脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

脳梗塞発症後4.5~24時間のtenecteplase、転帰改善せず/NEJM

 多くの患者が血栓溶解療法後に血栓回収療法を受けていた脳梗塞の集団において、発症から4.5~24時間後のtenecteplaseによる血栓溶解療法はプラセボと比較して、良好な臨床転帰は得られず、症候性頭蓋内出血の発生率は両群で同程度であることが、米国・スタンフォード大学のGregory W. Albers氏が実施した「TIMELESS試験」で示された。tenecteplaseを含む血栓溶解薬は、通常、脳梗塞発症後4.5時間以内に使用される。4.5時間以降のtenecteplaseの投与が有益であるかどうかについての情報は限られていた。研究の詳細は、NEJM誌2024年2月22日号で報告された。

大血管閉塞による急性脳梗塞、血栓除去術へのメチルプレドニゾロン併用は?/JAMA

 大血管閉塞による急性脳梗塞患者において、静脈内血栓溶解療法を含む血管内血栓除去術に低用量メチルプレドニゾロン静注を追加しても、90日後の機能的アウトカムに差はなかったが、死亡率および症候性頭蓋内出血の発生率は低かった。中国・人民解放軍第三軍医大学のQingwu Yang氏らが、中国の82施設で実施した医師主導無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Methylprednisolone as Adjunctive to Endovascular Treatment for Acute Large Vessel Occlusion trial:MARVEL試験」で示された。JAMA誌オンライン版2024年2月8日号掲載の報告。

広範囲脳梗塞への血栓除去術併用、1年後も有効/Lancet

 広範囲脳梗塞患者において、内科的治療のみと比較し血管内血栓除去術の併用は90日時の身体機能を有意に改善することが示されていたが、その有効性は1年後の追跡調査においても維持されていた。米国・ケース・ウエスタン・リザーブ大学のAmrou Sarraj氏らが、「SELECT2試験」の1年アウトカムを報告した。広範囲脳梗塞患者に対する血管内血栓除去術の有効性と安全性は複数の無作為化試験で報告されているが、長期の有効性については不明であった。Lancet誌2024年2月9日号掲載の報告。

睡眠が認知症発症に及ぼす影響

 睡眠障害と認知症との関係は、依然としてよくわかっていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のYing Xiong氏らは、高齢者(65歳以上)における睡眠対策と認知症との関係を調査し、これらの因果関係を明らかにするため、本研究を実施した。その結果、若年高齢者の短時間睡眠者、高齢者および頻繁にアルコールを摂取する長時間睡眠者において、認知症リスクとの関連が示唆された。Psychiatry Research誌オンライン版2024年1月28日号の報告。  高齢者における睡眠対策と認知症との関係を調査するため、English Longitudinal Study of Ageing(ELSA)のデータを用いた。さらに、Cox回帰モデルおよびメンデルランダム化(MR)分析を用いて、因果関係を調査した。

やはりワルファリンとの比較でないとDOACは対抗できない?(解説:後藤信哉氏)

心房細動の脳卒中予防には、アピキサバンなどのDOACが多く使用されている。根拠となったランダム化比較試験では、PT-INR 2~3のワルファリンが対照薬であった。ワルファリン治療は心房細動の脳卒中予防の実態的な過去の標準治療ではなかった。さらに、PT-INR 2~3を標的とするのは実態医療とも乖離していた。今回は、心房の筋肉にcardiomyopathyを認めるが、心房細動ではない症例を対象として、奇異性塞栓によるアピキサバンの脳梗塞再発予防効果をアスピリンと比較した。心房筋に障害があるので、病態は心房細動に近い。心房細動例の脳卒中再発予防であれば、過去の標準治療(PT-INR 2~3を標的としたワルファリン)にDOACは有効性で劣らず安全性に勝った。しかし、本研究対象のように心房細動ではないとアピキサバンはアスピリンと有効性・安全性に差がなかった。心房細動の有無というリズムが結果に与えた影響が大きかったのだろうか? 筆者は見かけの差異は対象の差異によると考える。

