神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

日本人片頭痛患者に対する3年間の抗CGRP抗体継続治療、その有用性は

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体については、治療期間が24ヵ月を超える長期的な実臨床のデータが乏しく、とくに治療継続率や目標達成後の計画的中止に関するデータは不足している。昭和医科大学の笠井 英世氏らは、実臨床における3年間にわたる抗CGRP抗体の有効性および安全性を評価するため、単施設レトロスペクティブ研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2026年5月13日号の報告。

トマトに認知機能改善効果は期待できるのか?

 トマトは、血液脳関門を通過して抗酸化作用と抗炎症作用を発揮するカロテノイドであるリコピンの主要な供給源である。しかし、健康成人におけるトマト摂取が認知機能に及ぼす影響は、依然として不明であった。スペイン・バルセロナ大学のRicardo Lopez-Solis氏らは、濃縮トマトペーストが認知機能に及ぼす影響を評価し、脳由来神経栄養因子(BDNF)や脳機能結合などの潜在的なメカニズムを検討した。Antioxidants誌2026年5月19日号の報告。  40~55歳の健康成人47人を対象に、ランダム化2期クロスオーバー試験を実施した。

筆記動作が認知機能低下の手がかりに?

 筆記動作が、脳の老化の進行を示す手がかりになるかもしれない。新たな研究で、筆記に要する時間やストローク数などの時間的・運動学的特徴が、特に認知負荷の高い書き取り課題において、認知機能の程度と関連することが示された。研究グループは、筆跡解析が高齢者の認知機能低下を早期発見するための低コストの検査になり得るとの見方を示している。エヴォラ大学(ポルトガル)スポーツ健康学部のAna Rita Matias氏らによるこの研究結果は、「Frontiers in Human Neuroscience」に5月20日掲載された。

帯状疱疹、感染部位も認知症リスクに影響する可能性/日本皮膚科学会

 近年、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の罹患が認知症の発症リスクを上昇させる可能性や、帯状疱疹ワクチンの接種がそのリスクを低減させる可能性を示す研究が相次いで報告されている。下畑 享良氏(岐阜大学)らは、「VZVの罹患は認知症の危険因子か?」という臨床疑問を検討することを目的に、21論文を対象としてスコーピングレビューを実施。このレビューからみえてきたVZV罹患と認知症発症の関連や、ワクチンが及ぼす影響などについて、最新の研究結果も踏まえて下畑氏が第125回日本皮膚科学会総会で講演した。

グルコサミンがアルツハイマー病の進行を加速させる可能性

 アルツハイマー病(AD)では広範な代謝異常が観察されるものの、どの代謝経路が病態進行を直接駆動しているのか、その分子メカニズムは十分に解明されていない。米国・フロリダ大学のTara R. Hawkinson氏らの研究グループは、ヒト死後脳およびADマウスを用いた解析から、脳内における過剰糖鎖付加(ハイパーグリコシル化)が病態進行の直接的な駆動因子(ドライバー)であることを突き止めた。さらに、電子カルテデータベースの解析から、関節の健康のためのサプリメントとして広く普及するグルコサミンの使用が、ADの進行加速や死亡リスク上昇に関連している可能性が示唆された。Nature Metabolism誌オンライン版2026年6月9日号に掲載。

アイトラッキング式認知機能評価プログラム「ミレボ」の実臨床における有用性評価

 認知症の早期発見やスクリーニングにおいて、多忙な日常診療のなかで効率的かつ客観的に実施できる評価ツールの開発が望まれている。2025年、アイトラッキング技術を用いた神経心理検査用プログラム「ミレボ」が、初の保険適用を有する認知症領域のプログラム医療機器(SaMD)として日本国内で承認された。川崎医科大学高齢者医療センターの和田 健二氏らは、同センターのもの忘れ外来を受診した患者を対象に、ミレボと従来の標準的な神経心理検査であるミニメンタルステート検査(MMSE)および改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)のスコアとの関連性および認知症診断精度を評価するため、本研究を実施した。Neurology and Clinical Neuroscience誌2026年5月号の報告。

prasinezumabはパーキンソン病の運動症状悪化の抑制に有効か?(解説:内山真一郎氏)

prasinezumabはPASADENA試験により、未治療やMAO-B阻害薬の治療を受けている初期のパーキンソン病患者において運動症状の進行を遅くする効果を有する可能性が示されている。PADOVA試験は、安定的な維持療法を受けている、より幅広いパーキンソン病患者においてprasinezumabの有効性と安全性を検討した第II相試験であった。1次評価項目は運動症状がMDS-UPDRS Part III off-medication scoreで5点以上増加するまでの時間であったが、1次エンドポイントはprasinezumab群とプラセボ群で有意差はなかったものの、運動症状の進行はprasinezumab群で遅くなる傾向が認められた(ハザード比:0.84、95%信頼区間:0.69~1.01、p=0.066)。

認知症の疾患概念を考え直す(解説:岡村毅氏)

アルツハイマー型認知症が「アミロイドの蓄積⇒タウの蓄積⇒神経変性⇒軽度認知障害の顕在化⇒認知症の顕在化」という一連の流れであることがわかってきた。かつては「もの忘れで受診したときには、すでに遅いのである」「アミロイドやタウの病理は完成しているから介入できない」とされていた。しかし、脳画像検査や血液検査の進歩によって、本人にはもの忘れ等の自覚がない時期に、脳内の変化が検出できるようになってきている。神経学者たちは、より早く見つけ、より早く介入しようとしているのである。本論文はまさにその最先端である。

パーキンソン病へのiPS細胞由来「ラグネプロセル」薬価収載、最適使用推進ガイドライン発出

 パーキンソン病に対する再生医療等製品「ラグネプロセル(商品名:アムシェプリ)」について、住友ファーマが日本における製造販売承認(条件及び期限付承認)を2026年3月6日に取得し、5月20日に薬価収載された。本品の使用に当たっては、厚生労働省より5月19日に「最適使用推進ガイドライン」が発出された。  ラグネプロセルは、世界初となる日本発のiPS細胞由来製品で、京都大学iPS細胞研究財団が提供するiPS細胞ストックを原材料とした、「非自己(他家)iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞」を有効成分とする再生医療等製品に分類される。

日本の内科医と精神科医でアルツハイマー病に伴うアジテーションに対する治療方針が異なっている?

 認知症の行動・心理症状であるアジテーションは、日本ではいまだ十分に認識されていない。東京慈恵会医科大学の品川 俊一郎氏らは、日本におけるアルツハイマー病に伴うアジテーションに対する医師の認識と治療実践を明らかにするため、ウェブベースの横断調査を実施した。Scientific Reports誌オンライン版2026年5月7日号の報告。  調査対象は、神経内科、脳神経外科、精神科、または一般内科の医師で、調査パネルに登録し、参加に同意した医師。病院またはクリニックで勤務し、月10例以上のアルツハイマー病患者を診療していることを条件とした。調査は、2024年10月にウェブベースで実施した。