2010年2月25日、都内で「ディスカバリーCOPD研究会」設立プレスセミナーが行われた。その中で、同研究会理事の平田一人氏(大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器病態制御内科学教授)は「日本におけるCOPD治療の現状とディスカバリーCOPD研究会の果たす役割」について講演を行った。
「タバコ病」「肺の生活習慣病」とも呼ばれるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)では、咳や痰が続いたり、階段を上るなどの労作時に息切れしたりするなどの自覚症状がみられる。平田氏は、「これらはごくありふれた症状であるため、見過ごされることも少なくない」と述べ、「COPDを放置すると、呼吸機能低下で日常的に呼吸困難が起きたり、場合によっては寝たきりになる可能性もある」ことを示唆した。さらに、「COPDはわが国の死亡原因の第10位(男性は第7位)に位置しているにもかかわらず、いまだ12%程度の患者しか診断されていない」状況についても言及した。
こうした現状を受け、わが国におけるCOPD診断率向上を目的とした「ディスカバリーCOPD研究会」が設立された。同研究会では、2015年までにCOPDの診断率を25%まで引き上げることを目標とし、COPD啓発活動として、2010年1月より全国の医療関係者を対象とした「ディスカバリーCOPDセミナー」を年間で約400回開催することが決まっている。
研究会の代表幹事には相澤久道氏(久留米大学医学部内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科部門教授)が就任した。理事には、平田氏の他に、一ノ瀬正和氏(和歌山県立医科大学内科学第三講座教授)、西村正治氏(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野教授)が名を連ねる。その他、約30名のCOPD専門医がサポートしている。
講演会に続き、落語家・桂歌丸氏の「COPD啓発大使」就任式が行われたが、式には肺炎のため欠席となった歌丸氏の代理として、弟子の桂歌助氏が出席した。
(ケアネット 呉 晨/吉田 直子)