確実な紫外線対策は物的バリアで

提供元:ケアネット

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公開日:2013/08/27

 

 日焼けによる損傷は、悪性黒色腫と関連した最も重要な環境要因だが、スペイン・バルセロナ大学のCristina Carrera氏らは、母斑への紫外線誘発の影響を防御することを目的とした日焼け止め外用の効果について、物的バリアとの比較で検証した。その結果、日焼け止めには物的バリアほど炎症性の紫外線の影響を防御する効果がないことを報告した。JAMA Dermatology誌2013年7月号の掲載報告。

 日焼け止め外用と物的バリアを比較した母斑保護についての検討は、病院に通院する患者20人、母斑23例について前向き研究の手法にて行われた。

 それぞれの母斑について、半分にSP50の日焼け止めを塗布し、半分は遮断バリアで覆い、紫外線B波(UVB)の単回照射を行った。

 主要評価項目は、紫外線照射前と照射7日後の生体検査の結果と、7日時点での組織病理-免疫病理学的検査の結果であった。

 主な結果は以下のとおり。

・紫外線照射後の臨床的変化が最も大きかったのは、色素沈着、スケーリング、紅斑であった。
・ダーモスコピーの所見で変化が最も大きかったのは、小球/斑点、非定型的色素ネットワーク、退縮、点状血管の増加であった。
・物的バリアと日焼け止め塗布で保護された部位はいずれも、これらの変化が数度認められた。
・母斑のうち、臨床的変化がみられなかったのは30%超(7例)であり、ダーモスコピー所見の変化がみられなかったのは18%(4例)であった。
・生体検査で何もみつからなかった場合も、各母斑の日焼け止め塗布部と物的バリア部分の組織病理-免疫病理学的検査の結果は明白に異なっていた。最も顕著であった特徴は、不全角化スケール、表在性メラノーマの数および活性の上昇、ケラチノサイト増殖であった。
・両バリア部位の唯一の違いは、日焼け止め塗布部位のほうが色素細胞活性と退縮の特徴がより認められたことであった。
・特異的UVB反応の予測について、遺伝的表現型の特徴についてはわからなかった。
・以上を踏まえて著者は、「物的バリアと日焼け止め外用はいずれも、部分的だが母斑へのUVB保護効果がある。UVの影響は必ずしも目に見える変化となっては現れず、保護していてもその後に変化が認められる可能性がある。日焼け止めは、UVB炎症への保護効果は、物的バリアと同程度ではなかった」とまとめている。

(ケアネット)