注射時間を問わず一定の有効性と安全性―持効型インスリン デグルデク

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/26

 

 従来の基礎インスリンは注射時間の制限があったが、1日1回投与のインスリン デグルデク(IDeg、商品名:トレシーバ)は、1日のうちどのタイミングで注射しても有効性と安全性を損なうことなく、良好な血糖コントロールが可能であることがベルギー・ルーベン大学Chantal Mathieu氏らの報告で明らかになった。患者さん一人ひとりの多様なニーズに合わせて注射時間を調整できるため、基礎インスリンのアドヒアランス向上につながると考えられる。The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌2013年3月号(オンライン版2013年2月7日号)の報告。

 本研究は、大規模臨床プログラム「BEGINTM」の1型糖尿病患者を対象に行われた26週間のオープンラベル、treat to target、非劣性試験である(BEGIN:Flex T1)。
最小8時間、最大40時間の間隔で故意にIDegの注射時間を変えた群(IDeg Forced-Flex群)について、定時にIDegを注射した群(定時IDeg群)および定時にインスリン グラルギン(IGlar、商品名:ランタス)を注射した群(定時IGlar群)と比較することで、非劣性を検討した。
さらに、その後に26週間の延長試験を行い、IDeg投与を行っている全症例において、投与時間を自由に決められるレジメン(IDeg Free-Flex)に変更し、定時IGlar群と比較した。

 主な結果は以下のとおり。

<26週後>
・26週目のHbA1c値はIDeg Forced-Flex群で0.40%、定時IDeg群で0.41%、定時IGlar群0.58%低下し、IDeg Forced-Flex群の非劣性が認められた。
・26週目の空腹時血糖値は、IDeg Forced-Flex群で1.28 mmol/L、定時IDeg群で2.54 mmol/L低下し、定時IDeg群のほうが有意に低下した(p=0.021)。定時IGlar群はIDeg Forced-Flex群と同程度低下した。

<26週の延長試験後>
・52週目のHbA1c値は、IDeg Free-Flex群と定時IGlar群で同程度であった。
・IDeg Free-Flex群の52週目の空腹時血糖値は定時IGlar群よりも有意に低下した(p=0.005)。

<安全性>
・低血糖発現率(<3.1 mmol/Lまたは重度の低血糖)は26週と52週で同程度であった。
・IDeg Forced-Flex群の26週目までの夜間低血糖発現頻度は、定時IDeg群より37%(p=0.003)、定時IGlar群より40%少なかった(p=0.001)。
・IDeg Free-Flex群の52週目までの夜間低血糖発現頻度は、定時IGlar群より25%少なかった(p=0.026)。

※BEGINTMプログラム
ノボ ノルディスク社が実施した第3相臨床試験プログラム。日本、米国、欧州の規制当局へ相談し計画された。1型および2型糖尿病患者約1万人を対象に行われ、インスリン療法の領域で実施された試験の中では最大の試験となる。

(ケアネット 武田 真貴子)