神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

神経血管老化の予防戦略、農業や園芸が有効な可能性は

 農業または園芸活動は、健康維持や生活習慣病の予防に効果的である可能性のあるシンプルな戦略である。しかし、脳卒中や認知症などの神経血管老化に関連する疾患の発症に対する予防効果は、依然としてよくわかっていなかった。久留米大学の菊池 清志氏らは、定期的な農業または園芸における身体活動(AGPA)の神経血管老化に対する予防効果とその根底にあるメカニズムについて、2つのアプローチを用いて包括的に調査した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2025年12月2日号の報告。

アルツハイマー病「p-tau217血液検査」が高精度に病理検出、日本人で確認

アルツハイマー病(AD)の確定診断には、これまで高額なPET検査や身体的負担の大きい脳脊髄液検査が必要であり、より簡便な血液バイオマーカーの活用が期待されている。新潟大学の春日 健作氏らの研究グループは、日本人を対象とした多施設共同研究「J-ADNI」の臨床検体の解析により、血漿中のリン酸化タウ217(p-tau217)が、アミロイド病理の検出および将来のAD発症予測において、きわめて高い精度を持つことを明らかにした。The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease誌オンライン版2026年2月6日号に掲載。

筋強直性ジストロフィー1型、del-desiranが有望/NEJM

 筋強直性ジストロフィー1型(DM1)は、常染色体優性遺伝性の進行性神経筋疾患であり、DMPK遺伝子の3'-非翻訳領域におけるCTGリピートの伸長によって発症する。本症は、身体機能障害を引き起こし、余命を短縮させるが、承認された治療法はない。米国・Virginia Commonwealth UniversityのNicholas E. Johnson氏らは「MARINA試験」において、本症の治療薬として開発中の抗体-オリゴヌクレオチド複合体delpacibart etedesiran(del-desiran[AOC 1001])の筋組織への送達が一部の患者で確認され、異常な選択的スプライシング(ミススプライシング)の改善を示唆するデータを得たことを報告した。del-desiranは、抗体部分がトランスフェリン受容体1を、オリゴヌクレオチド部分がDMPK遺伝子mRNAを標的とする。研究の成果は、NEJM誌2026年2月19日号で発表された。

アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有用性~臨床試験結果の統合解析

 米国・ネバダ大学のJeffrey L. Cummings氏らは、ブレクスピプラゾール2mg/日または3mg/日のアルツハイマー病に伴うアジテーションの治療における有効性を評価するため、統合臨床試験データに基づく解析を実施した。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2026年1月27日号の報告。  介護施設または地域社会に居住するアルツハイマー病に伴うアジテーションを有する患者を対象に、ブレクスピプラゾール固定用量を投与した2つの12週間多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照第III相試験のデータを統合した。有効性評価項目には、Cohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)合計スコア(29種のアジテーション症状の頻度を測定)、臨床全般印象度-重症度(CGI-S)スコア、CMAI因子スコア(攻撃的行動、身体的非攻撃的行動、言語的興奮行動)、治療反応率を含めた。

脳卒中管理で非専門医が押さえておきたい重要ポイントは?「脳卒中治療ガイドライン」改訂

一次・二次予防でさまざまな診療科との連携が必要になる脳卒中。2025年8月には『脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2025]』が発刊され、本書より「改訂のポイント」が各章の冒頭に新設、前版からの改訂点やその経緯が把握しやすい仕様に変更された。近年の知見もタイムリーに反映し、140項目中52項目のエビデンスレベルが見直されている。そこで今回、非専門医が本書を手に取る際に理解しておきたい改訂点や取りこぼしてはいけない点を中心に、ガイドライン作成委員長の黒田 敏氏(富山大学脳神経外科 教授)に話を聞いた。

コーヒーは片頭痛のリスク因子か?

 コーヒー摂取と頭痛との関連性については、依然として議論が続いている。カフェインは、鎮痛作用と血管収縮作用を有しているが、過剰摂取は頭痛の有病率上昇と関連しているといわれている。台湾・高雄医学大学のPin-Rong Chen氏らは、台湾の大規模コホートにおいて、コーヒー摂取と頭痛の関連性を調査するため、横断研究を実施した。International Journal of Medical Sciences誌2026年1月1日号の報告。  台湾バイオバンクより30〜70歳の2万7,109例の参加者からデータを取得した。頭痛の状態とコーヒー摂取パターン(種類、頻度、1日当たりの摂取量など)は、構造化質問票を用いて評価した。関連性の評価には、多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬発売/中外

 中外製薬は、2026年2月20日にデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療を目的とした再生医療等製品のデランジストロゲン モキセパルボベク(商品名:エレビジス点滴静注)を発売した。投与対象は、DMDのうち、エクソン8および/またはエクソン9の一部または全体の欠失変異を有さず、抗AAVrh74抗体が陰性である3歳以上8歳未満の歩行可能な患者となっている。また、本製品は2025年5月13日に条件および期限付承認に該当する製造販売承認を取得している。

片頭痛予防に有効性と安全性のバランスが最もよいCGRP関連抗体薬は?

 反復性片頭痛は、生活の質を著しく低下させる神経疾患である。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とするモノクローナル抗体薬は、反復性片頭痛の予防と治療に有効性が示されている。パキスタン・Islamic International Medical CollegeのIshwa Shakir氏らは、反復性片頭痛に対する各CGRP関連抗体薬の有効性および安全性を比較するため、ランダム化比較試験(RCT)のネットワークメタ解析を実施した。European Journal of Clinical Pharmacology誌2026年1月17日号の報告。

蛋白尿の進行が認知機能低下と独立して関連

 慢性腎臓病(CKD)患者を対象とした前向きコホート研究により、CKDの重症度が認知機能障害の発症リスク上昇と関連し、とくに蛋白尿の進行が注意力・処理速度および実行機能の低下と独立して関連することが、米国・Tulane University School of Public Health and Tropical MedicineのZhijie Huang氏らにより示された。JAMA Network Open誌2026年2月17日号掲載の報告。  これまでの研究により、CKDが認知症や認知機能低下のリスク因子となる可能性が指摘されているが、CKD患者のみを対象に前向きに検討した研究は限られている。そこで研究グループは、推算糸球体濾過量(eGFR)の低下と尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)の上昇が認知機能障害の発症率上昇と関連するという仮説を立て、eGFRおよびUPCRに基づくCKD重症度と認知機能障害の発症との関連を検討した。

孫の世話は祖父母の脳に良い?

 孫の世話をすることは脳の老化に良い影響を与え、認知機能の低下を防ぐ可能性があるようだ。新たな研究で、孫の世話をする高齢者は、世話をしていない高齢者と比べて、記憶力や言語能力のテストのスコアが高いことが示された。興味深いことに、このような効果は、孫の世話をする頻度とは関係していなかったという。ティルブルフ大学(オランダ)のFlavia Chereches氏らによるこの研究結果は、「Psychology and Aging」に1月26日掲載された。  Chereches氏は、「われわれにとって最も印象的だったのは、孫の世話をすること自体が、どのくらい頻繁に世話をしたか、あるいは具体的にどのような活動を一緒に行ったかよりも、認知機能に影響を与えるように見えたことだ」とニュースリリースで述べている。