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2024/07/10
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脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

脳梗塞患者、血管イベント再発予防に長期コルヒチンは有益か/Lancet

 非心原性脳塞栓症患者の血管イベントの再発予防のための長期コルヒチン投与の有効性と安全性を評価した無作為化試験「CONVINCE試験」において、統計学的に有意な有益性は示されなかったことを、アイルランド・ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンのPeter Kelly氏らが報告した。長期コルヒチンによる抗炎症療法は、冠動脈疾患における血管イベントの再発を予防することが示されている。研究グループは今回、一般的に動脈硬化によって引き起こされる冠動脈疾患とは異なり、多様なメカニズムによって引き起こされる虚血性脳卒中後の再発予防についても長期コルヒチンは有効であるとの仮説を立て検証した。試験の結果では再発予防に関する有益性は認められなかったが、ベースラインで同程度であったCRP値が28日時点で投与群において有意に低下したことが認められた。著者は、「抗炎症療法についてさらなる無作為化試験を行うことを支持する新たなエビデンスが論拠として示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2024年6月7日号掲載の報告。

超音波で脳の「窓」から脳活動をモニタリング

 米南カリフォルニア大学(USC)ケック医学校と米カリフォルニア工科大学の研究グループが、患者の頭蓋骨の欠損部分にアクリル樹脂製のインプラントを設置し、この「窓」を通して、機能的超音波イメージング(functional ultrasound imaging;fUSI)により高精細の脳画像データを得ることに成功したことを報告した。研究グループは、患者の病状経過のモニタリングや臨床研究において、この感度の高い非侵襲的なアプローチが新たな道を切り開く可能性があるのみならず、脳機能に関する広範な研究にも役立つ可能性があると話している。USCケック医学校臨床神経外科分野のCharles Liu氏らによるこの研究の詳細は、「Science Translational Medicine」に5月29日掲載された。

アルツハイマー病のアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有用性〜メタ解析

 最近のランダム化比較試験(RCT)において、アルツハイマー病患者の行動障害(アジテーション)のマネジメントに対するブレクスピプラゾールの有用性が示唆されている。しかし、その有効性および安全性は、まだ明らかとなっていない。ブラジル・Federal University of CearaのGabriel Marinheiro氏らは、アジテーションを有するアルツハイマー病患者を対象にブレクスピプラゾールとプラセボを比較したRCTのメタ解析を実施した。Neurological Sciences誌オンライン版2024年5月20日号の報告。

くも膜下出血の発症リスクが上がる/下がる薬は?

 オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJos P. Kanning氏らは、動脈瘤によるくも膜下出血(aSAH:aneurysmal subarachnoid hemorrhage)の発症リスクを下げるとされる処方薬として、5剤(リシノプリル[商品名:ロンゲスほか]、アムロジピン[同:アムロジンほか]、シンバスタチン[同:リポバスほか]、メトホルミン[同:メトグルコほか]、タムスロシン[同:ハルナールほか])を明らかにした。一方で、aSAHの発症に関連している可能性がある薬剤についても示唆した。Neurology誌オンライン版2024年6月25日号掲載の報告。

コーヒー・紅茶と認知症リスク、性別や血管疾患併存で違い

 コーヒーや紅茶の摂取は、認知症リスクと関連しているといわれているが、性別および血管疾患のリスク因子がどのように関連しているかは、よくわかっていない。台湾・国立台湾大学のKuan-Chu Hou氏らは、コーヒーや紅茶の摂取と認知症との関連および性別や血管疾患の併存との関連を調査するため、本研究を実施した。Journal of the Formosan Medical Association誌オンライン版2024年5月6日号の報告。  対象は3施設より募集したアルツハイマー病(AD)の高齢患者278例、血管性認知症(VaD)患者102例、対照者468例は同期間に募集した。コーヒーや紅茶の摂取頻度および量、血管疾患の併存の有無に関するデータを収集した。コーヒーや紅茶の摂取と認知症リスクとの関連性を評価するため、多項ロジスティック回帰モデルを用いた。性別および血管疾患の併存により層別化して評価を行った。

