インターフェロン(IFN)療法によりSVR(持続性ウイルス学的著効)を達成したC型慢性肝炎患者において、血清アルブミン低値およびαフェトプロテイン(AFP)高値は、5年以内の肝細胞がん(HCC)発症の独立因子であることが、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院の佐藤 明氏らによる研究で明らかになった。著者らは「IFN療法後のHCC発症を早期に予防するために、これらの値について慎重な評価が必要である」としたうえで、「IFN治療後 10年以内のHCC発症は珍しいことではなく、リスク因子はいまだ不確定であるため、SVR達成後も長期的なフォローアップとHCCの検査を行うべきである」と述べている。Internal medicine誌2013年52巻24号の報告。
本研究の目的は、IFN療法によるSVR達成後に肝細胞がん(HCC)を発症したC型慢性肝炎患者の臨床的特徴を明らかにすることであった。
対象は、SVRを得た後に肝細胞がんを発症した、19施設の患者130例。その臨床的特徴をレトロスペクティブに検討した。
主な結果は以下のとおり。
・全130例のうち、男性は107例(82%)であった。
・92例(71%)が60歳以上であった。
・IFN療法後にHCCを発症するまでの年数は、76例が5年以内、38例が5~10年、16例が10~16.9年であった。
・IFN療法施行前に、92例(71%)が肝硬変と低血小板数(15×104cells/μL以下)の両方、またはどちらかを認めた。
・多変量解析の結果、血清アルブミン低値(3.9g/dL以下)およびAFP高値(10ng/mL以上)は、IFN療法後5年以内のHCC発症の独立因子であることが同定された。
・SVRを達成した4,542例のうち、5.5年間の追跡期間中にHCCを発症したのは109例(2.4%)であり、性別でみると男性4.6%、女性0.6%であった。
(ケアネット 武田 真貴子)