新規の吸入器、操作説明書を読むだけで99.3%が正しく操作

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/21

 

 喘息治療薬の新たな吸入器エリプタは、従来吸入器と比べて、誤操作の発生頻度が有意に低く、被験者の99.3%が操作説明書を読むだけで重大な誤操作を生じることなく操作可能であったことが、日本人を対象とした検討の結果、示された。聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院呼吸器内科の駒瀬 裕子氏らが、ドライパウダー吸入器の使用経験がない149例を対象とした薬剤非介入、無作為化非盲検試験の結果を報告した。エリプタは、同じく新規開発の1日1回吸入タイプのICS/LABA配合剤、フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VI)(商品名:レルベア)のデバイスとして開発された。アレルギー・免疫誌2014年1月号掲載の報告。

年齢中央値65歳149例を対象に、3つのデバイスの操作性を評価
 試験は、単施設(都内クリニック)で、他吸入器対照、3群クロスオーバーのデザインにて行われた。

 研究グループは149例(年齢中央値65歳、うち男性75例)を、3つのデバイス[エリプタ(EP)、ディスカス(DK)、タービュへイラー(TH)]について異なる順番でデバイス操作の評価を受けるよう、6つの評価群に無作為に割り付けた。被験者に操作説明書を渡し、納得するまで読んでもらった後、操作手技を実演してもらい1回目の評価。次に評価者が実演した後、被験者に実演してもらい2回目の評価。2回目の操作が正しくできた場合は、次の吸入器の評価に移行するという方法で試験を進めた。2回目も誤操作した場合は、正しく操作できるまで指導を繰り返し、その時間を測定・記録した。

 主要評価項目は、1回目の操作における誤操作の発生頻度とした。

1回目に重大誤操作発生はEP群0.7%に対し、DK群19.5%、TH群68.5%
 結果、1回目の操作で誤操作を生じた被験者の割合は、EP群2.7%(95%信頼区間[CI]:0.7~6.7)であった一方、DK群38.3%(同:30.4~46.6)、TH群83.2%(同:76.2~88.8)で、エリプタを基準としたオッズ比はDK群22.46(同:7.88~63.97)、TH群179.77(同:60.91~530.58)であった。

 また、1回目の操作で「重大」な誤操作を生じた被験者の割合はそれぞれ、0.7%(同:0.0~3.7)、19.5%(同:13.4~26.7)、68.5%(同:60.3~75.8)であり、オッズ比はDK群35.74(同:4.80~266.07)、TH群320.99(43.61~2,362.56)であった。EP群で1回目の操作で重大な誤操作および誤操作を生じた被験者の割合は、他の両デバイス群と比較して有意に低かった(p<0.0001)。

 このほか、被験者への質問票に基づく吸入器の操作性に関する評価では、最も操作しやすい吸入器としてエリプタを選択した被験者は121例(81.2%)であった[DK 24例(16.1%)、TH 4例(2.7%)]。エリプタを選択した理由としては、「操作方法のシンプルさ」が112例(75.2%)で最も多かったことが示されている。

 以上を踏まえて著者は、「エリプタは、ドライパウダー吸入器の使用経験がない被験者でも、操作説明書を読むだけで99.3%が重大な誤操作を生じることなく操作することができた。このことから、正しい操作が容易に達成できる吸入器であることが確認できた」とまとめている。