重症市中肺炎における肺炎球菌性の菌血症を予測できるか

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/20

 

 菌血症を伴う肺炎球菌性肺炎(BPP)患者では、プロカルシトニン(PCT)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、乳酸、CRPが有意に高くなることが示され、なかでも、PCTは肺炎球菌性の菌血症を同定するのに最も優れていることが、ポルトガル・セントロ病院集中治療部のJose Manuel Pereira氏らにより報告された。
 

 とくに血清PCT値が17ng/mLより低ければ、重症市中肺炎であっても、肺炎球菌性の菌血症ではない可能性が高いことにも言及している。Journal of critical care誌2013年12月号の掲載報告。

 本研究は、重症市中肺炎(Severe Community-Acquired Pneumonia:SCAP)患者における肺炎球菌性の菌血症のバイオマーカーの役割を評価することを目的とした、単施設前向き観察コホート研究である。
 対象は、ポルトガル・セントロ病院の集中治療部に搬送された重症市中肺炎患者108例。白血球、CRP、乳酸、PCT、D-dimer、BNP、コルチゾールを抗菌薬の初回投与後、12時間以内に測定した。

 主な結果は以下のとおり。

・15例(14%)が菌血症を伴う肺炎球菌性肺炎(BPP)であった。

BPPの患者は、それ以外の患者と比べて
・CRPの中央値が有意に高い水準にあった(301 [四分位範囲IQR:230~350] mg/L vs 201 [IQR:103~299] mg/L;p=0.023)
・PCTの中央値が有意に高い水準にあった(40 [IQR:25~102] ng/mL vs 8 [IQR:2~26] ng/mL;p<0.001)
・BNPの中央値が有意に高い水準にあった(568 [IQR:478~2841] pg/mL vs 407 [IQR:175~989] pg/mL;p=0.027)
・乳酸の中央値が有意に高い水準にあった(5.5 [IQR:4.5~9.8] mmol/L vs 3.1 [IQR:1.9~6.2] mmol/L;p=0.009)

・ROC曲線下面積(the area under the receiver operating characteristic curve:aROC)より評価した識別力でみると、PCT [aROC, 0.79] が他のマーカーと比べて優れていた(乳酸 [aROC, 0.71] 、BNP [aROC, 0.67]、CRP [aROC, 0.70])。

・PCTの17ng/mLのカットオフ値における感度は87%で特異度は67%であった。

・PCTの肺炎球菌性の菌血症のバイオマーカーとしての陽性的中率は30%で陰性的中率は97%であった。

(ケアネット 鎌滝 真次)