神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

認知症リスクを高める修正可能な因子、2つが追加

 新たな研究により、認知症発症のリスクを高める修正可能なリスク因子のリストに、視力喪失と高コレステロールの2つが加えられた。研究グループは、いずれの因子も予防が可能であるとし、その具体的な方法もアドバイスしている。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のGill Livingston氏らが中心となって、認知症の予防や介入、ケアに関する最新の研究や取り組みを取りまとめた、今回で3報目となるこの報告書は、「Dementia prevention, intervention, and care 2024」として、「The Lancet」に7月31日掲載された。

コロナ後遺症、6~11歳と12~17歳で症状は異なるか/JAMA

 米国・NYU Grossman School of MedicineのRachel S. Gross氏らは、RECOVER Pediatric Observational Cohort Study(RECOVER-Pediatrics)において、小児(6~11歳)と思春期児(12~17歳)の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の罹患後症状(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection:PASC)を特徴付ける研究指標を開発し、これらの年齢層で症状パターンは類似しているものの区別できることを示した。これまでPASC(またはlong COVID)に関する研究のほとんどは成人を対象としたもので、小児におけるPASCの病態についてはあまり知られていなかった。JAMA誌オンライン版2024年8月21日号掲載の報告。

BPSDに対する第2世代抗精神病薬5剤の比較~ネットワークメタ解析

 認知症患者で頻繁にみられる認知症の行動・心理症状(BPSD)の治療において、第2世代抗精神病薬(SGA)がよく用いられるが、その相対的な有効性および忍容性は明らかになっていない。中国・四川大学のWenqi Lu氏らは、BPSDに対する5つのSGAの有効性、許容性、忍容性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。BMJ Mental Health誌2024年7月30日号の報告。  標準平均差(SMD)を用いて、連続アウトカムの固定効果をプールした。カテゴリ変数に対応したオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。有効性の定義は、標準化された尺度によるスコア改善とした。許容性は、すべての原因による脱落率とし、忍容性は、有害事象による中止率と定義した。相対的な治療順位は、SUCRAにより評価した。有害事象アウトカムには、死亡率、脳血管有害事象、転倒、過鎮静、錐体外路症状、排尿症状を含めた。

コーヒーや紅茶の摂取と認知症リスク~メタ解析

 コーヒー、紅茶、カフェイン摂取と認知症およびアルツハイマー病リスクとの関連性は、限定的で相反する結果が示されている。中国・汕頭大学のFengjuan Li氏らは、これらの関連性を明らかにするため、潜在的な用量反応関係を定量化することを目指し、メタ解析を実施した。Food & Function誌2024年8月12日号の報告。  2024年6月11日までの公表されたコホート研究を、PubMed、EMBASE、Web of Scienceより検索した。ランダム効果モデルを用いて、プールされた相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。用量反応関係の評価には、制限付き3次スプラインを用いた。バイアスリスクの評価には、GRADE(Grading of Recommendations Assessment Development and Evaluation)ツールを用いた。

スピーチ・ニューロプロテーゼ、ALS患者の発話を実現/NEJM

 米国・カリフォルニア大学デービス校のNicholas S. Card氏らは、重度の構音障害を有する筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者1例において、皮質内に埋め込んだ電極を介して発話の神経活動を文字に変換し出力するスピーチ・ニューロプロテーゼ(speech neuroprosthesis)が、短時間のトレーニングで会話に適したレベルの性能に達したことを報告した。ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)は、発話に関連する皮質活動を文字に変換しコンピュータの画面上に表示することにより、麻痺を有する人々のコミュニケーションを可能にする。BCIによるコミュニケーションは、これまで広範なトレーニングが必要で精度も限られていた。NEJM誌2024年8月15日号掲載の報告。

AIが医師による重要な脳波検査の判読をサポート

 人工知能(AI)が100年の歴史を持つ脳波(EEG)検査の潜在的な有用性を高め、この昔ながらの検査に新たな輝きを与えつつあると、米メイヨー・クリニック神経学AIプログラムのディレクターであるDavid Jones氏らが報告した。EEG検査は頭部に取り付けた十数個の電極を通して脳の活動を測定する検査で、てんかんの検査によく使われている。しかし、EEG検査で記録された波形は判読が難しいため、医師は、認知症やアルツハイマー病の初期兆候を見つけ出すために、より高額な費用がかかるMRIやCTなどの選択肢に頼ってきたという。こうした中、AIにより、人間には検出が難しいかすかなEEGの異常を検出できる可能性のあることが新たな研究で示されたのだ。詳細は、「Brain Communications」に7月31日掲載された。

長期のコロナ罹患後症状、入院後6ヵ月時点がカギに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、急性期以降の認知および精神医学的転帰のリスク増加と関連することが知られている。英国で行われた大規模研究ではCOVID-19による入院後2~3年間における認知・精神症状の進行を追跡し、その症状と就労への影響について調査した。The Lancet Psychiatry誌2024年9月号掲載の報告。  本研究は英国の臨床医コンソーシアムであるThe Post-hospitalisation COVID-19 study(PHOSP-COVID)の登録データを使い、英国全土の参加病院でCOVID-19の臨床診断を受けて入院した成人(18歳以上)を対象とした前向き縦断コホート研究だった。

診断のための標的ボトックス注射が片頭痛のトリガー部位を特定する可能性

 診断のための標的ボトックス注射は片頭痛のトリガー部位の特定に、高い陽性適中率を示すという研究結果が、「Plastic and Reconstructive Surgery」5月号に掲載された。  マギル大学保健センター(カナダ)のHassan ElHawary氏らは、片頭痛のトリガー部位を特定するためにボトックス注射を受け、その後に罹患末梢神経の神経減圧術を受けた患者40人について感度解析を実施し、ボトックスの診断能について検討した。  解析の結果、ボトックス注射が成功した患者(注射後に片頭痛指数のスコアが50%以上改善した患者と定義)は、神経減圧術後の片頭痛の強度、頻度、片頭痛指数の平均減少率が有意に高かった。片頭痛の診断法としてのボトックス注射の使用は、感度解析で感度が56.7%、特異度が80.0%であった。陽性適中率は89.5%、陰性適中率は38.1%であった。

日本における低気圧誘発性頭痛に関する性差

 片頭痛は、女性に多い疾患である。低気圧は、頭痛発症の因子であるが、性別により違いがあるかは確認されていない。慶應義塾大学のTakuma Fujimoto氏らは、低気圧誘発性頭痛の性差について、調査を行った。BMC Research Notes誌2024年7月23日号の報告。  対象は、調査会社(マクロミル)のWebパネルよりランダムに抽出された20〜49歳の慢性片頭痛および緊張型頭痛患者。対象患者は、Webベースの自己記入式アンケートに回答した。目標変数をHeadache Impact Test-6(HIT-6)の高スコア(56以上)または低気圧誘発性頭痛とし、ロジスティック回帰分析を行った。  主な結果は以下のとおり。