コーヒーの摂取量はアディポネクチンと正の相関、レプチンと負の相関を示すことが、名古屋大学大学院 山下健太郎氏らの研究で明らかになった。また、アディポサイトカインは、コーヒー摂取量と脂質および高感度C反応性タンパク(hs-CRP)との関連に影響をもたらすが、コーヒー摂取量と肝機能マーカーとの関連には影響しないことが報告された。Nutrition & diabetes誌2012年4月2日付の報告。
コーヒー摂取量とアディポサイトカインとの関連についての情報は少なく、心血管疾患と糖代謝に対するコーヒーの有益な作用の根底にあるメカニズムはよく理解されていない。
本研究では、コーヒーの摂取量とアディポサイトカインであるアディポネクチンおよびレプチン、炎症マーカー、糖代謝、脂質および肝機能マーカーとの関連について検討された。また、アディポネクチン、レプチンが、コーヒー摂取量とこれらの指標との関連に与える影響について検討した。
日本人労働者(男性:2,554人、女性:763人)を対象とした横断研究。
コーヒー摂取量とアディポサイトカインやその他のマーカーとの潜在的な関連は、交絡因子を調整した多重線形回帰モデルを用いて評価した。また、アディポネクチンとレプチンのそれぞれがコーヒー摂取量と各マーカーとの関連に与える影響については、複数媒介分析を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・コーヒーの摂取量は、アディポネクチン、総コレステロール、LDLコレステロールと有意な正の相関を認めた。また、レプチン、hs-CRP、トリグリセライド、肝酵素とは有意な負の相関を認めた(すべてp <0.05)。
・アディポネクチンおよびレプチンで調整後、コーヒー摂取量とhs-CRPあるいはトリグリセリドとの関連は有意に弱まったが、肝機能マーカーには影響がなかった。
・コーヒー摂取量と糖代謝マーカーとの関連は認めなかった。
(ケアネット 武田 真貴子)