脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:26

ヘディングが脳機能の低下に関連

 サッカーのヘディングの危険性を示すエビデンスが増え続けている。米コロンビア大学放射線学教授および生物医学工学分野のMichael Lipton氏らは、サッカーのヘディングにより測定可能な脳の構造が変化し、機能が低下することを示した2件の研究結果を、北米放射線学会年次総会(RSNA 2023、11月26~30日、米シカゴ)で発表した。  Lipton氏は、「脳損傷全般、特に、サッカーのヘディングが長期にわたって脳に悪影響を与える可能性については、世界的に大きな懸念がもたれている。そうした懸念の大部分は、若年期の脳の変化が中年期以降の神経変性や認知症のリスクをもたらす可能性に関係している」と説明している。

中年期日本人のBMIや体重変化と認知症リスク

 中年期のBMIや体重変化と認知症発症リスクとの性別特異的相関性に関するエビデンスは、とくにアジア人集団において不足している。高知大学の田代 末和氏らは、40~59歳の日本人を対象にBMIや体重変化と認知症発症リスクとの関連を調査した。その結果、中年期の肥満は認知症発症のリスク因子であり、中年後期の体重減少は体重増加よりも、そのリスクを高める可能性があることを報告した。Alzheimer's & Dementia(Amsterdam、Netherlands)誌2023年11月23日号の報告。

脳小血管病発症前のメトホルミン服用、予後を改善/新潟大

 糖尿病治療で多用されているメトホルミンに神経保護作用がある可能性が示唆されている。この可能性に関し、新潟大学脳研究所脳神経内科学分野の秋山 夏葵氏らの研究グループは、国立循環器病研究センターと共同で研究を行った。その結果、メトホルミンによる脳小血管病に対する神経保護効果が明らかとなった。Journal of the Neurological Sciences誌オンライン版2023年11月29日号からの報告。

認知症の評価に視覚活用、アイトラッキングシステムとは

 早期認知症発見のためのアイトラッキング技術を用いた「汎用タブレット型アイトラッキング式認知機能評価アプリ」の神経心理検査用プログラム『ミレボ』が2023年10月に日本で初めて医療機器製造販売承認を取得した。発売は24年春を予定している。この医療機器は日本抗加齢協会が主催する第1回ヘルスケアベンチャー大賞最終審査会(2019年開催)で大賞を取った武田 朱公氏(大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学)の技術開発を基盤として同第5回大賞(10月27日開催)を受賞した高村 健太郎氏(株式会社アイ・ブレインサイエンス)らが産業化に成功したもの。

遺伝子パネル検査、エキスパートパネルへの教育で推奨治療の精度向上/国立がん研究センターほか

 2019年にがん遺伝子パネル検査が保険適用となり、2023年8月までに6万例を超えるがん患者が本検査を受けている。しかし、検査結果に基づく次治療へ到達できる患者の割合は10%未満とされている。また、治験などの研究段階の治療の最新情報を把握することは難しく、各エキスパートパネルの推奨治療にばらつきがあることも報告されている。そこで、国立がん研究センター中央病院・東病院と日本臨床腫瘍学会は、がんゲノム医療拠点病院27施設のエキスパートパネル構成員に対し、エビデンスレベルが低く最新情報の把握が難しい治療に関する情報を共有する教育プログラムを実施した。教育プログラムの前後における、がんゲノム医療拠点病院のエキスパートパネルの推奨治療を評価した結果、教育プログラムによってエキスパートパネルの推奨治療の精度が向上することが明らかになった。また、探索的に実施したAIによる推奨治療の精度検証では、とくにエビデンスレベルの低い治療に関する情報において、AIはがんゲノム医療拠点病院のエキスパートパネルよりも精度が高かった。本研究結果は、国立がん研究センター中央病院の角南 久仁子氏らによって、JAMA Oncology誌オンライン版11月30日号で報告された。

アルツハイマー病リスクに対する身体活動の影響~メタ解析

 すべての原因による死亡率や認知症を減少させるために、身体活動(PA)は有用である。しかし、アルツハイマー病リスクに対するPAの影響については、議論の余地が残っている。中国医科大学付属第一医院のXiaoqian Zhang氏らは、アルツハイマー病発症とPAとの根本的な影響を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Ageing Research Reviews誌オンライン版2023年11月17日号の報告。  2023年6月までに公表された研究をPubmed、Embase、Cochrane Library、Web of Scienceより検索した。ランダム効果モデルを用いて、エフェクトサイズ(ハザード比[HR]、95%信頼区間[CI])を算出した。

レカネマブ薬価決定、アルツハイマー病治療薬として12月20日に発売/エーザイ

 エーザイとバイオジェンは12月13日付のプレスリリースにて、アルツハイマー病の新たな治療薬であるヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体のレカネマブ(商品名:レケンビ点滴静注200mg、同500mg)について、薬価基準収載予定日である12月20日より、日本で発売することを発表した。米国に次いで2ヵ国目となる。薬価は200mgが4万5,777円/バイアル、500mgが11万4,443円/バイアル。用法・用量は、10mg/kgを2週間に1回、約1時間かけて点滴静注で、患者が体重50kgの場合、年間約298万円になる。保険適用となり、さらに、治療費が高額になった場合は高額療養費制度も利用できる。

レビー小体型認知症とアルツハイマー病の鑑別におけるCISの診断精度

 レビー小体型認知症(DLB)の国際診断基準に取り入れられているcingulate island sign(CIS)は、アルツハイマー型認知症(AD)との鑑別診断に用いられる。最近の研究では、DLBにおけるCIS比は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアに応じて変化することが示唆されている。東京慈恵会医科大学の浅原 有揮氏らは、DLBとADを鑑別において、CIS比の診断精度(感度および特異度)がMMSEスコアに応じてどのように変化するかを評価するため、本研究を実施した。Journal of the Neurological Sciences誌2023年12月15日号の報告。

コロナ禍の認知機能低下、運動量減少やアルコール摂取で増大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中の規制(活動制限や物理的距離制限など)が50歳以上の中~高齢者の認知機能に及ぼした影響を調査した結果、パンデミック前と比べてパンデミック中は認知機能が顕著に悪化し、運動量の減少およびアルコール摂取量の増加と関連していたことが、英国・エクセター大学のAnne Corbett氏らによる横断研究で明らかになった。The Lancet Healthy Longevity誌2023年11月号の報告。  これまでの大規模コホート研究では、パンデミック以前に比べて抑うつや不安、ストレス、睡眠障害、アルコール摂取量が増加していることが報告されている。これらは認知症と密接に関係する要因であることから、研究グループはパンデミック中のコロナ規制が認知機能の健康に及ぼした影響やその要因、制限解除後も持続するかどうかを明らかにするため、英国の縦断研究「PROTECT試験」のデータを用いて、中~高齢者の認知機能を調査した。

オミクロン株感染で脳が変化、認知機能に影響か

 新型コロナウイルスのオミクロン株による感染後急性期の脳への影響はわかっていない。今回、中国・Second Xiangya Hospital of Central South UniversityのYanyao Du氏らが、オミクロン株感染後の男性患者における臨床症状、灰白質と皮質下核の変化を調べたところ、急性期に左楔前部と右後頭外側部の灰白質厚と、頭蓋内総容積に対する右海馬容積の割合が大幅に減少していたことがわかった。また、灰白質厚と皮質下核容積損傷が不安や認知機能と有意に関連することが示された。JAMA Network Open誌2023年11月30日号に掲載。