1型真性糖尿病患者の皮膚疾患に関するデータは十分ではない。インド・Postgraduate Institute of Medical Education and Research(PIMER)のSawatkar GU氏らは、同患者でみられる皮膚の症状の範囲を調べ、それらの症状と、罹病期間および長期血糖コントロールとの関連について検討した。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年4月28日号の掲載報告。
検討は、2011年7月~2012年6月に、事前に同意を得た500例の1型糖尿病患者を対象に行われ、臨床症状や関連試験を行った。統計的検定は、SPSS 16を使用して行われた。
主な結果は以下のとおり。
・さまざまな皮膚の症状がみられ、糖尿病の罹病期間との関連性がみられた。
・被験者500例のうち、339例(67.8%)が1つ以上の皮膚の症状を有していた。
・患者の平均年齢は、16.9±6.9歳(範囲:1~25歳)、糖尿病の平均罹病期間は4.43±4.4年であった。
・インスリンと関連した有害反応としての皮膚の症状は、リポハイパートロフィー(41%)、炎症後色素沈着(3%)、リポアトロフィー(0.6%)、黒色表皮腫(0.4%)の頻度が最も高かった。
・また、関節可動域の制限(16.8%)、皮膚の硬化(15.8%)、強皮症様の皮膚の変化(10%)などもみられた。
・患者の罹病期間が長いほど(4.4年超)、リポハイパートロフィー(p=0.000)、関節可動域の制限(p=0.000)、強皮症様の皮膚の変化(p=0.000)、糖尿病性皮膚障害(p=0.000)、黒色表皮腫(p=0.005)、スキンタグ(p=0.002)が有意に多くみられる傾向があった。
・リポハイパートロフィー、関節可動域の制限、強皮症様の皮膚の変化は、血糖値との有意な関連も示された。
・本検討により、若いアジア人の1型糖尿病患者では、皮膚に変化がみられることが一般的であることが示された。
・患者、保護者への情報提供、教育およびカウンセリングと、医師における認識が、これら皮膚疾患の予防および早期治療の基本となる。
(ケアネット)