SSRIの短期治療、うつ症状改善に先立ち正常化する扁桃体機能 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/12/18 SSRIなどの抗うつ薬は、うつ病患者の行動や神経の評価指標である感情プロセスを改善させる。しかし、それが臨床変化の前に起こるのか、結果として起こるのか明らかではなかった。英国・Warneford病院のGodlewska BR氏らは、うつ病患者へのSSRIの短期治療の影響を調査し、抑うつ症状の改善に先立ち扁桃体機能活性が正常化されることを明らかにした。Psychological Medicine誌2012年12月号の掲載報告。 本研究は、うつ病患者へのSSRIの短期治療について、感情面の臨床的改善以前における恐怖の表情に対する神経性反応への影響について調査した、プラセボ対照無作為化並行群間試験である。42例の未治療うつ病患者に、SSRI(エスシタロプラム10mg/日)かプラセボを投与した。恐怖の表情と幸福な表情に対する神経性反応は、治療開始7日目にMRIを用いて脳内を測定し評価した。同様の方法で、健常者(対照群)の画像診断も行った。 主な結果は以下のとおり。 ・恐怖の表情に対する扁桃体反応は、対照群よりもうつ病患者群で有意に強かった。 ・一方で、この反応はSSRIによる治療を7日間受けた患者では正常化していた。 ・7日時点の臨床的なうつ病評価について、SSRI治療群とプラセボ群に有意な差はみられなかった。 ・以上から、SSRIの短期治療は、うつ病患者の抑うつ感情を改善するのに先立って、ネガティブな感情刺激に反応する扁桃体機能活性を正常化することが示唆された。 ・この結果は、抗うつ薬の臨床効果は早期の感情プロセスの変化を通じてもたらされるとの仮説を支持する。さらなる研究で、これら早期の効果が、最終臨床転帰を予想しうるかを検証する必要がある。 関連医療ニュース ・うつ病に対するミルタザピンvs他の抗うつ薬 ・検証!デュロキセチンvs.他の抗うつ薬:システマティックレビュー ・双極性障害では短期間の強いうつ症状が高頻度に出現 (ケアネット) 原著論文はこちら Godlewska BR et al. Psychol Med. 2012 Dec;42(12): 2609-17. Epub 2012 Apr 25. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] lepodisiran、400mg投与で半年後のLp(a)値を93.9%低下/NEJM(2025/04/17) TAVI生体弁比較、SAPIEN 3 vs.Myval/Lancet(2025/04/17) 抗血小板薬併用療法のde-escalationの意味わかる?(解説:後藤信哉氏)(2025/04/17) 慢性期心不全患者への水分制限は不要!?(FRESH-UP)/ACC(2025/04/17) セフトリアキソンで腎盂腎炎を伴う腸内細菌目細菌菌血症を治療できるか(2025/04/17) 日本の男性乳がんの生存率、女性乳がんと比較~12府県のがん登録データ(2025/04/17) 若年性認知症患者、過去30年間で2倍超(2025/04/17) 医師からのメッセージ、AIが作成しても患者の満足度は高い(2025/04/17) 喘息の検査には時間帯や季節が影響する(2025/04/17)