ドナーの年齢や性別の不一致は予後に影響する?HCV感染/非感染者への肝移植

提供元:ケアネット

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公開日:2014/04/02

 

 C型肝炎ウイルス(HCV)感染者への肝移植は、50歳以上のドナーからの移植を回避することで、予後を向上させる可能性があることが、ポーランド・ワルシャワ医科大学のMichal Grat氏らの報告により明らかになった。一方、ドナーとレシピエントの性別の一致/不一致で予後が左右されることはなかった。Annals of transplantation誌2013年12月23日号の報告。

 著者らは、ドナーの年齢やドナーとレシピエントの性別のマッチングが肝移植後の予後に与える影響について、HCV感染/非感染者の違いに着目し、後ろ向きコホート研究を行った。

 対象は、肝移植レシピエント622例。HCV感染群(164例)とHCV非感染群(458例)に分け、ドナーの年齢(30歳以下、31~50歳、51歳以上)、ドナーとレシピエントの性別構成によってさらに細分化した。予後の指標は、レシピエントの5年生存率および移植片生着率とした。

 主な結果は以下のとおり。

・5年生存率は、HCV感染群83.1%、HCV非感染群81.6%であった(p=0.614)。
・移植片生着率は、HCV感染群81.2%、HCV非感染群79.3%であった(p=0.538)。
・HCV感染群における50歳以上のドナーからの移植は、31~50歳のドナーからの移植と比較して、5年生存率(p=0.035)および移植片生着率(p=0.006)が有意に低かった。この差異は、HCV非感染群では観察されなかった(5年生存率:p=0.994、移植片生着率:p=0.878)。
・ドナーとレシピエントの性別構成別の予後は、HCV感染群(5年生存率:p=0.751、移植片生着率:p=0.592)と非HCV群(5年生存率:p=0.217、移植片生着率:p=0.249)で差はなかった。
・ただし、非HCV感染群における男性から女性への移植は、女性から女性への移植よりも、5年生存率が低い傾向を認めた(p=0.064)。
・31~50歳のドナーからの移植において、HCV感染群の予後はHCV非感染群よりも有意に優れていた(5年生存率:p=0.080、移植片生着率:p=0.026)。

(ケアネット 武田 真貴子)