うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/06/22 抗うつ薬ミルタザピンはアドレナリンα2自己受容体とα2ヘテロ受容体に対し阻害作用を示し、ノルアドレナリン(NA)とセロトニン(5-HT)のモノアミントランスポーターを阻害することなく、NAおよび5-HTの神経伝達を増強する薬剤である。明治製菓薬品総合研究所の山内氏らはミルタザピンとSNRIの併用によるモノアミンの細胞外レベルへの影響を調査した。Neuropharmacology誌2012年6月号掲載。 ミルタザピンとSNRIであるミルナシプラン併用による薬理学的相乗作用が、ラットの脳においてモノアミンの細胞外レベルにどのような影響を与えるかを、マイクロダイアリシス法を用いて検討した。主な結果は以下のとおり。 ・ミルタザピンは背側海馬のNAと5-HTの細胞外レベルを上昇させた。・対照的に、前頭前野皮質では5-HTレベルを変動することなく、NAとドパミン(DA)のレベルを上昇させた。・ミルナシプランは両領域で重要なすべてのモノアミンレベルを上昇させ、その作用はミルタザピンとの併用により増強した。・α2受容体アンタゴニストであるイダゾキサンとミルナシプランの併用も前頭前野皮質でのすべてのモノアミンレベルを上昇させた。・5-HT2A受容体アンタゴニストであるケタンセリンとミルナシプランとの併用は効果を示さなかった。一方、5-HT2C受容体アンタゴニストであるSB242084とミルナシプランとの併用は前頭前野皮質の5-HTとDAレベルを上昇させた。・ミルタザピンによるα2受容体を介したNA、5-HT、DAの細胞外レベルでの増強作用は、ミルタザピン単独では領域に特異性を示し、ミルナシプラン併用時には領域特異性を示さなかった。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替 ・統合失調症の病態にメラトニンが関与?! ・「双極性障害に対する薬物療法レビュー」世界精神医学会(WPA)での報告 原著論文はこちら Yamauchi M, et al. Neuropharmacology. 2012; 62: 2278-2287. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] COPDの3剤配合薬、定量噴霧吸入器vs.ドライパウダー吸入器/BMJ(2025/01/22) 日本における片頭痛診療の現状、今求められることとは(2025/01/22) 乳がん診断後の手術遅延、サブタイプ別の死亡リスクへの影響(2025/01/22) 自己主導型のCBTはアトピー性皮膚炎の症状軽減に有効(2025/01/22) コーヒーやお茶の摂取は頭頸部がんのリスクを下げる?(2025/01/22) 高齢患者の抗菌薬使用は認知機能に影響するか(2025/01/22) 出産後の抜け毛の量が育児中の不安に独立して関連(2025/01/22)