プライマリ・ケアにおける脊椎MRI検査、その意義に疑問符

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/02/13

 

 プライマリ・ケアで脊椎MRI検査の利用が増加しているが、MRI所見とその後の診療との関連についてはほとんど知られていない。カナダ・マックマスター大学/Institute for Clinical Evaluative SciencesのJohn J. You氏らは、プライマリ・ケアで脊椎MRI検査を受けた患者のうち半数近くが手術評価のため整形外科または神経外科に紹介されるが、その大半は手術を受けていないことを、後ろ向き研究により明らかにした。「プライマリ・ケアにおけるMRI検査はその後の手術の要否を判別できておらず、脊椎の愁訴を有する患者を評価する代替法を検討すべきであることが示唆される」とまとめている。Spine誌2013年1月1日号の掲載報告。

 本研究の目的は、プライマリ・ケア医の指示による腰仙椎または頸椎MRI検査後の診療について調査することである。

 カナダ・オンタリオ州において脊椎MRI検査を受けた外来患者の医療記録と保険データベースを分析した。

 主な結果は以下のとおり。

・プライマリ・ケア医の指示で腰仙椎のMRI検査を受けた647例のうち、整形外科医もしくは神経外科医の診察を受けた患者は288例(44.5%)で、その後3年以内に手術を受けた患者は42例(6.5%)であった。
・同様に頸椎のMRI検査を受けた373例のうち、164例(44.0%)は整形外科医もしくは神経外科医の診察を受けたが、3年以内に手術を受けた患者はいなかった。
・腰仙椎のMRI検査で重度の椎間板ヘルニアまたは脊柱管狭窄症を認めた患者は、その後手術を受ける可能性が高かった[それぞれ尤度比は5.62(95%CI:2.64~12.00)および2.34(同:1.13~4.85)]。
・MRI検査で異常所見が認められた患者の多くは、手術を受けていなかった。一方で、MRI検査で異常所見がなければ、その後の手術の可能性が有意に低いということも示されなかった。

【おすすめコンテンツ】

~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!
「不適切なオピオイド処方例(肩腱板断裂手術後難治性疼痛)」ケースレポート
「不適切なオピオイド処方例(肩腱板断裂手術後難治性疼痛)」ケース解説

(ケアネット)