臨床検査受託大手のビー・エム・エル(東京都渋谷区)は、医師が臨床検査結果をインターネット経由で閲覧できるサービス「WEB照会サービス」を開始した。インターネットを介することで半日から1日の時間短縮が見込める。
ビー・エム・エル(BML)社では従来、血液検査の場合、医療機関から検体を受け取った当日に検査を開始し、翌日までに検査結果が判明する。その検査結果が全国の営業所に伝送された後、現地にて出力し、検査結果が届くのが翌日午後であった。本サービスを利用すると、医師がインターネットを通じてアクセスすれば、検査結果が総合研究所内の専用サーバーに保存された時点で、検査結果を知ることができる。従来に比べて後工程が短縮されるため、医師は検査結果を得るまでの時間が半日から1日短縮できる。
特に細菌、病理検査は紙を使った結果報告であったため、総合研究所において得られた結果が全国の営業所に郵送された後、医療機関に届けられていた。本サービスでは、診断確定後、データサーバーに検査結果が格納されるため、画像やグラフ、数値などの検査結果を電子的に入手できるようになり、入手までの時間が1~2日ほど早くなる。診断結果によって治療内容が大きく異なる感染症、がんなどにおいてはより一層注目される。さらに、分離菌集計状況の集計、使用薬剤の耐性傾向の分析などの統計処理機能を備えており、院内感染対策にも活用できる。
この「WEB照会サービス」は、利用申込み後、電子証明書が発行され、利用するパソコンにインストールすることで本人確認が行われる。ID、パスワードは利用者ごとに発行され、データは暗号化されて取り扱われる。導入コスト、人的負荷、専門知識を必要としないため、導入や操作が簡単なことも医師にとってはありがたい。
5月にサービスを開始して依頼、診療所中心に毎日数十件を超える申し込みがあるという。BML社は幅広いユーザー層の利用を想定している。
電子カルテや他のWEBサービスとのデータ連関が実現すれば、サービスの充実化、拡大につながると考えられる。
(ケアネット 藤原 健次)