「聞いたことがない」70%以上 双極性障害に対する認知・理解いまだ不十分 〈市民インターネット調査結果〉 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2010/09/24 9月17日、日本イーライリリー株式会社は、双極性障害の一般市民における認知調査の結果を発表した。調査は10歳代から70歳代の一般市民に行われ、有効回答1294のうち1270サンプルを解析している。セミナーの中で、長崎大学名誉教授であり出島診療所所長の中根允文氏は下記のように解説した。まず、双極性障害について知っているかという質問に対し、対象者の72.9%が「聞いたことがない」と回答した。それに対し、うつ病は87.8%が「病気あるいは治療法まで知っている」と回答しており認知度の差が大きいことがわかる。疾患の特徴については、双極性障害を「自殺の可能性が高い」「再発しやすい」と回答したのは、それぞれ19.7%、8.1%に留まり、疾患に対する正しい情報が浸透していない事がわかる。さらに、「双極性障害の患者さんが隣に引っ越しても良い」「結婚して家族の一員なっても良い」については、それぞれ59%、54.7%が否定的な回答を示しており、市民が患者に対して社会的距離を置く傾向にあることがわかった。疾患に対する誤解と社会的距離の拡大を引き起こす大きな要因は、情報の不足と考えられる。さらに中途半端な情報は、誤解と社会的距離の更なる拡大を示す。市民に対し、早急に適切かつ十分な啓発が必要であると考えられる。また、精神科医に対しても双極性障害治療の難易度に対応できるトレーニングが必要である。そして、日本双極性障害団体連合会(NPO法人として16日認可)代表であり、自らも双極性障害患者でもある佐藤諦吉氏は、患者同士のPeerコンサルティングの有用性を述べるとともに、精神科医に対する双極性障害診療の啓発を要望した。双極性障害の生涯有病率は、0.6%であり稀有な疾患とはいえない。一方、この疾患の再発率は90%以上といわれ、生涯にわたる薬物療法等の治療が必要である。さらに、25~50%の患者が自殺を試みたとの報告もあり、そのリスクはうつ病を超えるといわれる。しかし、現在、日本で使用できる薬剤は、躁病治療薬である炭酸リチウム(リーマス)、気分安定薬のバルプロ酸ナトリウム(デパケンほか)とカルバマゼピン(テグレトール)だけであり、その選択肢は狭い。有望な新薬の登場が今後待ち望まれている。詳細はプレスリリースへhttps://www.lilly.co.jp/pressrelease/2010/news_2010_23.aspx(ケアネット 細田 雅之) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、最終OS結果(KEYNOTE-522)/NEJM(2024/09/27) 複雑病変へのPCI、OCTガイドvs.血管造影ガイド/Lancet(2024/09/27) 重症インフルエンザに対する抗ウイルス薬の有効性(解説:小金丸博氏)(2024/09/27) 転移を有するホルモン感受性前立腺がん、ダロルタミド+ADTがrPFS改善(ARANOTE)/ESMO2024(2024/09/27) 日本人治療抵抗性うつ病に対するケタミン治療の有用性~二重盲検ランダム化比較試験(2024/09/27) サシツズマブ ゴビテカン、トリプルネガティブ乳がんに承認/ギリアド(2024/09/27) アミバンタマブ、化学療法との併用でEGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに承認/ヤンセン(2024/09/27) 患者満足度向上対策をクリニックの6割が実施/医師1,000人アンケート(2024/09/27) 肛門扁平上皮がん1次治療、新規抗PD-1抗体上乗せが有用(POD1UM-30)/ESMO2024(2024/09/27)