神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

テレビ視聴の多さは脳萎縮と関連

 「テレビばかり見ていると脳がだめになる」という母親の小言は、あながち的外れではないようだ。新たな研究で、テレビを頻繁に視聴することは、複数の脳領域の体積の減少や白質高信号体積の増加と関連することが示された。一方、座位で仕事をすることは、白質高信号体積の減少や複数の脳領域の体積が大きいことと関連していた。白質高信号とは、脳小血管病などによる白質の変化を反映するMRI所見で、白質病変とも呼ばれている。米南カリフォルニア大学(USC)人類進化生物学プログラムのNatan Feter氏らによるこの研究結果は、7月10日付で「Alzheimer’s & Dementia: The Journal of the Alzheimer’s Association」に掲載された。

抗アミロイドβ抗体薬、投与前のAPOE遺伝子検査考慮を追記/厚労省

 2026年8月17日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、抗アミロイドβ抗体薬であるドナネマブおよびレカネマブの「警告」および「重要な基本的注意」の項に、アミロイド関連画像異常(ARIA)のリスク管理などを目的とした「投与開始前のAPOE遺伝子検査の実施考慮」などが追加された。  アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度認知症患者を対象とした臨床試験や国内外の症例データにおいて、「アポリポ蛋白E対立遺伝子4(APOEε4)ホモ接合型キャリアの患者でARIA(ARIA-浮腫/滲出液貯留[ARIA-E]およびARIA-脳微小出血・脳表ヘモジデリン沈着症・脳出血[ARIA-H])の発現割合、画像上の重症度、症候性ARIAの発現割合がより高い傾向」にあることが認められている。

日本における若年性アルツハイマー病の診断遅延の現状

 若年性アルツハイマー病の診断には、高齢発症アルツハイマー病と比較し、特有の課題がある。しかし、日本における診断に至るまでの経過については、これまで明らかになっていなかった。新潟大学の春日 健作氏らは、日本において若年性アルツハイマー病と高齢発症アルツハイマー病の症状から診断までの期間を比較して、診断までの期間に影響を及ぼす要因を調査した。BMC Neurology誌オンライン版2026年7月9日号の報告。

健康的な脳の老化にはDHAが重要~EPAとの比較

 高齢者では脳萎縮が認知機能低下に先行することが多いため、脳構造の評価は神経保護の中間バイオマーカーとなる。近年、n-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)、とくにドコサヘキサエン酸(DHA)の血中濃度は、脳の構造的完全性との関連が示唆されている。しかし、魚の摂取量が多く、n-3系PUFA濃度がかなり高い日本人のデータは少なく、また、脳構造との関連でDHAとエイコサペンタエン酸(EPA)を比較した研究はほとんどない。今回、滋賀医科大学NCD疫学研究センターの近藤 慶子氏らが、高齢日本人女性においてEPA、DHA、EPA+DHAの血清濃度と脳容積の関連を検討したところ、DHAはEPAよりも灰白質容積との関連が強く、EPAとの関連は限定的なことがわかった。Journal of Nutrition誌オンライン版2026年7月25日号に掲載。

血液検査でアルツハイマー病がわかる世界へ(解説:岡村毅氏)

「将来、血液検査によってアルツハイマー病がわかるようになる」と、長い間言われ続けてきた。10年ほど前まで、アルツハイマー型認知症の診断は、CTやMRIなどの形態画像、SPECTなどの機能画像、脳脊髄液検査、心理検査、そして臨床的な面接などを組み合わせて行われてきた。脳脊髄液検査とは、腰から針を刺して髄液を採取する侵襲的な検査である。検査する側にとっても、される側にとっても、なかなか大変だったのだ。ところが、アルツハイマー病の神経病理が徐々に明らかになり、アミロイドPETなどの分子イメージングも臨床実装された。さらに現在では、認知症という臨床像だけではなく、アミロイドやタウといったバイオマーカーによってアルツハイマー「病」を捉える方向へと大きく動いている。

AIを用いたMRI解析で従来検出困難だった多発性硬化症の皮質病変を検出

 多発性硬化症(MS)では脳の皮質に生じる病変(皮質病変)が身体機能障害や認知機能低下と深く関連しているが、従来のMRI検査では皮質病変の可視化に限界があった。しかし、新しく開発されたAI(人工知能)を活用したMRI画像解析手法により複数のMRI画像の情報を組み合わせて解析することで、従来のMRI検査では見えなかった病変を検出できる可能性が示された。  論文の筆頭著者である米バッファロー大学神経学および生物医学情報学分野のMichael Dwyer氏は、「従来のMRI画像を見ても、通常は皮質病変を確認することはできない。しかし、AIは画像間のごくわずかな違いを検出できるため、非常に強力なツールとなる。

認知症リスク低下と関連する野菜の種類は?

 野菜や果物の総摂取量および摂取する野菜や果物の種類と認知症との関連を示すエビデンスは、依然として限られている。中国・浙江大学のLiyan Huang氏らは、3つのプロスペクティブコホート研究およびメタ解析を用い、野菜や果物の総摂取量およびサブグループ別の摂取量と認知症リスクとの関連を検討した。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2026年6月27日号の報告。  本研究は、Health and Retirement Study (HRS)、Framingham Heart Study Offspring Cohort (FOS)、Whitehall II Study (WHII)のデータを用いて実施した。

心・脳血管疾患の既往やNSAIDs使用はパーキンソン病リスクを高めるか?

 心・脳血管疾患の既往はパーキンソン病(PD)のリスク増加と関連することが示されているが、逆の因果関係による可能性が疑われていた。一方、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はPDリスクを低減させると考えられてきたが、過去のエビデンスは一貫しておらず、背景にある血管疾患による交絡の可能性も懸念されていた。英国・University of OxfordのClare Wotton氏らは、女性約82万例を対象とした大規模前向きコホート研究「Million Women Study」のデータを用いて解析を行った。その結果、虚血性心疾患および脳血管疾患の既往はPD発症リスクの有意な上昇と関連しており、逆の因果関係だけでは説明できないことが示された。

元プロサッカー選手、中年期から脳萎縮の可能性

 サッカーW杯の熱狂が米国を席巻する中、サッカーのもう一つの側面、すなわちサッカーが脳に及ぼす影響に光を当てた研究が報告された。中年期の元プロサッカー選手では、コンタクトスポーツの経験がない人と比べて、脳の重要な領域の萎縮がより顕著であることが明らかになった。また、元選手では、うつ症状や不安症状が多く見られ、計画や問題解決の困難を訴える傾向も認められたという。英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のCaleigh Grace Lynch氏らによるこの研究結果は、アルツハイマー病協会国際会議(AAIC 2026、7月12~15日、英ロンドン)で発表された。

「右利き」か「左利き」かは何によって決まる?

 字を書く、ボールを投げる、道具を使うといった日常的な動作をするとき、右利きの人は右手、左利きの人は左手の方がはるかに上手に動かせるのはなぜだろうか。新たな研究で、利き手の優れた運動能力は練習の積み重ねによって形成されるものであり、人の利き手を決定付けるような生まれつき固定された大脳半球の優位性は存在しないことが示された。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デイヴィッド・ゲフィン医学部神経内科のAhmet Arac氏らによるこの研究の詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に6月30日掲載された。