血液検査で危険なタイプの脳卒中を判別

 脳卒中を発症すると、ニューロンは数分で死滅し始めるため、脳卒中のタイプを迅速に特定して対処することが鍵となる。その特定プロセスを早めることができる血液検査の開発についての研究成果が、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のJoshua Bernstock氏らにより報告された。この血液検査により、患者の発症した脳卒中が致死率の高い主幹動脈閉塞(LVO)を伴うものであるかどうかを高い精度で判定できることが示されたという。この研究結果は、「Stroke: Vascular and Interventional Neurology」に5月17日掲載された。  LVOを伴う脳梗塞であることが分かれば、医師は機械的血栓回収療法による治療を実施できる。これは、脳梗塞の原因となっている血栓を取り除く外科的手法だ。研究論文の上席著者であるBernstock氏は同病院のニュースリリースの中で、「機械的血栓回収療法のおかげで、この手術を行わなければ死亡するか重大な障害を負っていたであろう人が、あたかも脳卒中など経験しなかったかのように完全回復することができる」と説明している。同氏は続けて、「この治療は、迅速に行えば行うほど、患者の予後も良好になる」と指摘し、「われわれが開発したこの素晴らしい検査法は、世界中でより多くの人がより迅速にこの治療を受けられるようにする可能性を秘めている」と話している。

日本人における頭痛で受診する患者としない患者の特徴

 富士通クリニックの五十嵐 久佳氏らは、頭痛で医療機関を受診した患者と受診しなかった患者の特徴を明らかにするため、観察研究を実施した。BMJ Open誌2024年4月29日号の報告。  横断的なオンライン調査および医療請求データを用いて、観察研究を実施した。オンライン調査は、2020年11月に自己記入式アンケートで実施し、2017年12月〜2020年11月の医療請求データは、DeSCヘルスケアより提供された。性別と年齢が請求データと一致した19〜74歳の回答者2万1,480人のうち、頭痛を経験した人は7,311人であった。アウトカムは、参加者の特徴、医療機関の受診状況、薬物療法、片頭痛のQOLアンケート(MSQ)Ver.2.1より測定したQOL、頭痛重症度とした。

東日本大震災による住宅被害や精神的ダメージと修正可能な認知症リスクとの関連

 東北大学の千葉 一平氏らは、地域住民の高齢者における、東日本大震災による住宅被害および精神的ダメージと認知症の修正可能なリスク因子との関連を評価する目的で横断的研究を実施した。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2024年5月3日号の報告。  対象は、地域住民の高齢者2万9,039人(平均年齢:69.1±2.9歳、女性の割合:55.5%)。東日本大震災後の災害関連被害(住宅全壊または半壊)および精神的ダメージ(心的外傷後ストレス反応[PTSR])を、自己申告式アンケートを用いて収集し評価した。修正可能なリスク因子には、うつ病、社会的孤立、身体不活動、喫煙、糖尿病を含んだ。災害関連被害と修正可能なリスク因子との関連を評価するため、社会人口統計学的変数と健康状態変数を調整した後、最小二乗法および修正ポアソン回帰モデルを用いた。

入院中に認知症が疑われる、または診断された高齢患者の特徴

 日本では、身体疾患による入院時に認知症の疑いまたは診断を受けた患者に対する加算制度が、2016年に開始された。藤田医科大学の芳野 弘氏らは、入院中に認知症の疑いまたは認知症と診断された高齢患者の臨床的特徴を調査した。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2024年4月24日号の報告。  参加者569例の年齢、性別、併存疾患、入院の原因疾患、BMI、血液検査、入院前の環境、入院前の処方歴、せん妄の割合を調査した。高頻度の疾患については、それぞれのリスク因子を独立変数とし、単回帰分析を行い、その後、重回帰分析を実施した。

気候変動は脳の疾患の悪化と関連

 気候変動は、脳卒中、片頭痛、アルツハイマー病、てんかん、多発性硬化症などの脳の疾患を悪化させる可能性のあることが、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)クイーンスクエア神経学研究所教授のSanjay Sisodiya氏らによる研究で明らかになった。研究グループは、「気候変動は、さまざまな神経疾患にかなりの影響を与える可能性が高い」と危惧を示している。この研究の詳細は、「The Lancet Neurology」6月号に掲載された。  この研究では、1968年から2023年の間に発表された332件の研究データを分析し、気候変動が、2016年の世界疾病負荷研究(Global Burden of Disease Study 2016)で検討された、脳卒中、片頭痛、アルツハイマー病、髄膜炎、てんかん、多発性硬化症などの19種類の神経疾患、および不安や抑うつ、統合失調症などの精神疾患に与える影響を検討した。