ニコルスキー現象と広範囲にわたる浸潤を認めたら

提供元:ケアネット

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公開日:2013/07/25

 

 フランス・アンリモンドール病院群パリ公立支援病院(APHP)のJ. Chanal氏らは、線状IgA水疱性皮膚症(LABD)について、薬剤誘発性と自然発症的なものとの比較を行った。その結果、薬剤誘発性LABDのほうがより重篤であり、病変部は中毒性表皮壊死症に似ていることなどを明らかにした。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年7月1日号の掲載報告。

 LABDは、IgAの線状沈着で特徴づけられる自己免疫性表皮水疱症であり、まれな疾患である。直接蛍光抗体法(DIF)検査により、表皮真皮境界部に沿ってIgA線状沈着を認めることで診断は確定される。

 LABDは通常、自発性か薬剤誘発性に分類されるが、研究グループは、両者の臨床的および組織学的特性について比較検討した。

 1995年1月1日~2010年12月31日に単施設でLABDと診断された28例について、後ろ向きコホート研究を行った。薬剤誘発性か自発性かの評価を行い、臨床的および組織学的特性について盲検解析法にて比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・28例のうち、自発性は16例、薬剤誘発性は12例であった。
・自発性よりも薬剤誘発性LABDのほうが、ニコルスキー現象と広範囲にわたる浸潤の頻度が有意に高かった(それぞれp=0.003、p=0.03)。
・紅斑プラーク、標的(様)病変、小水疱の配列(string of pearls)、部位、粘膜関連や組織学的特色については、両群間で格差はなかった。
・以上から、薬剤誘発性LABDのほうが自然発症例よりも重篤であり、病変部は中毒性表皮壊死症に類似していた。著者は、「LABDは多様で時には生命に関わる可能性もある。したがって、ニコルスキー現象と広範な浸潤を認める全患者に対して、DIF検査を行うことが推奨される」とまとめている。

(ケアネット)