脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

脳梗塞既往患者のLDL-C目標値、より厳格にすべき?/Circulation

 虚血性脳卒中の既往歴を持つ患者は、脳卒中再発およびその他の主要心血管イベント(MACE)リスクが高い。米国・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のVictorien Monguillon氏らが、FOURIER試験のデータを用いて行った2次分析の結果、LDL-C値が40mg/dL未満まで低下すると、出血性脳卒中リスクを明らかに増加させることなく、脳卒中再発を含むMACEのリスクが低下することが示された。Circulation誌オンライン版2025年11月3日号掲載の報告より。

動脈内血栓溶解療法は血栓回収療法後の補助的治療として有効か?(解説:内山真一郎氏)

PEARL試験は、機械的血栓回収療法により再灌流に成功した、急性期前循環系大血管閉塞性脳梗塞の中国人324例においてアルテプラーゼ動脈内投与群と標準的治療群とを比較した多施設共同非盲検無作為化試験であるが、90日後の転帰良好(改変ランキンスケールスコア0または1)がアルテプラーゼ動脈内投与群で標準的治療群より有意に多かった。血栓回収療法は大血管閉塞性脳梗塞に対する標準的治療となったが、長期の転帰良好例は依然として半数以下であり、転帰を改善するための補助的治療が必要とされている。血栓回収療法による神経症状改善効果が不十分な理由の1つとして、血栓回収療法後の遠位動脈や微小循環の残存血栓によるno-reflow現象の関与が考えられることから、血栓回収療法後の動脈内血栓溶解療法は血栓回収療法の補助的治療として転帰改善効果が期待できるかもしれない。ただし、これまでに行われた同様な臨床試験の結果は一致しておらず、現在進行中の他の試験もあるので、それらの結果やメタ解析によるさらなるエビデンスの集積が必要なように思われる。

認知症/MCI患者に対する抗コリン薬の使用率は?

 認知機能が低下している高齢者は、抗コリン作用を有する薬剤の累積使用による副作用の影響を受けやすいとされている。しかし、このような患者における入院リスクに関する研究は依然として限られており、入院の具体的な原因に焦点が当てられていない場合が多い。マレーシア・University MalayaのRenuka Rahoo氏らは、軽度認知障害(MCI)または認知症の高齢者における抗コリン薬の負担とその役割、さらに入院リスクおよび入院理由との関連を調査した。Clinical Interventions in Aging誌2025年9月25日号の報告。

機内における急病人の発生頻度は?~84の航空会社での大規模調査

 2025年には約50億人が民間航空機を利用すると予測されている。航空機内での急病(機内医療イベント)は、医療資源が限られ、専門的な治療へのアクセスが遅れるという制約の中で対応が必要となる。米国・デューク大学のAlexandre T. Rotta氏、MedAireのPaulo M. Alves氏らの研究グループは、84の航空会社が参加した大規模な国際データを分析し、機内医療イベントの発生頻度や、航空機の目的地変更につながる要因などを明らかにした。JAMA Network Open誌2025年9月29日号に掲載。

日本人における気圧の変化と片頭痛との関係

 獨協医科大学の辰元 宗人氏らは、日本の健康保険請求データベースの大規模データと気象データを照合し、気圧変化の大きい季節が片頭痛発症に及ぼす影響を調査するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2025年9月10日号の報告。  本研究では、JMDC請求データと日本の気象データを用いて分析した。片頭痛の診断歴を有する患者を対象とし、片頭痛と最初に診断された医療機関の所在地に基づいて8つの地域サブグループに分類した。片頭痛発症までの期間(各季節の初日からトリプタンが処方されるまでの期間と定義)を、気圧変化が最も大きい季節と最も小さい季節で比較した。

米国でサマータイムを廃止すれば脳卒中や肥満が減少する可能性

 米国では夏季に時計を1時間早めるサマータイムが実施されているが、それを廃止することによって、脳卒中や肥満を減らせる可能性があるとする論文が、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に9月15日掲載された。  この研究は、米スタンフォード大学のLara Weed氏、Jamie M. Zeitzer氏によるもので、仮に標準時間(夏季以外の時間)に固定した場合、1年間で約30万件の脳卒中が予防され、260万人の肥満が減少する可能性があるという。また、サマータイムのままとした場合にも、影響は3分の2程度に減るものの脳卒中や肥満の抑制効果が見込まれるとのことだ。研究者らは、「これを別の言葉で表現するなら、現在実施されている年2回の時計の切り替えは、米国民の健康にとって最悪の政策である」と述べている。

アルツハイマー病のアジテーションに対するブレクスピプラゾール〜RCTメタ解析

 アルツハイマー病に伴うアジテーションは、患者および介護者にとって深刻な影響を及ぼす。セロトニンとドパミンを調整するブレクスピプラゾールは、潜在的な治療薬として期待されるが、最近の試験や投与量の違いにより、最適な有効性および安全性についての見解は、一致していない。ブラジル・Federal University of ParaibaのJoao Vitor Andrade Fernandes氏らは、アルツハイマー病に伴うアジテーションの治療におけるブレクスピプラゾールの有効性および安全性を用量特異的なアウトカムに焦点を当て評価するため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Indian Journal of Psychiatry誌2025年9月号の報告。

心血管疾患の発症前にはほぼ常に警告サインあり

 冠動脈疾患(CHD)や心不全(HF)、脳卒中などの心血管疾患(CVD)の発症前には、少なくとも1つの警告サインが現れているようだ。CVDの発症前には、以前よりCVDの主なリスク因子とされている高血圧、脂質異常症、高血糖、および喫煙の4つの因子のうちの少なくとも1つが99%以上の確率で存在していることが、新たな研究で示された。米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のPhilip Greenland氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に9月29日掲載された。  研究グループは、この結果は、CVDは予兆なく発症することが多いという一般的な考え方を否定するものだとしている。Greenland氏は、「この研究は、CVDの発症前に1つ以上の最適ではないリスク因子にさらされる確率がほぼ100%であることを、極めて強い説得力をもって示している」と述べている。同氏は、「今後は、治療が容易ではなく因果関係もない他の要因を追求するのではなく、これらの修正可能なリスク因子をコントロールする方法を見つけることに、これまで以上に力を入れるべきだ」と同大学のニュースリリースの中で付け加えている。

世界の疾病負担とリスク因子、1990~2023年の状況/Lancet

 2010年以降、感染性・母子新生児・栄養関連(CMNN)疾患および多くの環境・行動リスク因子による疾病負担は大きく減少した一方で、人口の増加と高齢化が進む中で、代謝リスク因子および非感染性疾患(NCD)に起因する障害調整生存年数(DALY)は著しく増加していることが、米国・ワシントン大学のSimon I. Hay氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2023 Disease and Injury and Risk Factor Collaboratorsの解析で示された。Lancet誌2025年10月18日号掲載の報告。

寝たきり原因第1位「脳卒中」、最新治療アクセス改善と患者支援の最前線/日本脳卒中学会・日本脳卒中医療ケア従事者連合・日本脳卒中協会

 日本脳卒中学会、日本脳卒中医療ケア従事者連合、日本脳卒中協会の主催による「脳卒中メディアフォーラム」が10月15日に開催された。杏林大学医学部脳卒中医学 教授の平野 照之氏が司会を務めた。「脳卒中・循環器病対策基本法」および「脳卒中と循環器病克服5か年計画」に基づき、(1)脳卒中医療体制の整備、(2)地域多職種連携、(3)患者・家族支援と社会への啓発活動という3つの柱に沿って、各団体の理事長から最新の取り組みが報告された。