2012年3月16日(金)~18日(日)の3日間、第76回日本循環器学会学術集会(JCS)が開催される。開催に先立ち2月29日(水)に都内でプレスカンファレンスが行われ、会長の鄭 忠和氏(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学 教授)が今回の学術集会のみどころを語った。
【大筋でつかむ、本学会のみどころ】
新幹線が全線開通し、全県に空港も整備される九州はアジアの交流拠点として急速に活性化している。
今回の学会は、そんなアジアの窓口、福岡で開催される。『愛と情熱: アジアから世界へ』をメインテーマに掲げるだけに各国との交流が期待される。
【4つの会長特別企画】
会長特別企画は以下の4つを予定。
1.第16回アジア太平洋ドップラー・心エコー図学会との同時開催
2.久山町研究50周年記念シンポジウム
3.東南アジア諸国12カ国の若手医師による症例発表「Asian Joint Case-Conference」
4.日野原重明氏の100歳記念講演:『後輩へのメッセージ‐私が生涯を通して学んだこと‐』
中でも久山町研究50周年記念シンポジウムでは、半世紀にわたる偉大な研究成果を確認できると期待される。また若手医師による症例発表ではアジア各国の医師の間で活発な交流が実現するだろう。
【今年の真下記念講演・美甘レクチャーは?】
17日午前には2010年のノーベル化学賞受賞者、鈴木章氏による真下記念講演も予定。研究者である鈴木氏の話に注目が集まりそうだ。
鈴木氏の講演の後に予定される、心エコー図学の世界的権威であるPravin M. Shah氏(Hoag Heart Valve Center,米国) による美甘レクチャーも必見である。
【「特別講演」では海外の一流医師が発表 】
海外の一流医師が行う特別講演にも注目だ。
ハーバード大学(米国)のEugene Braunwald博士の衛星中継(16日午前)や、ブルガダ症候群で知られるバルセロナ大学(スペイン)Josep Brugada教授の特別講演(17日午後)など、海外の一流医師の講演を聴く機会が設けられる。
【東日本大震災を受けた発表も予定】
また、東日本大震災の経験を踏まえ、震災と循環器疾患の関係についての発表も予定されている。Late Breaking Clinical Trials 3 (18日午前)では、東北大学 下川氏による「The East Japan Earthquake Disaster and Cardiovascular Diseases」 が予定されるほか、18日午後のセッションでも「震災時の心血管イベントへの対応」が取り上げられる予定である。
【新研修医制度の抱える問題点をクローズアップ】
そのほか変わり種だが、17日の午後に予定されるMeet the Expert6 「新研修医制度による地方医療の崩壊」では、厚生労働省 医政局医事課医師臨床研修推進室の植木氏が講演する。厚生労働省職員である植木氏の講演は、質疑応答も含め注目したい。
このように今回も、魅力的な演題が多数予定されている。
メインテーマの『愛と情熱』にふさわしい、熱く刺激的な学術集会が期待できそうである。
【JCS参加者は、こちらの情報もチェック】
今回の学会から「電子抄録アプリ」が採用されている。会場には無線LANコーナーがあり、スマートフォンやタブレット端末を用いれば、会場内でも気になるセッションや演題の検索ができる。登録セッションの10分前にアラームメールが送信されるので、聴き逃す心配はなくなりそうだ。
なお、抄録集は今年から冊子ではなくCD-ROMでの販売になる。その場で内容を確認したい方にはCD-ROM再生用のデバイスを持参することをお勧めする。
【鹿児島グルメと会場間の移動手段について】
3月16日(金)~18日(日)の3日間、マリンメッセ福岡では、主催校がある鹿児島の味を提供する「鹿児島グルメ横丁」が開催される。本場の鹿児島食文化をリーズナブルに体験する機会となるだろう。
「鹿児島グルメ横丁」のあるマリンメッセ福岡と福岡国際会議場とは少々距離があるが、開催期間中は参加者専用移動サービスとして無料ベロタクシーが用意される。ベロタクシーとは環境に優しい自転車タクシーのこと。運用台数に限りはあるがシャトルバス以外の移動手段として利用可能だ。
【参加登録は前日がお勧め】
初日の参加登録は混雑が予定されるが、会期前日の3月15日(木)14:00~21:00であれば、博多駅10FのJR博多シティ会議室でも参加受付が可能 (ただし、日本循環器学会会員、非会員医師および医療関係者のみの受付)。前日の夜に早めの受付を済ませておくことで、初日から時間を有効に使えるのではないだろうか。
第76回日本循環器学会学術集会(JCS)を開催初日から満喫し、会場で有意義な時間を過ごすための手段としてご提案したい。
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