ティーンエイジャーの腰痛は、重たいスクールバッグの持ち運びが発症の原因といわれてきたが、重さの感覚には多くの要因が影響を与えている。今回、スイス・HFR社のThierry Nicolet氏らの研究において、重さの知覚には主観が有意に影響を与えることが明らかとなった。著者は、「重さの知覚に対するバックパックの重量の力学的な役割がよくわかるまで、通学時の重量制限に関する任意の勧告は慎重に見守るべきである」とまとめている。European Spine Journal誌2014年4月号(オンライン版2014年2月7日号)の掲載報告。
研究グループは、健康的なティーンエイジャーの重さに対する感覚に、腰痛とバッグの種類がどのように影響するかを評価した。
対象は、地域のスポーツクラブの会員の中から募集した健康男性ティーンエイジャー80人(平均年齢13.9±2.1歳)で、トレーニング中に腰痛の既往歴についてアンケート調査を行うとともに、異なる2つの重さ(総重量は約3kgと5kg)のおもりが入った3種類のバッグ(典型的なスクールバッグ、有名ブランドのロゴ入りスポーツバッグ、普通のバッグ)の重さを推定してもらった。
主な結果は以下のとおり。
・参加者の26.2%が、重度の腰痛(医師の診察を必要とする、および/または通常のスポーツ活動に支障を来す)を有していた。
・腰痛の症状の大半は実験の3ヵ月以前に発生していた。
・参加者は、スクールバッグおよび普通のバッグに比べ、スポーツバッグの重さを有意に低く評価していた(p<0.05)。
・腰痛の既往歴を有する参加者は、有していない参加者に比べ、5kgのバッグの重さをより重めに評価していた。
(ケアネット)