神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

ヘルペス陽性早期アルツハイマー病、バラシクロビルは有効か?/JAMA

 神経科学的、疫学的、および電子的健康記録を用いた研究において、単純ヘルペスウイルス(HSV)がアルツハイマー病(AD)の病態形成に関与する可能性が示唆されている。米国・New York State Psychiatric InstituteのD. P. Devanand氏らは、早期AD症状を有するHSV(HSV-1またはHSV-2)陽性の患者を対象に、HSVに有効な抗ウイルス薬であるバラシクロビルの臨床的ベネフィットを検討するプラセボ対照無作為化試験「VALAD試験」を実施。主要アウトカムの認知機能の悪化に関して、バラシクロビルの有効性は示されなかったことを報告した。著者は、「早期AD症状を有するHSV陽性患者に対する治療に、バラシクロビルは推奨されないことが示唆された」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年12月17日号掲載の報告。

アルツハイマー病/MCI患者の認知機能保護にω3脂肪酸は有効か?〜メタ解析

 アルツハイマー病や軽度認知障害(MCI)患者において、ω3多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)が脳活動に有益な効果をもたらすことが報告されている。しかし、認知機能改善に対するn-3 PUFAによる食事介入の有効性については、一貫した知見が得られていない。中国・鄭州大学のPipasha Khatun氏らは、n-3 PUFAによる食事介入がアルツハイマー病またはMCIと診断された患者の認知機能に及ぼす影響を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Nutrition Reviews誌オンライン版2025年10月1日号の報告。

若々しい脳を保つ秘訣は筋肉量の維持と脂肪のカット

 身体が健康的で筋肉量が多いと脳の健康状態が良好に維持されやすいことが、米セントルイス・ワシントン大学放射線学・神経学准教授のCyrus Raji氏らによる新たな研究で示された。Raji氏は、「筋肉量が多く内臓脂肪が少ない健康的な身体では、脳もより健康的で若々しい傾向にある」と話している。この研究結果は、北米放射線学会年次学術集会(RSNA 2025、11月30日~12月4日、米シカゴ)で発表された。  Raji氏は、「年齢を重ねると、筋肉量が減り内臓脂肪が増えることは広く知られているが、こうした健康指標が脳の老化そのものに関連していることが、今回の研究で示された。体内の筋肉量と脂肪量は、脳年齢に基づいた脳の健康状態を反映する重要な指標であることが明らかになった」と説明している。

抗CGRP抗体は中止したほうが良いのか? 中止後、片頭痛症状はどう変化する?

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体による治療は、片頭痛の予防に有意な効果をもたらしたが、抗CGRP抗体治療中止による長期的な影響は依然としてよくわかっていない。ブラジル・Clinical Hospital of the Federal University of ParanaのLuana Miyahira Makita氏らは、抗CGRP抗体治療中止後の臨床アウトカムに及ぼす影響を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。CNS Drugs誌オンライン版2025年9月30日号の報告。  2024年9月までに報告された研究をPubMed、Embase、Cochraneデータベースより検索した。対象研究は、抗CGRPモノクローナル抗体またはゲバントによる予防的治療を受けた反復性または慢性片頭痛患者における治療中止後の影響を報告したランダム化研究または観察研究とした。主要アウトカムは、ベースラインから中止後までの1ヵ月当たりの片頭痛日数の平均変化とした。副次的アウトカムは、急性頭痛薬の使用、積極的治療から治療中止までの片頭痛頻度の平均変化、50%以上の治療反応率とした。異質性は、二値アウトカムについては予測区間(PI)、連続データについてはI2を用いて評価した。ランダム効果モデルを用いて平均差(MD)とリスク比(RR)をプールし、フォローアップ期間、研究デザイン、慢性片頭痛患者に基づくサブグループ解析を行った。

認知機能低下のサインは運転行動に現れる?