国内初の「飲酒ガイドライン」を公表/厚労省

 2月19日、厚生労働省は飲酒に伴うリスクに関する知識の普及推進を図るために「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表した。本ガイドラインは、アルコール健康障害の発生を防止するため、国民一人ひとりがアルコールに関連する問題への関心と理解を深め、自らの予防に必要な注意を払って不適切な飲酒を減らすために、個人の適切な飲酒量・飲酒行動の判断の一助となるよう作成された。  本ガイドラインの特徴として、「基礎疾患等がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体等への影響について、年齢・性別・体質などによる違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどをわかりやすく伝えるとともに、考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方や避けるべき飲酒方法などについて示している。お酒に含まれる純アルコール量は、「純アルコール量(g)=摂取量(mL)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で表すことができ、食品のエネルギー(kcal)のようにその量を数値化できることから、純アルコール量に着目しながら、自身に合った飲酒量を決めて、健康に配慮した飲酒を心掛けることが必要とも記されている。実際に飲料メーカー各社では2021年頃よりアルコール飲料に含まれる純アルコール量の表示を開始している。

アルツハイマー病に対する新規疾患修飾薬とリチウムの有用性比較~ネットワークメタ解析

 米国食品医薬品局(FDA)により承認、または審査中の軽度認知障害およびアルツハイマー病に対する疾患修飾薬(donanemab、レカネマブ、aducanumabなど)と潜在的な疾患修飾薬であるリチウムの臨床的有用性の比較は、これまで十分に行われてなかった。iこころクリニック日本橋の寺尾 樹氏らは、アルツハイマー病に対する疾患修飾薬とリチウムの認知機能低下に対する有効性、忍容性、受容性を比較するため、ランダム効果ネットワークメタ解析を実施した。Ageing Research Reviews誌2024年2月号の報告。

急性期脳梗塞のIVT+血栓回収療法、140分以内のIVTで有効/JAMA

 急性期脳梗塞に対する静注血栓溶解療法(IVT)の有用性は、症状発現からIVT施行までの時間が長いほど低下するが、IVT後に血栓回収療法を行った場合に、同様の時間依存性が存在するかは知られていない。スイス・ベルン大学のJohannes Kaesmacher氏らIRIS共同研究グループは、IVT+血栓回収療法は血栓回収療法単独と比較して、症状発現からIVT施行までの時間が2時間20分以内と考えられる場合には、90日後の機能的アウトカムが有意に良好だが、この時間以降は統計学的に有意な関連はないことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年2月7日号に掲載された。

健診後の早期受療、死亡リスクを減少させるか/阪大、NCGMほか

 血圧や脂質、血糖などに問題のあるハイリスク者について、健康診断後の受療行動は、その後の生命予後に影響するのだろうか。大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座の董 加毅氏らの研究グループは、全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険請求データベースを使用し、国立国際医療研究センター(NCGM)と共同で高リスク集団における健診後の受診時期と心血管イベントによる入院と全死亡リスクとの関連を検討した。その結果、健康診断後の早期受診が、高リスク者における主要心血管系イベントの入院および全死亡のリスク低下と関連していた。Atherosclerosis誌2024年1月号に掲載。  本研究では、協会けんぽの健康保険請求データベースに登録された男女35~74歳の高リスク者41万2,059人を、健診後12ヵ月間の受診時期によって4群に分類(早期:3ヵ月未満、中間:4~6ヵ月、後期:7~12ヵ月、なし)。Cox比例ハザード回帰モデルを用い、健診後の受診時期と脳卒中、冠動脈性心疾患、心不全、全死亡による入院リスクとの関連を検討した。

心房細動のない心房性疾患患者の潜因性脳卒中、アピキサバンの再発予防効果は?/JAMA

 心房細動を伴わない心房性心疾患の証拠がある、潜因性脳卒中(cryptogenic stroke)を呈した患者において、アピキサバンはアスピリンと比較して脳卒中再発リスクを有意に低下しなかった。米国・Weill Cornell MedicineのHooman Kamel氏らが「ARCADIA試験」の結果を報告した。心房性心疾患は、臨床的に明らかな心房細動を認めない場合において、脳卒中と関連することが示されている。心房細動への有益性が示されている抗凝固療法が、心房性疾患を有するが心房細動は有さない患者の脳卒中を予防するかどうかは不明であった。JAMA誌オンライン版2024年2月7日号掲載の報告。