脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

エボロクマブは、高リスクでない患者にも有効か/NEJM

 PCSK9阻害薬によるLDLコレステロール(LDL-C)低下療法の研究は、心筋梗塞や脳卒中などの重大なアテローム性心血管イベントの既往歴のある、きわめてリスクの高い患者を中心に進められてきた。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のErin A. Bohula氏らVESALIUS-CV Investigatorsは、国際的な臨床試験「VESALIUS-CV試験」において、心筋梗塞、脳卒中の既往歴のないアテローム性動脈硬化症または糖尿病患者でも、エボロクマブはプラセボとの比較において、初発の心血管イベントリスクを有意に低下させたことを報告した。本研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2025年11月8日号に掲載された。

心筋梗塞後のβ遮断薬、LVEF保持例の死亡・再発・心不全を抑制せず/NEJM

 左室駆出率(LVEF)が50%以上に保たれ、β遮断薬のほかに適応がない心筋梗塞後の患者において、β遮断薬の投与は非投与の場合と比較して、全死因死亡、心筋梗塞、心不全の複合の発生率を低減しないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のAnna Meta Dyrvig Kristensen氏らBeta-Blocker Trialists’ Collaboration Study Groupが行ったメタ解析の結果で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2025年11月9日号で発表された。  研究グループは、心筋梗塞後のβ遮断薬の有効性の評価を目的とする、5つの研究者主導型非盲検無作為化優越性試験(β遮断薬群と非β遮断薬群を比較)の参加者の個別データを用いたメタ解析を実施した(Centro Nacional de Investigaciones Cardiovasculares Carlos IIIなどの助成を受けた)。

レカネマブ承認後に明らかとなった日本におけるアルツハイマー病診療の課題

 2023年、日本で早期アルツハイマー病の治療薬として抗Aβ抗体薬レカネマブが承認された。本剤は、承認後1年間で約6,000例に処方されている。東京大学の佐藤 謙一郎氏らは、レカネマブ導入後の実際の診療とその課題、そして潜在的な解決策を明らかにするため、認知症専門医を対象にアンケート調査を実施し、その結果を公表した。Alzheimer's & Dementia誌2025年10月号の報告。  レカネマブを処方可能な認知症専門医を対象に、匿名のオンライン調査を実施した。回答した認知症専門医311人が1年間でレカネマブによる治療を行った患者数は3,259例であった。

解熱鎮痛薬による頭痛誘発、その原因成分とは

 日本のテレビコマーシャルでお馴染みの解熱鎮痛薬「イブ」に含有されている成分が、韓国では2025年4月に違法薬物に指定されて持ち込み禁止となった。その成分は、日本人医師や薬剤師にはさほど認知度が高くないものの、近年の頭痛外来患者の増加の原因の1つになっている可能性があるという。今回、頭痛専門外来患者の市販薬(OTC医薬品)の服用状況などを研究する佐野 博美氏(京都大学大学院医学研究科 社会医学系専攻健康情報学)と共同研究者の平 憲二氏(プラメドプラス)が、日本社会薬学会第43年会にて「薬剤の使用過多による頭痛(medication-overuse headache:MOH、薬物乱用頭痛)」に関する報告をしたことから、解熱鎮痛薬に含まれる依存性成分や頭痛患者が増える実態について話を聞いた。

経口抗凝固薬の重大な副作用、脾破裂に至る脾臓出血が追加/厚労省

 2025年11月26日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、経口抗凝固薬5成分の「重大な副作用」の項に「脾破裂に至る脾臓出血」が追加された。  今回の改訂は、経口抗凝固薬の脾破裂リスクについて、国内外症例、WHO個別症例安全性報告グローバルデータベース(VigiBase)を用いた不均衡分析結果を評価し、専門委員の意見も聴取した上で判断されたものである。

家族の録音メッセージがICU入室患者のせん妄を防ぐ

 人工呼吸器を装着している集中治療室(ICU)入室患者では、5人中4人にせん妄が生じる。せん妄とは、治療による体への負担が原因で生じる異常な精神状態のことをいい、パニック、動揺、怒りなどの症状が現れる。新たな研究で、ICU入室患者に家族からの録音メッセージを聞かせることで、患者の意識を安定させ、せん妄を予防できる可能性のあることが明らかになった。米マイアミ大学看護健康学部のCindy Munro氏らによるこの研究結果は、「American Journal of Critical Care」に11月1日掲載された。

認知症リスクを低下させるコーヒー、紅茶の摂取量は1日何杯?

