日本人女性におけるマンモグラフィー検診は生存率向上に効果があるのか?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/12/20

 

 マンモグラフィー検診の有効性については、主に欧米諸国の研究によって実証されている。東北大学の河合賢朗氏らは、検診でスクリーニングされた中間期乳がんの40~69歳の日本人女性における累積生存率と乳がんによる死亡リスクについて、乳房視触診とともにマンモグラフィー検診を実施した群、乳房視触診単独群、自己検診群の3群に分け評価した。その結果、40~69歳の日本人女性においては、生存率と乳がんによる死亡リスクの観点からは、乳房視触診とマンモグラフィー検診を実施するほうがマンモグラフィー単独や自己検診より効果的である可能性が報告された。Breast Cancer誌オンライン版2012年12月14日号に掲載。

 本研究では、1995年4月1日~2002年12月31日に宮城県対がん協会検診プログラムに参加した12万6,537人の女性(検診者数35万8,242人)のリストと宮城県地域がん登録を照合し、乳房視触診とマンモグラフィー検診群429人、乳房視触診単独群522人、自己検診群3,047人を評価した。

 フォローアップ期間は、死亡または2007年12月31日までとし、生存率はKaplan-Meier法により推定した。乳がんによる死亡のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)の推定にはCox比例ハザードモデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・乳房視触診とマンモグラフィー検診群、乳房視触診単独群、自己検診群の5年生存率はそれぞれ96.8%、92.7%、86.6%であった。
・乳がんによる死亡のHR(95%CI)は、乳房視触診とマンモグラフィー検診群で乳がんが検出された女性と比較して、40~49歳では、乳房視触診のみで検出された女性が2.38(0.72~7.94)、自己検診で検出された女性が4.44(1.42~13.89)であった。50~69歳では、乳房視触診のみで検出された女性が3.00(1.63~5.50)、自己検診で検出された女性が4.51(2.69~7.56)であった。

(ケアネット 金沢 浩子)