脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:5

アルツハイマー型認知症になりたくなければタクシーか救急車の運転手になろう?(解説:岡村毅氏)

アルツハイマー型認知症では「もの忘れ」もあるが、視空間障害が特徴的である。臨床現場では「知っている場所での迷子」とか、キツネさんの手の模倣の失敗があると、アルツハイマー型認知症の可能性を考える(あとはレビー小体型認知症)。さらには逆さキツネテスト(キツネさんの手を両手で作り、上下逆でくっつける)などで失敗すると、強く疑う。となると、空間的に道順をいつも考えている職業は、鍛えられており、アルツハイマー型認知症になりにくいのではないかと考えるのは自然だ。いきなり「○○まで行って下さい」と言われて、頭の中で必死に道順を考える職業といえば・・・タクシーと救急車の運転手だ!

心房細動の早期発見、早期介入で重症化を防ぐ/日本心臓財団

 日本心臓財団メディアワークショップは、都内で「心房細動の診療」をテーマにメディアワークショップを開催した。  心房細動(AF)は心臓内の心房が異常な動きをし、不整脈を引き起こす疾患である。AFでは、自覚症状を伴わないことが多く、気付かずに長期間放置すると心房内に生じた血栓が血流にのり、脳血管障害や心不全などを発症させる恐れがある。早期発見が重要であり、治療ではカテーテルアブレーションや薬物による治療が行われる。そして、早期発見では、日常の検脈や健康診断が重要となるが、近年では、テクノロジーの発達とデジタルデバイスの普及により、これまで見つかりにくかった無症候性や発作性タイプのAFの早期発見が可能になってきている。

中等~重度の椎骨脳底動脈閉塞、血管内治療vs.内科的治療/Lancet

 中等度~重度の症状を呈する椎骨脳底動脈閉塞患者において、標準的な内科的治療と比較して血管内治療は強固な有益性を示し、良好な機能的アウトカムの達成の可能性が高く、症候性頭蓋内出血のリスクは有意に増加するものの、全体的な機能障害および死亡率の有意な減少と関連することが、米国・ピッツバーグ大学のRaul G. Nogueira氏らが実施した「VERITAS研究」で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年12月11日号で報告された。  研究グループは、急性椎骨脳底動脈閉塞患者における血管内治療の安全性と有効性を評価するために、標準的な内科的治療(対照)と比較した無作為化試験の系統的レビューを行い、患者レベルのデータを統合したメタ解析により、事前に規定したサブグループにおける有益性を検討した(特定の研究助成は受けていない)。

日本のメモリークリニックにおける聴覚障害や社会的関係とBPSDとの関連性

 認知症の行動・心理症状(BPSD)は、認知症患者とその介護者のQOLに悪影響を及ぼす。そのため、BPSDを予防するための修正可能なリスク因子を特定することは、非常に重要である。滋賀医科大学の田中 早貴氏らは、聴覚障害、社会的関係とBPSDとの関連を調査するため、横断的研究を実施した。Psychogeriatrics誌2025年1月号の報告。  対象は、2023年7月~2024年3月に日本のメモリークリニックを受診した患者179例。純音聴力検査および質問票によるインタビューを行い、医療記録をレビューした。聴覚障害の定義は、聴力がより良好な耳における純音聴力検査で測定された平均聴力レベル40dB以上とした。BPSDの有無および重症度の評価には、BPSD25Qベースの質問票を用いた。交絡因子で調整したのち、聴覚障害、社会的関係指標とBPSDの有無および重症度との関連を評価するため、部分回帰係数を算出する多重回帰分析を行った。

閉経後HRT(ホルモン補充療法)のビッグデータを用いたtarget trial emulation(標的模倣試験)の結果(解説:名郷直樹氏)

