精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/09/06 初回エピソードの精神疾患患者において、右連合野線条体においてグルタミン酸値の上昇が示されている。しかし、この上昇が、効果的な抗精神病薬治療後に持続するかどうかについては不明であった。メキシコ・Instituto Nacional de Neurologiay NeurocirugiaのCamilo de la Fuente-Sandoval氏らは検討の結果、4週間の抗精神病薬治療により臨床的有効性が認められた初回エピソードの精神疾患患者ではグルタミン酸値が正常化していたことを報告し、「これらの結果は、臨床症状の改善にグルタミン酸値低下が関連している可能性があるとの仮説を支持するものである」と結論している。JAMA Psychiatry誌オンライン版2013年8月21日号の掲載報告。 研究グループは、治療前と治療4週後の同値の測定を行い、性でマッチさせた健常対照被験者のデータとの比較を行った。グルタミン酸値の測定は、陽子磁気共鳴分光学(MRS)を用いて右連合野線条体と右小脳皮質で行った。具体的な試験デザインは、初回エピソードで入院治療を受けた精神疾患患者(24例)と、年齢、性、利き手、喫煙状況でマッチさせた健常対照(18例)による、前後比較試験であった。本検討において被験者は、2回のMRS試験を受けた。MRS試験は、患者被験者はベースライン時と抗精神病薬治療4週後の2回、健常被験者はベースライン時と同撮影時から4週後の2回であった。4週間の抗精神病薬治療は、リスペリドンの経口投与を行い、臨床症状の診断に基づきオープンラベル下で行われた。主要評価項目はグルタミン酸値で、LCModel(バージョン6.2-1T)を用いて推定し、脳脊髄液中の割合で修正算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・初回エピソードの精神疾患患者は、抗精神病薬治療を必要としている状態において、連合野線条体および小脳のグルタミン酸値が、対照群と比べてより高値であった。 ・臨床的に有効な抗精神病薬治療後は、連合野線条体のグルタミン酸値は有意に減少した。一方、小脳におけるグルタミン酸値に変化はみられなかった。 ・両群間のグルタミン酸値の有意差は、4週時点では認められなかった。 ・以上のように、初回エピソードの精神疾患患者においてベースラインでみられたグルタミン酸値の上昇は、臨床的に有効な抗精神病薬治療4週後に正常化していた。 ・結果を踏まえて著者は、「これらの結果は、臨床症状の改善にはグルタミン酸値の低下が関連している可能性があるとの仮説を支持するものである」と結論した。 関連医療ニュース グルタミン酸トランスポーター遺伝子と統合失調症・双極性障害の関係 検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性 (ケアネット) 原著論文はこちら de la Fuente-Sandoval C et al. JAMA Psychiatry. 2013 Aug 21. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] マラリア対策のための高解像度地図の最新版、COVID-19の影響は?/Lancet(2025/04/02) 2型DMへの自動インスリン投与システム、HbA1c値を改善/NEJM(2025/04/02) 胃がんT-DXd、日本における販売後調査の最終解析/日本胃癌学会(2025/04/02) 閉塞性肥大型心筋症へのmavacamten、長期有効性・安全性の中間解析(HORIZON-HCM)/日本循環器学会(2025/04/02) 腸管GVHDの発症・重症化および予防・治療における腸内細菌叢の役割/日本造血・免疫細胞療法学会(2025/04/02) OTC薬の乱用と精神症状発症リスクとの関係(2025/04/02) 「血痰は喀血」、繰り返す喀血は軽症でも精査を~喀血診療指針(2025/04/02)