差別を受けたと報告した割合も約7割に上った。  TAA会長兼CEOであるIan Lang氏はニュースリリースの中で、「2026年の調査結果は、TSおよびその他のチック症を抱える人が必要とする支援を確実に受けられるようにするために、いかに多くの課題が依然として残されているかを示す行動喚起である」と述べている。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの遺伝子治療薬への期待/中外

 中外製薬は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対する国内初の再生医療等製品として、デランジストロゲン モキセパルボベク(商品名:エレビジス点滴静注)を2026年2月20日に発売した。この発売によせて、本剤の概要や治療における臨床的位置付けなどについて、発売後の適正使用推進体制の説明と合わせてメディアセミナーを開催した。  DMDは、筋肉に関わるタンパク質のジストロフィン産生に影響を及ぼすDMD遺伝子の突然変異が原因で発症する希少遺伝性疾患。幼少期に発症し、徐々に筋力が低下していくことで日常生活に大きな影響を及ぼすため、早期からの適切な治療介入が求められる。未治療だと呼吸不全などを起こし、生命予後に影響する。

再発性多発性硬化症、リツキシマブvs. ocrelizumab/NEJM

 疾患活動性が認められる再発性多発性硬化症(MS)患者において、疾患活動性の抑制(治療開始後6~24ヵ月のMRIにおける評価)に関して、リツキシマブのocrelizumabに対する非劣性が示され、重篤な有害事象の発現頻度は同程度であった。ノルウェー・Haukeland University HospitalのOivind Torkildsen氏らOVERLORD-MS Investigatorsが、第III相無作為化二重盲検多施設共同非劣性試験「OVERLORD-MS試験」の結果を報告した。再発性MSに抗CD20モノクローナル抗体は有効だが、これまで直接比較のエビデンスは観察研究のデータに限られていた。NEJM誌2026年7月2日号掲載の報告。

感染症は認知症リスク上昇と関連しているのか

 感染症が認知症リスクに及ぼす影響については、生物学的加齢の加速による影響との比較において、どの程度なのかは明らかではない。中国・北京大学のRuoxi Ding氏らは、感染症と認知症の関連性を評価し、生物学的加齢の加速が感染症と認知症リスクの関係を修飾するかどうかを検討した。Brain, Behavior, and Immunity誌2026年10月号の報告。  2006~10年の英国バイオバンク・コホートデータより抽出された37~73歳の参加者33万9,463例を対象とし、プロスペクティブ研究を実施した。入院治療を受けた感染症と認知症の既往は、医療記録統計およびスコットランド疾病記録との連結によって特定した。

レトロなビデオゲームが脳卒中後の上肢の機能を改善か

 脳卒中患者の上肢(腕、手)の機能回復に、1990年代スタイルのレトロなゲームが役立つ可能性があるようだ。スクリーン上のヘリコプターを操縦して動くターゲットを攻撃するなどのタスクを行うビデオゲームを通して脳卒中患者の筋肉を再訓練することで、脳卒中後に見られる筋の同時収縮パターンが減少し、上肢機能が改善する可能性が示された。米ノースウェスタン大学神経学・神経科学教授のMarc Slutzky氏らによるこの研究の詳細は、「Neurorehabilitation and Neural Repair」に6月8日掲載された。

日本人片頭痛患者に対する3年間の抗CGRP抗体継続治療、その有用性は

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体については、治療期間が24ヵ月を超える長期的な実臨床のデータが乏しく、とくに治療継続率や目標達成後の計画的中止に関するデータは不足している。昭和医科大学の笠井 英世氏らは、実臨床における3年間にわたる抗CGRP抗体の有効性および安全性を評価するため、単施設レトロスペクティブ研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2026年5月13日号の報告。

トマトに認知機能改善効果は期待できるのか?

 トマトは、血液脳関門を通過して抗酸化作用と抗炎症作用を発揮するカロテノイドであるリコピンの主要な供給源である。しかし、健康成人におけるトマト摂取が認知機能に及ぼす影響は、依然として不明であった。スペイン・バルセロナ大学のRicardo Lopez-Solis氏らは、濃縮トマトペーストが認知機能に及ぼす影響を評価し、脳由来神経栄養因子(BDNF)や脳機能結合などの潜在的なメカニズムを検討した。Antioxidants誌2026年5月19日号の報告。  40~55歳の健康成人47人を対象に、ランダム化2期クロスオーバー試験を実施した。

筆記動作が認知機能低下の手がかりに?

 筆記動作が、脳の老化の進行を示す手がかりになるかもしれない。新たな研究で、筆記に要する時間やストローク数などの時間的・運動学的特徴が、特に認知負荷の高い書き取り課題において、認知機能の程度と関連することが示された。研究グループは、筆跡解析が高齢者の認知機能低下を早期発見するための低コストの検査になり得るとの見方を示している。エヴォラ大学(ポルトガル)スポーツ健康学部のAna Rita Matias氏らによるこの研究結果は、「Frontiers in Human Neuroscience」に5月20日掲載された。