閉経後のホルモン補充療法(hormone replacement therapy:HRT)は、かつて観察研究で心血管イベントを減らすがランダム化比較試験では増やすという真逆の結果が報告され、多くの論争を呼んだ。結論としては、RCTでは閉経直後でない多くの患者が対象とされていたり、 ITT解析がなされていたりすることと、観察研究での実際に投与された患者での解析による選択バイアスや、観察研究では排除できない交絡によって、違いが出たとされている。さらに最近では、新しいホルモン製剤によるHRTが主流となっている現状もある。

日本におけるレカネマブ治療施設の現状〜北海道のいま

 認知症の中で最も多いアルツハイマー病は、認知症患者の70%を占める。日本では、2018年に65歳以上の高齢者500万人以上が認知症に罹患しており、この年齢層における患者数は2045年までに25〜30%増加すると予想されている。2023年、新たに認知症治療薬として承認されたレカネマブは、今後ますます使用されると予想されている。しかし、レカネマブの使用では、アミロイドPETスキャンやMRIモニタリングなどの厳格なマネジメントが必要とされ、専門施設の拡大が求められるため、治療施設の不足や治療アクセスの悪さに関する懸念が課題となる。北海道大学の大橋 和貴氏らは、地理情報システムデータを用いて、北海道におけるレカネマブの空間的アクセスの評価を行った。Health Services Insights誌2024年11月18日号の報告。

貧血を伴う動脈瘤性くも膜下出血の輸血、非制限戦略vs.制限戦略/NEJM

 動脈瘤性くも膜下出血で貧血を伴う患者において、非制限輸血戦略は制限輸血戦略と比較して12ヵ月後の神経学的アウトカム不良のリスクを改善しなかった。カナダ・オタワ大学のShane W. English氏らが、カナダ、オーストラリアおよび米国の計23施設で実施した研究者主導の無作為化非盲検評価者盲検試験「Subarachnoid Hemorrhage Red Cell Transfusion Strategies and Outcome:SAHARA試験」の結果を報告した。動脈瘤性くも膜下出血後の集中治療管理中の患者において、制限輸血戦略と比較した非制限輸血戦略の有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2024年12月9日号掲載の報告。

更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ

 経口エストロゲン・プロゲスチン療法は、虚血性心疾患および静脈血栓塞栓症のリスク増加と関連していた。一方、tiboloneは、虚血性心疾患、脳梗塞、心筋梗塞のリスク増加と関連していたが、静脈血栓塞栓症とは関連していなかった。スウェーデン・ウプサラ大学のTherese Johansson氏らが、スウェーデン統計局、ならびに保健福祉庁の処方薬登録、全国患者登録、がん登録および死因登録のデータを用いて行った、無作為化比較試験(RCT)を模倣するtarget trialの結果を報告した。閉経後10年以上経過後または60歳を超えてからの経口エストロゲン・プロゲスチン療法開始は、心疾患、脳卒中、静脈血栓塞栓症のリスクが増加する可能性が示唆されているが、現行更年期ホルモン補充療法の心血管疾患リスクに関する研究は不足していた。BMJ誌2024年11月27日号掲載の報告。

アルツハイマー病最新治療薬の認知機能改善に対する有効性比較

 近年、新たなアルツハイマー病治療薬が登場し、臨床試験において認知機能および臨床症状に対する有望な結果が得られている。しかし、多くの薬剤の中から最も効果的な治療オプションを選択することについては、依然として議論が続いている。中国・西安交通大学のWeili Cao氏らは、新規アルツハイマー病治療薬の有効性を比較し、それらの薬剤をランク付けするために、ネットワークメタ解析を実施した。Neuroscience誌2025年1月号の報告。

アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾール長期延長試験

 アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有用性が、12週間のランダム化比較試験において実証された。しかし、長期的な有用性については、これまで十分に検証されていなかった。米国・大塚製薬のSaloni Behl氏らは、ブレクスピプラゾールの長期的な安全性および忍容性を評価するため、長期延長試験の結果を報告した。Journal of Alzheimer's Disease誌2024年11月号の報告。