脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

急性期脳梗塞、再灌流後のアルテプラーゼ投与は有益?/JAMA

 前方循環の主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳卒中を呈し、機械的血栓除去術による血管内再灌流を達成した患者において、アルテプラーゼ動脈内投与は90日時点で優れたアウトカムを示す可能性が高いことを、中国・中山大学のXinguang Yang氏らPEARL Investigatorsが無作為化試験の結果で示した。アルテプラーゼ動脈内投与群では、全死因死亡率および頭蓋内出血の発現率が高かったが、統計学的有意差は認められなかった。主幹動脈閉塞を伴う急性期虚血性脳卒中を呈し、血栓除去術を受けた患者における機能的アウトカムは、依然として最適とはいえず、血栓除去術後のアルテプラーゼ動脈内投与の有益性は不明のままであった。JAMA誌オンライン版2025年10月13日号掲載の報告。

世界の死亡パターン、過去30年の傾向と特徴/Lancet

 米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2023 Causes of Death Collaboratorsは、過去30年の世界における死亡のパターンを、改善された推定法を用いて調査し、COVID-19パンデミックのような重大イベントの影響、さらには低所得地域での非感染性疾患(NCD)の増加といった世界で疫学的転換が進んでいることを反映した、より広範な分野にわたる傾向を明らかにした。死因の定量化は、人々の健康を改善する効果的な戦略開発に向けた基礎的な段階である。GBDは、世界の死因を時代を超えて包括的かつ体系的に解析した結果を提供するものであり、GBD 2023では年齢と死因の関連の理解を深めることを目的として、70歳未満で死亡する確率(70q0)と死因別および性別の平均死亡年齢の定量化が行われた。Lancet誌2025年10月18日号掲載の報告。

レボドパは脳卒中の回復を促進するか?(解説:内山真一郎氏)

レボドパは、ドーパミンシグナルを促進し神経可塑性を刺激するので、脳卒中後の運動機能の回復を促進する可能性があり、脳卒中のリハビリに用いられているが、その効果に関するエビデンスは確立されていない。ESTREL試験は、スイスで行われた二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、臨床的意味のある片麻痺を伴った虚血性または出血性脳卒中610例を対象として、標準的なリハビリテーション療法に加えてレボドパ/カルビドパ(100mg/25mg)またはプラセボを投与して3ヵ月後の運動機能をFugl-Meyer Assessmentで評価したが、両群間には有意差がなかった。

認知機能低下リスクを考慮した高齢者の適切な睡眠時間は

 睡眠時間は、認知機能に重要な役割を果たしており、認知機能の低下と密接に関連している。しかし、中国人を対象に睡眠時間と認知機能の関係について検討した研究は、これまで十分ではなかった。中国・北京中医薬大学のGuolin Guo氏らは、中国の中高年における睡眠時間と認知機能の関連性を評価するため、横断的研究を実施した。JMIR Human Factors誌2025年9月8日号の報告。  China Health and Retirement Longitudinal Study 2020に参加した1万5,526例のデータを用いて、エピソード記憶、思考力、総合的認知機能を含む3つの複合指標を用いて認知機能の評価を行った。また、対面インタビューにより、自己申告による夜間の睡眠時間のデータも取得した。人口統計学的、ライフスタイル、健康関連の共変量を考慮し、多重一般化線形回帰モデルを用いて調整した。

若者の片頭痛、30年間で世界的な負担が急増

 片頭痛は、10〜24歳のAYA世代の心身的健康に重大な影響を及ぼす疾患である。中国・北京中医薬大学のYanPi Li氏らは、1990〜2021年のAYA世代における片頭痛の発症率、有病率、障害調整生存年(DALY)の世界的傾向を評価し、予防および政策の指針となるエビデンスを提供するため、本研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2025年9月1日号の報告。  過去30年間(1990〜2021年)の204の国と地域におけるAYA世代の片頭痛負担を性別、年齢、社会人口統計指数(SDI)、地域、年別に層別化した世界疾病負担(GBD)2021研究より、データを取得した。本評価では、発症率、有病率、DALYの分析を行った。

