乾癬が就業に与えるリアルな影響

提供元:ケアネット

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公開日:2013/09/09

 

 イタリア・ナポリ大学のAyala.F氏らによって、中等症~重症乾癬患者における、就業への影響が調査された。それによると、乾癬の罹患が患者の就業に対して深刻な影響を及ぼし、雇用の機会、就業日数、将来への期待、収入を得る機会に影響することが報告された。乾癬が及ぼす身体的、心理社会的な影響のため、患者さんは充実した生活を送るのが難しいことがあるが、これまで就業関連への影響については、調査が十分とはいえなかった。J Eur Acad Dermatol Venereolオンライン版2013年8月21日掲載報告。

 調査はイタリアの29施設の皮膚科で行われ、787例の被験者が登録された。被験者情報は、来院時の調査票により収集された。

 主な結果は以下のとおり。

・被験者787例は平均年齢50歳、64%が男性であった。なお、最も多く見られた病型は、尋常性乾癬であった(91.2%)。
・調査時点の平均PASI(Psoriasis Area and Severity Index)スコアは10点、平均罹病期間は19年であった。
・喫煙者は非喫煙者に比べ、PASIスコアが高かった(10.8 vs 9.4、p=0.02)
・55%の被験者ではキャリアアップへの期待が少なかった。
・42%の被験者が雇用状態改善の見込みが少なく、35%の被験者が収入を得る機会が減少していると回答した。
・約60%の被験者が、乾癬の症状が手足に存在すると、就業が制限されると回答した一方で、実際に退職したのは約25%であった。
・約37%の被験者が、検査や治療のために過去3ヵ月間で3~10日仕事を休んだ。
・ロジスティック回帰分析によると、就業制限の有意な予測因子は性別、低学歴、病変の数、羞恥心、怒り、自尊心であった。

(ケアネット 森 幸子)