腰椎手術では減圧術より固定術で心イベントの発現率が高い

提供元:ケアネット

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公開日:2013/08/02

 

 脊椎手術における周術期死亡の主たる原因は、心イベントである。米国・ラッシュ大学メディカルセンターのSteven J. Fineberg氏らは、大規模データベースを用いたレトロスペクティブ研究により、腰椎手術後の心合併症の発現頻度を調べた。その結果、心イベントの頻度は1,000例当たり6.7件であり、減圧術より固定術施行例において高く、リスク因子は「高齢」であることを明らかにした。これらの結果を踏まえて著者は、「心イベントは入院期間、医療費および死亡率の増加と関連していることから、リスク因子を有する患者では周術期の厳密なモニタリングと治療の最適化が重要である」とまとめている。Spine誌2013年7月15日号の掲載報告。

 研究グループは、腰椎手術における心イベントの発現頻度、死亡率および危険因子について調査するため、米国の入院患者データベース(Nationwide Inpatient Sample)を用いて、2002~2009年の間に、退行性疾患のため腰椎減圧術または腰椎固定術が施行された患者57万8,457例を同定し、患者背景、心合併症、併存疾患および死亡を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・心合併症の発現頻度は、6.7件/1,000例であった。
・心イベントの発現頻度は、腰椎固定術群9.3件/1,000例、減圧術群4.0件/1,000例で、前者が有意に高頻度であった(p<0.0005)。
・心イベント発症例は、非発症例より、9.4歳有意に高齢であった(p<0.0005)。
・心合併症発症例では心イベント発症により、入院期間、医療費および死亡率が有意に増加した(p<0.0005)。
・心イベントの独立した予測因子は、年齢が65歳以上、急性失血性貧血や、いくつかの合併症などであった。

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(ケアネット)