名古屋大学の村本 明生氏らは住民健診参加者を対象に調査を行い、中高齢女性では中心性肥満とロコモが有意に関連していることを明らかにした。中心性肥満は、死亡率のみならず多くの健康関連問題の強いリスク因子であることが示されているが、これまでロコモティブ症候群(ロコモ)との関連についての研究はなかった。著者は、「ウエスト周囲長がロコモのリスクを評価する有用な指標となりうる」とまとめている。Journal of Orthopaedic Science誌オンライン版2014年3月26日号の掲載報告。
研究グループは、ロコモに対する中心性肥満の影響について調査した。
対象は、2011~2012年に北海道八雲町の住民健診(八雲研究)に参加した60~79歳(平均68.2±5.0歳)の女性217例であった。
ロコモ25にて評価し、スコアが>16をロコモと定義した。また、腰痛および膝痛を視覚アナログスケール(VAS)にて評価するとともに、ローランド・モリス障害質問票も用いた。さらに、身長、体重、ウエスト周囲長(ウエスト)、ヒップ周囲長、体脂肪率、骨密度、ならびに運動機能検査としてタイムドアップアンドゴー、開眼片脚起立時間、10m歩行時間、最大一歩幅、背筋力、握力を計測した。
主な結果は以下のとおり。
・ロコモ25スコア、腰痛および膝痛のVASスコアは、大部分の肥満パラメータと有意な相関を認めた。
・最も強く相関していた肥満パラメータは、ウエストであった。
・ウエストで層別化すると、ウエストの大きさはロコモ25スコアやロコモ有病率の高さ、腰痛および膝痛の強さと有意に関連していた。
・一方で、運動機能検査は、年齢補正後も相関を認めなかった。
(ケアネット)