パーキンソン病患者における栄養状態には、罹病期間と運動症状・精神症状(抑うつ・不安)・疲労感の重症度が関連していることが、イラン大学のSeyed-Mohammad Fereshtehnejad氏らによって明らかとなった。著者らはまた、健康関連QOL (HRQOL)のさまざまな側面が患者の栄養状態、とくに精神的安定と可動性領域に影響されることも示唆している。PLos One誌2014年3月7日号掲載の報告。
パーキンソン病患者では、その症状や薬剤、合併症により栄養状態が悪化しやすい環境にある。しかしながら、パーキンソン病における栄養失調の要因とその転帰については、ほとんど知られていない。本研究では、パーキンソン病患者の生活の質(QOL)のさまざまな側面における栄養失調の影響のみならず、栄養状態と運動症状ならびに精神症状、疲労感との関連を調査することを目的とした。
本研究では、150例の特発性パーキンソン病患者を対象とした。人口統計学的特性、統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)、不安と抑うつ尺度(HADS)、疲労重症度スケール(FSS)は、対面での聞き取りや臨床検査を経て行われた。また、HRQOLは、パーキンソン病質問票(PDQ-39)を用いて評価した。栄養状態の評価のために、簡易栄養状態評価表(MNA)アンケートを身体測定と一緒に行った。
主な結果は以下のとおり:
・37例(25.3%)の患者で、栄養失調のリスクが高く、他3例(2.1%)は栄養失調を来していた。
・UPDRS総スコア(r=-0.613、p<0.001)およびパーキンソン病罹病期間(r=-0.284、p=0.002)とMNA総スコアとの間には、有意な逆相関の関係が認められた。
・ホーエン・ヤールの重症度分類の中央値は、栄養状態が悪化しているパーキンソン病患者で有意に高かった(2.5 vs. 2.0、p<0.001)。
・より重度の不安(8.8 vs. 5.9、p=0.002)、抑うつ(9.0 vs. 3.6、p<0.001)および疲労(5.4 vs. 4.2、p<0.001)が、栄養状態が悪化しているパーキンソン病患者で観察された。
・スティグマ(引け目)を除き、PDQ-39のすべての領域で、MNA総スコアとの有意な相関がみられた。
(ケアネット 岸田有希子)