血栓溶解療法は脳梗塞発症後4.5~24時間経過した患者に有効か?(解説:内山真一郎氏)

HOPE試験は、救命しうる脳組織があり血栓回収療法を予定していない、発症後4.5~24時間経過した脳梗塞患者にアルテプラーゼの静注療法が有効かどうかを検討した、中国で行われたPROBEデザインの無作為化比較試験である。372例が無作為割り付けされたが、アルテプラーゼ投与群では標準的内科治療群と比べて、36時間以内の症候性頭蓋内出血は多かったものの、3ヵ月後の自立可能例が有意に多かった。この結果は、このような条件を満たす患者では、発症後24時間までアルテプラーゼが適応となりうることを示唆している。

心血管疾患は依然として世界で最多の死因

 心血管疾患(CVD)は依然として世界で最も多い死因であり、CVDによる死亡は世界中での全死亡の3分の1を占めていることが、新たな研究で明らかになった。米ワシントン大学心血管健康指標プログラムのディレクターを務めるGregory Roth氏らによるこの研究は、「Journal of the American College of Cardiology」に9月24日掲載された。  同誌の編集者である米イェール大学医学部教授のHarlan Krumholz氏は、「この報告は警鐘だ。CVDは依然として世界の主要な死因であり、その負担はCVDに対する対応力が最も低い地域で急速に増加している」と指摘している。その一方で同氏は、「ただし、CVDのリスクとその対策法については明らかになっている。各国が効果的な医療政策と制度をすぐにでも実行すれば、何百万もの命を救うことができる」と述べている。

シンバスタチン、二次性進行型多発性硬化症への効果は?/Lancet

 先行の疫学研究により、多発性硬化症(MS)の重症度と血管合併症の関連が指摘され、第IIb相のMS-STAT試験では、HMG-CoA還元酵素阻害薬シンバスタチンはプラセボに比べ、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)患者の脳萎縮率を年間43%低減するととともに、総合障害度評価尺度(EDSS)の有意な改善が報告されている。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのJeremy Chataway氏らMS-STAT2 Investigatorsは、第III相の「MS-STAT2試験」において、SPMS患者の障害進行の抑制に関して、シンバスタチンは有意な効果をもたらさないことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年10月1日号で発表された。

頭部への衝撃で若いアスリートのニューロンが喪失

 新学期を迎え、若いアスリートが再び学校や大学のグラウンドに出る季節となった。こうした中、身体の接触を伴うコンタクトスポーツへの参加で若いアスリートたちの貴重な脳の力が犠牲になり得ることが、新たな研究で示された。アメリカンフットボールやサッカー、アイスホッケーなどのスポーツをしている若いアスリートでは、頭部衝撃を繰り返し受けることでニューロン(脳神経細胞)の減少や炎症、脳血管の損傷が引き起こされる可能性のあることが明らかになったという。米国立衛生研究所(NIH)などの資金提供を受けて米ボストン大学CTEセンターのJonathan Cherry氏らが実施したこの研究の詳細は、「Nature」に9月17日掲載された。

脳卒中リハビリテーション、レボドパ追加は有効か/JAMA

 レボドパは、脳卒中発症後の運動機能の回復を促進する可能性が示唆されているが、有効性に関するエビデンスは肯定・否定が混在するにもかかわらず、脳卒中リハビリテーションに補完的に使用されているという。スイス・バーゼル大学のStefan T. Engelter氏らの研究チームは「ESTREL試験」において、急性期脳卒中患者に対する入院リハビリテーションでは、標準的リハビリテーションにプラセボを加えた場合と比較してレボドパの追加は、3ヵ月後の運動機能の改善をもたらさないことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年9月22日号で発表された。