日本のメモリークリニックにおける聴覚障害や社会的関係とBPSDとの関連性
認知症の行動・心理症状(BPSD)は、認知症患者とその介護者のQOLに悪影響を及ぼす。そのため、BPSDを予防するための修正可能なリスク因子を特定することは、非常に重要である。滋賀医科大学の田中 早貴氏らは、聴覚障害、社会的関係とBPSDとの関連を調査するため、横断的研究を実施した。Psychogeriatrics誌2025年1月号の報告。
対象は、2023年7月~2024年3月に日本のメモリークリニックを受診した患者179例。純音聴力検査および質問票によるインタビューを行い、医療記録をレビューした。聴覚障害の定義は、聴力がより良好な耳における純音聴力検査で測定された平均聴力レベル40dB以上とした。BPSDの有無および重症度の評価には、BPSD25Qベースの質問票を用いた。交絡因子で調整したのち、聴覚障害、社会的関係指標とBPSDの有無および重症度との関連を評価するため、部分回帰係数を算出する多重回帰分析を行った。