慢性腰痛の治療において超音波は最も広く用いられている電気物理的治療法の1つであるが、超音波治療が慢性腰痛患者の疼痛あるいはQOLを改善するという質の高いエビデンスはないことが、イラン・テヘラン大学のSafoora Ebadi氏らによるシステマティックレビューの結果、明らかとなった。Cochrane Database of Systematic Reviews誌オンライン版2014年3月14日号の掲載報告。
研究グループは、2013年10月、CENTRAL、MEDLINE、EMBASE、PEDroおよびPsycLITデータベースを用いて検索し、慢性腰痛患者を対象に超音波治療とほかの治療を比較した小規模な無作為化比較試験7件(計362例)をレビューに組み込んだ。
主な結果は以下のとおり。
・超音波治療は、短期的にはプラセボと比較して腰部特異的機能を改善した(標準化平均差[SMD]:-0.45、95%信頼区間[CI]:-0.84~-0.05、エビデンスの質:中)。
・超音波治療による短期的な疼痛の改善は、プラセボと同程度であった(0~100点満点で評価の平均差[MD]:-7.12、95%CI:-17.99~3.75、エビデンスの質:低)。
・超音波治療+運動療法は、運動療法のみと比較して、短期的な疼痛の改善(0~50点満点で評価のMD:-2.16、95%CI:-4.66~0.34)、または機能障害の改善(%評価のMD:-0.41、95%CI:-3.14~2.32)のどちらも認められなかった(エビデンスの質:低)。
・超音波治療をプラセボのみまたは運動療法のみと比較した研究では、治療またはQOLに関する全体的な満足度は報告されなかった。
・短中期的には、超音波治療より脊椎徒手整復術のほうが疼痛や機能障害を減少させた(エビデンスの質:低)。
・超音波治療と比較しフォノフォレーシスによりSF-36が改善した(エビデンスの質:非常に低い)。
(ケアネット)