新規不眠症治療薬スボレキサント(MK-4305)の1年間にわたる治療について、おおむね安全であり忍容性も良好で、自覚的な睡眠導入で評価した有効性もプラセボと比較して有意であったことが示された。米国メルク社のDavid Michelson氏らが、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。スボレキサントはオレキシン受容体阻害薬で、先行研究において治療3ヵ月間の有効性は示されていた。Lancet Neurology誌2014年5月号の掲載報告。
本検討で研究グループは、スボレキサントの1年間の治療期間中およびその後の臨床プロファイルを評価することを目的とした。試験は2009年12月~2011年8月の間、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、南アフリカの106の治験施設で行われた。
被験者は、DSM-IV-TR適格基準で原発性不眠症と診断された18歳以上の患者であった。コンピュータによる無作為化(2対1)を受けた被験者は、スボレキサントを毎晩投与(65歳未満患者40mg、65歳以上患者30mg)もしくはプラセボ投与の治療を1年間受けた。その後2ヵ月間の中断期間を経て、スボレキサント投与群は引き続きスボレキサントの投与を受けるかプラセボに突然切り替えられた。プラセボ投与群はそのままプラセボ投与を受けた。治療割り付けについては患者、治験担当医ともに知らされなかった。
主要目的は、最長1年間のスボレキサントの安全性と忍容性を評価することであった。副次目的は、スボレキサントの有効性で、患者の報告に基づく治療開始1ヵ月間の、主観的な総睡眠時間(sTST)および主観的な睡眠導入までの時間(sTSO)の改善で評価した。治療開始1ヵ月間の有効性のエンドポイントは、ベースライン時の治療反応変数の条件(年齢、性別、試験地、治療、期間、時間相互作用別治療)に基づく混合モデルで評価した。
主な結果は以下のとおり。
・1年間の試験相を完了したのは、スボレキサント治療に割り付けられた522例のうち322例(62%)、プラセボは259例のうち162例(63%)であった。
・1年間において、スボレキサント群では521例のうち362例(69%)がさまざまな有害事象を報告した。プラセボ群では258例のうち164例(63%)が報告した。
・重大有害事象は、スボレキサント群では27例(5%)、プラセボ群では17例(7%)が報告された。
・両群に共通した最も頻度が高かった有害事象は傾眠で、報告数は、スボレキサント群は69例(13%)、プラセボ群は7例(3%)であった。
・1ヵ月時点の有効性は、スボレキサント群がプラセボ群よりも有意に高いことが示された。
・有効性評価の被験者数は、スボレキサント群517例、プラセボ群254例であった。
・1ヵ月時点のsTST改善は、それぞれ38.7分vs. 16.0分(差:22.7分、95%信頼区間[CI]:16.4~29.0、p<0.0001)だった。
・同sTSO改善は、-18.0分vs. -8.4分(差:-9.5分、95%CI:-14.6~-4.5、p=0.0002)だった。
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(ケアネット)