 コーヒーと紅茶の摂取量と認知症の長期リスクとの関連性は、これまで十分に解明されていなかった。さらに、これらの関連性における循環炎症バイオマーカーの潜在的な媒介的役割についても、ほとんど研究されていない。中国・浙江大学のMinqing Yan氏らは、コーヒーと紅茶の摂取量と循環炎症バイオマーカーおよび認知症の長期リスクとの関連を明らかにするため、2つの縦断的研究を評価した。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2025年10月27日号の報告。  対象は、Health and Retirement Study(HRS、2013~20年、6,001例)およびFramingham Heart Study Offspringコホート(FOS、1998~2018年、2,650例)に参加したベースライン時点で認知症でない人。コーヒーと紅茶の摂取量は、両コホートにおいて半定量的な食物摂取頻度調査票を用いて評価した。認知症の診断は、検証済みのアルゴリズムと臨床審査パネルを用いて確定した。コーヒーと紅茶の摂取量と認知症との関連性を評価するために、Cox比例ハザードモデルを用いた。循環炎症バイオマーカーがこれらの関連性を媒介しているかどうかを検討するため、媒介分析を実施した。

歯周病は脳にダメージを与え脳卒中のリスクを高める

 歯周病が脳の血管にダメージを与えたり、脳卒中のリスクを高めたりする可能性のあることが、2件の研究で明らかになった。歯周病と虫歯の両方がある場合には、脳卒中のリスクが86%上昇することや、習慣的なケアによってそのリスクを大きく抑制できる可能性があることも報告された。いずれも、米サウスカロライナ大学のSouvik Sen氏らの研究の結果であり、詳細は「Neurology Open Access」に10月22日掲載された。  一つ目の研究は、歯周病のある人とない人の脳画像を比較するというもの。解析対象は、一般住民のアテローム性動脈硬化リスク因子に関する大規模疫学研究「ARIC研究」のサブスタディーとして実施された、口腔状態の詳細な検査も行う「Dental ARIC」の参加者のうち、脳画像データのある1,143人(平均年齢77歳、男性45%)。このうち800人が歯周病ありと判定された。結果に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、人種、喫煙、高血圧、糖尿病など)を調整後、歯周病のある人は脳の白質高信号域(認知機能低下リスクの高さと関連のある部分)の体積が有意に大きく(P=0.012)、その体積と歯周病の重症度との有意な関連も認められた(ρ=0.076、P=0.011)。

特発性頭蓋内圧亢進症で視力を失いやすい人とは?

 頭蓋骨内で脳を保護する髄液に原因不明の圧力上昇が生じた状態を指す「特発性頭蓋内圧亢進症(idiopathic intracranial hypertension;IIH)」によって、視力障害が起こる可能性が高い患者を予測する方法を見出したと、南デンマーク大学神経内科学臨床教授のDagmar Beier氏らが報告した。眼内の視神経が網膜につながっている部分(視神経乳頭)の変化に基づき、将来的に視野に暗点(見えない部分)が現れる人や視覚の鮮明さが低下する人を予測できる可能性が示されたという。この研究の詳細は、「Neurology」に10月29日掲載された。

実臨床における片頭痛予防薬フレマネズマブの有用性評価

 片頭痛は、社会的、経済的、機能的な負担を伴う疾患である。とくに慢性片頭痛(CM)または高頻度発作性片頭痛(HFEM)の患者において、その負担は顕著となる。イタリア・ローマ大学のFabrizio Vernieri氏らは、PEARL試験に登録されたイタリア人CMおよびHFEM患者を対象とした第2回中間サブ解析の結果として、イタリアの臨床現場における抗CGRPモノクローナル抗体フレマネズマブの使用に関する、最長12ヵ月間の治療期間における最新の実臨床データを報告した。Neurological Sciences誌オンライン版2025年10月17日号の報告。