神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

タウPET検査、トレーサー選択がアルツハイマー病診断の精度に影響/Lancet

 アルツハイマー病の診断、進行ステージおよび治療の選択において重要なバイオマーカーとして注目されるタウPET画像について、検査で使用する放射性医薬品(トレーサー)の選択により、年齢やアルツハイマー病の進行段階を問わず、タウ病理の検出頻度に違いが生じることが、米国・ピッツバーグ大学のGuilherme Povala氏らによる「HEAD試験」の結果で示された。トレーサーとして、[18F]MK6240はフロルタウシピル(18F)(商品名:タウヴィッド)と比較して、認知機能正常例および認知障害例のいずれにおいても、タウ病理を有する人をより多く特定した。著者らは、「この結果は、臨床試験における患者層別化やより精度の高い治療方針決定に、直接的な影響を与えるものである」とまとめている。Lancet誌2026年5月30日号掲載の報告。

疫学研究のメタ解析論文は注意して読まないといけない(解説:折笠秀樹氏)

 メタ解析とは、複数の研究結果の統合解析のことである。対象とする研究は薬剤などの臨床試験(主にRCT)が多いが、ここで扱われたのは疫学研究のメタ解析である。前向きコホートのメタ解析が89報、後ろ向きコホートのメタ解析が35報、全部で124報の疫学研究メタ解析を調査対象とした。論文中の主要アウトカムが、当初計画していたのと同じだったかどうかを調査した。当初計画については、登録サイト(ClinicalTrials.gov)を参照した。  主要アウトカムが論文で変更されていた例が60報(48%)もあった。

レビー小体型認知症の発症率は考えられているよりも高い可能性

 米CNN創業者テッド・ターナー(Ted Turner)氏の命を奪った進行性の脳疾患であるレビー小体型認知症(DLB)の発症率は10万人年当たり約4.8例と、これまで考えられていたよりも高い可能性が、新たなエビデンスレビューで示唆された。この発症率は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、一部の認知症や非定型パーキンソン症候群(非定型パーキンソニズム)などのより広く知られている神経変性疾患の発症率よりも高いという。バーリ大学(イタリア)のDaniele Urso氏らによるこの研究結果は、「JAMA Neurology」に5月11日掲載された。Urso氏らは、「DLBは、主に高齢になってから発症する認知症であり、他のいくつかの比較的まれな神経変性疾患よりも発症頻度が高い」と結論付けている。

アルツハイマー病のバイオマーカー、中年期にも検出可能か/Lancet

 アミロイドβ(Aβ)およびリン酸化タウ(p-tau)タンパク質の蓄積を特徴とするアルツハイマー病の神経病理学的所見は、主に高齢者の検体のバイオマーカーを用いて評価しており、中年期の血漿バイオマーカーの状態や、その認知機能との関連はほとんど知られていないという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のXiaqing Jiang氏らは、これらの血漿バイオマーカーによって定義されるアルツハイマー病の神経病理学的陽性所見は、相対的に頻度は低いものの、中年期にも検出可能であり、認知能力の低下やその加速と関連し、特定の集団においてより強い関連性を持つ可能性があることを示した。研究の成果はLancet誌2026年5月30日号で報告された。

アルツハイマー病に対するアーモンド効果、その結果は?

 アーモンドは、脳の強壮や記憶力向上において、ペルシャ医学でたびたび推奨されている。また、いくつかのエビデンスにおいても、アーモンドの記憶力への効果が裏付けられている。イラン・Iran University of Medical SciencesのMohsen Mohajeri氏らは、アルツハイマー病患者におけるアーモンドの記憶力および認知機能への影響を評価するため、ランダム化比較試験を実施した。Avicenna Journal of Phytomedicine誌2026年3・4月号の報告。  本ランダム化比較試験では、軽〜中等度の認知機能障害を有するアルツハイマー病患者60例を対象に、アーモンド摂取群(1日10gの粉末スイートアーモンドと小さじ1杯の粉末ロックキャンディを既存の処方薬に加えて摂取)または対照群(既存の処方薬を継続)にランダムに割り付け、3ヵ月間フォローアップを行った。

精神症状の有無でアルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの効果に違いはあるか?

 アルツハイマー病患者は、アジテーションと精神病症状を併発することが少なくない。米国・Banner Alzheimer's InstituteのPierre N. Tariot氏らは、精神病症状を併発するアルツハイマー病患者と併発しない患者におけるアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性を明らかにするため、長期試験の事後解析を実施した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2026年4月21日号の報告。  アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する患者を対象に、ブレクスピプラゾールとプラセボを比較した2つの第III相試験(欧州、ロシア、米国で実施された12週間ランダム化二重盲検プラセボ対照固定用量試験)のデータを統合した。

中高年の前兆を伴う片頭痛、脳梗塞リスクの上昇と関連

 前兆を伴う片頭痛を有する中高年では、片頭痛のない中高年と比べて虚血性脳卒中(脳梗塞)リスクが高い可能性があるとする研究結果が報告された。前兆を伴う片頭痛を有する人では、片頭痛のない人に比べて脳梗塞リスクが73%高かった一方、前兆を伴わない片頭痛を有する人では有意なリスク上昇は認められなかったという。米バーモント大学神経学分野のAdam Sprouse-Blum氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に5月20日掲載された。  研究グループによれば、片頭痛の前兆とは、片頭痛発作に先立って現れる視覚的または感覚的な異常を指す。

HSV脳炎後の自己免疫性脳炎に注意、2026年GLでフロー新設/日本神経学会

 2026年3月、『細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014』と『単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2017』を統合した『細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026』(日本神経学会・日本神経感染症学会監修、南江堂)が発刊された。  5月20~23日に開催された第67回日本神経学会学術大会の生涯教育セミナーにおいて、本ガイドライン作成委員会委員長を務めた中嶋 秀人氏(日本大学医学部内科学系神経内科学分野 主任教授)が「細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026の改訂のポイント」と題して講演を行った。講演レポートとして、「細菌性髄膜炎」を取り上げた前編に続き、後編では「単純ヘルペス脳炎」、そしてガイドライン外の重要なトピックである「水痘・帯状疱疹ウイルス中枢神経感染症」について紹介する。

不眠の重症度は日本人の認知症リスクに影響するか?

 睡眠障害は、認知症発症の修正可能なリスク因子である可能性が示唆されている。しかし、不眠症と認知症との関連性は依然として明らかになっていない。神奈川県立保健福祉大学のAung Thet Oo氏らは、高齢者における不眠症の重症度が認知症発症を促進させるかどうかを検討するため、本研究を実施した。Archives of Gerontology and Geriatrics誌オンライン版2026年4月26日号の報告。  本研究は、山梨県都留市の地域住民を対象とした7年間の縦断研究として実施した。2016年1月に機能障害のない65歳以上のすべての住民を対象にベースライン調査を実施し、高齢者5,255人が回答を行った。

細菌性髄膜炎・HSV脳炎GL改訂、経験的治療の薬剤選択を見直し/日本神経学会

 2026年3月、『細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014』と『単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2017』を統合した『細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026』(日本神経学会・日本神経感染症学会監修、南江堂)が発刊された。今回の改訂では、ワクチン定期接種化による起炎菌の変遷、薬剤耐性菌の動向、FilmArray髄膜炎・脳炎パネルに代表される遺伝子検査の普及などを反映し、初期治療から退院後のフォローアップに至る一連の流れが大幅に刷新されている。