有棘細胞がん、ケラトアカントーマをダーモスコピーで見分けるコツ

提供元:ケアネット

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公開日:2013/01/07

 

 有棘細胞がん(SCC)とケラトアカントーマを、ダーモスコピーによって他の非着色皮膚病変と見分けるには、ホワイトサークル、ケラチン、出血斑が手掛かりとなることを、Cliff Rosendahl氏らがオーストラリアのプライマリ・ケア設定での試験の結果、報告した。Archives of Dermatology誌2012年12月号(オンライン版2012年9月21日号)の掲載報告。

 研究グループは、有棘細胞がん、ケラトアカントーマを、他の病変と比較し、ダーモスコピーによる診断基準の特徴を明らかにすることを目的とした。オーストラリア・ブリスベンのプライマリ・ケアにおける皮膚がん診療において、2011年3月1日~12月31日の間、連続病変の診断試験を観察者非盲検にて行った。主要評価項目は、感度、特異度、適中率、オッズ比とした。

 主な結果は以下のとおり。

・患者186例、206病変を対象とした。
・浸潤性SCC60例とケラトアカントーマ43例のレトロスペクティブな解析の結果、両病変タイプでは、ケラチン、皮膚表面スケール、出血斑、白色領域、ホワイトサークル、コイル状の血管(coiled vessels)が、共通して認められた。
・これらの診断的特徴の有意性について、206例の非着色隆起病変(SCC 32例、ケラトアカントーマ29例、その他145例)で再評価した。
・中心部ケラチンは、SCCよりもケラトアカントーマのほうが、より共通してみられた(51.2%vs. 30.0%、p=0.03)。
・ケラトアカントーマとSCCについて、最も感度が高かったのはケラチンであった(79%)。また特異度が最も高かったのはホワイトサークルであった(87%)。
・ケラトアカントーマとSCCを基底細胞がんと対比させた場合、ケラチンによる陽性適中率は92%、ホワイトサークルでは89%であった。
・日光角化症とボーエン病と対比させた場合、陽性適中率は、ケラチンは50%、ホワイトサークルは92%であった。
・多変量モデルにおいて、ホワイトサークル、ケラチン、出血斑は、SCCとケラトアカントーマの独立予測因子であった。
・SCCとケラトアカントーマであることを支持する最も高いオッズ比を示したのは、ホワイトサークルであった。観察者間のホワイトサークルについての合意は良好であった(0.55:95%CI:0.44~0.65)。
・本試験で得られた診断の有意性は、臨床に依拠したものである。

(ケアネット)