てんかん患者が、原因が明らかな誘発性発作もしくは、非誘発性発作を初めて起こしてから運転を再開できる時期に関する定量的なデータが、オーストラリア・Royal Perth HospitalのBrown JW氏らによって示された。Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry誌オンライン版4月25日掲載の報告。
初発発作後にてんかんを再発するリスクは40~50%であり、このリスクが最も高い初発発作後早期の段階で運転を制限することは正当な指導である。しかしながら、この制限は、患者が運転する資格がないために生じる、職業的、教育的、社会的な制約とのバランスを考慮する必要がある。初発発作後の運転制限推奨期間は、事故の許容可能な相対リスク(事故リスク比:ARR)に関する社会の認識を含むさまざまな要因の影響を受け、管轄区域によっても大きく異なっている。運転制限の設定にあたり、個別化されたリスク評価や全面的なガイドラインに基づくなどのアプローチも考えられるが、どちらも発作再発リスクの正確なデータが必要となる。
本研究では、初発発作を起こした1,386例のてんかん患者を前向きに調査・解析を行った。発作の再発は、生存分析を用いて評価された。発作の再発リスクの範囲およびARRから求められる運転すべきでない期間を算出した。加えて、実際に運転中に起きた発作についても、追跡期間中、前向きに観察された。
主な結果は以下のとおり。
・非誘発性発作を初めて起こした患者の運転制限期間8ヵ月の間、および原因が明らかな誘発性発作を初めて起こした患者の運転制限期間5ヵ月の間、運転中の発作リスクは、1,000人あたり1.04人、ARRは2.6であり、発作の再発リスクは、1ヵ月ごとに2.5%ずつ減少した。
・発作が再発した患者のうち、月次リスクが1/1,000以下に減少した6ヵ月後に、14例(2%)が運転中に発作を再発した。
(ケアネット 岸田有希子)