術中脊髄モニタリングは術後の永続的神経障害の発生を有意に低下させる

提供元:ケアネット

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公開日:2013/02/15

 

 脊椎脊髄手術後の永続的神経障害の回避に術中モニタリング(IOM)が有効であることが、米国・Barnes-Jewish病院のBarry L. Raynor氏らによる、25年間にわたる計1万2,375例の後ろ向き研究で確認された。IOMを行いデータの著しい変化/消失が発生した時に対処することで、永続的神経障害の発生率は最悪のシナリオである3.1%(IOMデータの著しい変化/消失の発生率)から0.12%に有意に低下した(p<0.0001)という。Spine誌2013年1月15日号の掲載報告。

 本研究の目的は、IOMデータの著しい変化または消失に関与する術中事象について調査することであった。

 多元的IOMには、体性感覚誘発電位(SEP)、下行性神経誘発電位(DNEP)、神経原性運動誘発電位(n-MEP)、自発筋電図および誘発筋電図が含まれた。

 1985年1月~2010年12月に脊椎脊髄手術を受けた計1万2,375例について後ろ向きに調査した(女性59.3%/男性40.7%、頸部29.7%、胸部・胸腰部45.4%、腰仙部24.9%、18歳以上72.7%/18歳未満27.3%、初回手術77.8%/再手術22.2%)。

 主な結果は以下のとおり。

・1万2,375例中、386例(3.1%)、406件のIOMデータ変化/消失が発生した。
・データ悪化/消失の原因は、インストゥルメンテーション(131件)、ポジショニング(85件)、補正(56件)、全身性因子(49件)、不明(24件)、限局性脊髄圧迫(15件)などであった。
・データ変化/消失は、初回手術(2.3%、219 / 9,633例)より再手術(6.1%、167 / 2,742例)で高頻度にみられた(p<0.0001)。
・対処により88.7%(360 / 406件)はデータが改善したのに対して、11.3%(46 / 406件)は改善しなかった。
・術後に永続的神経障害を呈した患者は15例(0.12%)で、このうち1例は対処によりデータが改善した患者であったのに対し、14例は改善しなかった患者であった(p<0.0001)。

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(ケアネット)