日本の小学6年生、2人に1人がスギ花粉に感作

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/19

 

 日本の小学1年生220例を6年間追跡し、スギ花粉感作の既往および新規発症について調べた結果、1年生時点で31.4%がスギ花粉への感作を有しており、卒業までに14.5%が発症、未感作であった児童は54.1%であったことが、大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室の金沢 敦子氏らにより報告された。スギ花粉症有病率は15.8%で、スギ花粉感作はハウスダスト感作と強く関連していることなども明らかになったという。Allergology International誌2014年3月号の掲載報告。

 日本では1980年代からスギ花粉症が増加している。これまで、小学生においてスギ花粉症IgEの陽性率が増えていること、1992~1994年において中学生の有病率が17.1%であったとの報告はあるが、小学生の有病率および発現率については明らかにされていなかった。

 研究グループは、スギ花粉感作およびスギ花粉症発症の予防可能な因子を明らかにすることを目的に、小学生を対象とした6年間の追跡観察研究を行った。1994年~2007年にかけて、毎年5~6月に、血清スギ花粉IgEとハウスダストIgEを測定し、また鼻炎症状の有無について調べた。

 主な結果は以下のとおり。

・小学生220例(男児49.1%)が、1年生時から6年生時まで毎年、調査を受けた(途中脱落なし)。
・1年生時に、69例(31.4%)がスギ花粉IgE陽性(0.70 IU/mL以上)であった。
・6年間で、32例(14.5%)にスギ花粉感作が新たに認められ、未感作であったのは119例(54.1%)であった。
・スギ花粉IgE値は、高学年になるほど増加したが、ハウスダストIgE値は学年と相関していなかった。
・スギ花粉症状の有病率は、6年間で増加するとの傾向は認められなかった(1年生時30%、6年生時40%)。なお、本研究におけるスギ花粉症(症状と感作を有する)児は15.8%であった。
・1年生時に、ハウスダストIgE陽性でスギ花粉IgE陰性であった児童(16例)は、6年生までに56%(9例)がスギ花粉感作を発症した。対照的に、1年生時にハウスダストIgE陰性であった児童(135例)では、発症は15%(23例)のみであった。ハウスダストIgE陽性は、2年生以降でのスギ花粉感作の発症に有意な影響を有していた(p=0.001)。
・以上を踏まえて著者は、「ハウスダスト特異的感作は、スギ花粉IgE上昇に寄与する、スギ花粉症の主要なリスク因子である。ただし、ハウスダスト感作の発症時期は就学前で、この発症時期により、ハウスダスト感作とスギ花粉感作は見分けられた」とまとめている。

(ケアネット)