日本の高齢者てんかん新規発症、半数以上が原因不明:産業医大

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/11/08

 

 新規発症の日本人高齢者てんかんは、側頭葉てんかん例が最も多いが、病因が不明な非損傷性患者は52.8%に上ることが明らかにされた。治療については、抗てんかん薬1年以上服用者の96.3%で発作抑制が認められたという。産業医科大学の田中 章浩氏らが、過去6年間の電子カルテデータから特定した70例について分析した結果、報告した。Seizure誌2013年11月号の掲載報告。

 疫学研究において、てんかんの罹患率が高齢者集団で最も高いことが示されている。研究グループは、急速に高齢化社会が進む中、高齢者てんかんは世界的に重要な健康問題であるとして本検討を行った。3次医療機関である同大学関連病院におけるてんかん治療部門の過去6年間にわたる電子カルテデータを検索し、高齢者(65歳以上)のてんかん患者を特定した。患者は全員、病歴聴取と身体診察、3T-MRIもしくはCT(またはその両方)、脳波(EEG)の検査を受けていた。てんかんの診断名、発症年齢、病因、抗てんかん薬投与の記録について分析した。

 主な結果は以下のとおり。

・過去6年で、65歳以降に新規てんかんを発症した患者は70例であった。
・新規発症例の平均年齢は73.1歳であり、52.9%が男性であった。
・二次性全般化発作を伴わない複雑部分発作(CPS)の頻度が最も高かった(33例、47.1%)。
・側頭葉てんかんと診断された例が最も多かった(50例、71.4%)。
・病因学的診断が、脳血管障害のある患者を含む50%近くの患者について可能であった。
・52.8%の患者については、てんかんの明らかな原因が不明(非損傷性てんかんなど)であった。
・72.9%(51例)の患者において、発作間欠期の脳波に焦点性てんかん様発射が認められた。
・1年超の追跡が可能であった54例の患者のうち、42例(77.8%)が抗てんかん薬の単独療法を受けていた。そして52例(96.3%)は発作が1年以上起きていなかった。

関連医療ニュース
難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者へのLEV追加の有用性は?
レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院
てんかんにVNSは有効、長期発作抑制効果も

(ケアネット)