 運転行動の変化は認知機能低下の早期サインになる可能性があるようだ。車両に設置したGPS付きデータロガーで収集した、走行頻度、走行時間、急ブレーキなどの運転データは、早期認知機能低下のデジタルバイオマーカーになり得ることが、新たな研究で示された。米ワシントン大学医学部のGanesh Babulal氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に11月26日掲載された。Babulal氏は、「われわれは、GPSデータ追跡デバイスを使うことで、年齢や認知テストの結果、アルツハイマー病に関連する遺伝的リスクの有無といった要因だけを見るよりも、認知機能に問題が生じた人をより正確に特定することができた」と話している。

疼痛治療薬の副作用が心不全の誤診を招く?

 オピオイドに代わる鎮痛薬として使用されている薬剤のせいで、医師が心不全と誤診してしまう例が少なくないことが、新たな研究で示された。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部教授のMichael Steinman氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に12月2日掲載された。  ガバペンチンやプレガバリンなどのガバペンチノイドと呼ばれる種類の薬剤は、神経痛の治療目的で処方されることが多い。しかし、これらの薬剤の副作用の一つに、下肢のむくみ(浮腫)の原因となる体液貯留がある。体液貯留は、心不全の症状としても広く知られている。そのため、この副作用が生じた患者の多くに、利尿薬のような本来は不要であるはずの薬剤が追加で処方され、その結果、腎障害やふらつき、転倒によるけがなどのリスク上昇につながっていることが、今回の研究から明らかになった。このように、ある薬の副作用が別の疾患に関わる症状と認識され、それに対してさらに薬が処方される現象は、処方カスケードと呼ばれる。

ミトコンドリア活性化技術で希少疾患に挑む、その機序や効果とは

 “細胞のエネルギー生産工場”とも呼ばれ、ほぼすべての細胞に存在する細胞小器官ミトコンドリア。これを用いた希少疾患の根本治療や加齢対策が、今、現実味を帯びている。先日開催された第7回ヘルスケアベンチャー大賞では、マイトジェニックの「ミトコンドリア活性化による抗加齢ソリューション『マイトルビン』事業」が将来性や抗加齢への観点を評価され、大賞を受賞した。同社が期待を集める創薬技術や将来ビジョンとは―。

不眠症は認知機能低下および認知障害リスクと関連

 不眠症は、認知機能の低下および認知障害(cognitive impairment;CI)のリスクと関連があるとする研究結果が、「Neurology」10月7日号に掲載された。  米メイヨー・クリニックのDiego Z. Carvalho氏らは、高齢者における慢性不眠症と、縦断的な認知機能アウトカムおよび脳の健康指標との関連を評価した。対象は、認知機能に障害のない高齢者で、年1回の神経心理学的評価と、連続的な画像評価としてアミロイドPETによるアミロイド負荷量(センチロイド単位)およびMRIで測定した白質高信号(WMH、頭蓋内容積に対する割合)のデータが取得された。全般的認知機能モデルには2,750人、Cox回帰ハザードモデルには2,814人が組み入れられ、追跡期間の中央値は5.6年であった。また、WMHモデルには1,027人、アミロイドPETモデルには561人が組み入れられた。

「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)」改訂のポイント

 2025年6月、日本認知症学会、日本老年精神医学会、日本神経学会、日本精神神経学会、日本老年医学会、日本神経治療学会の監修により、「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)」が公表された。2016年の第2版公表から9年ぶりとなる今回の改訂では、最新のエビデンスと新規薬剤の登場を踏まえた、より実践的な治療アルゴリズムが示されている。  本稿では、本ガイドラインのワーキンググループの主任研究者を務めた筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学 教授の新井 哲明氏による解説を基に、改訂のポイントと臨床における留意点をまとめる。

多発性硬化症と口腔内細菌の意外な関係、最新研究が示す病態理解の可能性

 多発性硬化症(MS)は、中枢神経系の神経線維を包むミエリンが自己免疫反応によって障害される希少疾患で、視覚障害や運動麻痺、感覚障害などさまざまな症状を引き起こす。最新の研究で、MS患者の口腔内に存在する特定の歯周病菌、Fusobacterium nucleatum(F. nucleatum)の量が、病気の重症度や進行に関わる可能性が示された。研究は、広島大学大学院医系科学研究科脳神経内科学の内藤裕之氏、中森正博氏らによるもので、詳細は11月3日付で「Scientific Reports」に掲載された。